★3 | 俺は地獄の部隊長(1963/日) | 北支戦線において、最後に残った第3砦は援軍を求め喘いでいた。日本軍駐営地で援助部隊を求める桂木少尉(小林旭)は少数の兵士をまとめ帰投するが、それにまぎれて佐々木少尉(内田良平)が同行した。桂木らが戻ると、難攻不落の要塞と思われた第3砦は発狂した隊長を除けば、わずかに村上上等兵(井上昭文)を残すのみとなっていた。そこで佐々木は桂木をないがしろにし、兵たちの同意を得て部隊長の名を僭称する。佐々木はたったひとりの弟を殺した将校を狙い、復讐のため北支の部隊を渡り歩いていたのだ。一方、佐々木に命じられて斥候に出た村上たちは八路軍の虜囚となり、そこで軍のタイピストを務めたというリカ(朝風みどり)と出会う。〔93分/白黒〕 | [投票] |
★4 | サウルの息子(2015/ハンガリー) | 第二次大戦期。ナチスのアウシュヴィッツ収容所に、同朋の死体処理を務めるユダヤ人特殊部隊、ゾンダーコマンドがいた。サウル(ルーリグ・ゲーザ)もそんな呪われた男たちのひとりだ。ガス室に閉じ込められ、為すすべもなく倒れたユダヤ人たちの死体を焼き、彼らの持ち込んだ貴重品を集めるのが彼らの日課だが、サウルは顔も背けず作業に没入していた。だが、彼の息子と思しき少年がここに運び込まれたことで彼の表情は一変する。毒ガスのなかを生き延びた少年は軍医(ジョーテール・シャーンドル)にとどめを刺されたものの、サウルは彼のために聖職者を探して奔走する。息子を正式に埋葬してもらうために。〔107分〕 [more] | [投票] |
★3 | ディーパンの闘い(2015/仏) | スリランカの内戦で家族を失った兵士ディーパン(A・ジェスターサン)は、偽の妻子とともにフランスに流れた。妻ヤリニ(K・スリニバサン)と娘イラヤル(C・ヴィナシタンビ)の正体は、いずれも肉親を失った難民のひとりだ。それは、居住許可を求めるための方便だった。パリ郊外の団地に住処を用意されたディーパンは管理人の仕事を得、イラヤルも小学校へと編入される。だが、その団地は胡散臭い組織の常駐する場だった。ヤリニの家政婦としての勤め先も、ドラッグ密売組織を率いるブラヒム(ヴァンサン・ロティエ)の家庭なのだ。そして団地を故郷のように硝煙の臭いが包み始め、ディーパンは家族のため行動に出る。第68回カンヌ・パルムドール。〔115分〕 | [投票] |
★5 | キャロル(2015/英=米=仏) | 1952年。写真家に憧れつつデパートの売り子を勤めるテレーズ(ルーニー・マーラ)は、クリスマスプレゼントを選びに訪れた人妻キャロル(ケイト・ブランシェット)の美貌と、成熟した気品に魅せられる。そんなテレーズが、玩具宅送を頼んで去ったキャロルのもとに忘れ物の手袋を郵送したのは、ほんの親切心からのことであった。だが、感謝をこめて昼食に誘ってきた彼女を前に、テレーズは恋人リチャード(ジェイク・レイシー)との間では体験できない興奮を味わって戸惑う。そんなある日、すっかり親密になったテレーズを招くキャロルの家に現われたのは、わが子の養育問題で揉めているキャロルの元夫、ハージ(カイル・チャンドラー)だった。〔118分〕 | [投票(1)] |
★4 | 嵐を呼ぶ友情(1959/日) | ジャズ界の人気を二分するトランぺッター、岡部(沢本忠雄)と川添(川地民夫)は、趣味趣向さえシンクロする仲の良さだ。恋の相手としてダンサーのマリ子(白木マリ)を選んだのも同じなら、現われた彼女の恋人「流しのアキラ(小林旭)」に喧嘩を挑み、呈良く叩き出されるのも一緒だった。そんな二人が師と仰ぐジャズマスターの旗(宇野重吉)と酒を呑んでいたとき、他者との衝突から喧嘩へとなだれ込むのを救ったのがアキラだったが、旗は彼を罵って追い出す。しかし、旗の家事を引き受ける娘、千秋(浅丘ルリ子)が二人組に語ったことには、アキラは旗の実の息子であり、理由あって反目しあっているというのだ。二人は仲裁に乗り出した。〔95分〕 | [投票] |
★4 | 浅草の灯 踊子物語(1964/日) | オペラの花咲き誇る大正の浅草。日本座の役者山下(二谷英明)は乱暴者ながら、座長の佐々木(芦田伸介)から絶対の信頼を寄せられる好漢だった。だが山下は、佐々木の妻マリエ(山岡久乃)が女優たちをパトロンに抱かせていることに反感を募らせていた。心ならずもそんな運命に晒され、看板女優の紅子(朝風みどり)が泣いていることも知らず、麗子(吉永小百合)という新人が日本座の扉をくぐる。彼女の清冽な美貌に心を奪われ、その身を守ろうとする山下を、彼を慕う射的屋のお竜(奈良岡朋子)は危ぶむ。しかし意に介さぬ山下は、オペラ狂の青年ポカ長(浜田光夫)に麗子の護衛を頼むのだった。『浅草の灯』3度目の映画化。〔91分〕 | [投票] |
★1 | 地球に落ちてきた男(1976/英=米) | 謎の男トーマス・ジェローム・ニュートン(デヴィッド・ボウイ)。彼は友人の大学教授(リップ・トーン)とともに弁護士オリヴァー(バック・ヘンリー)のもとを訪れ、自身の発明品を売るための協力を依頼する。その発明は、地球の科学水準をはるかに超えるものであった。豪邸に住まい、ベルガールのメリールウ(キャンディ・クラーク)と愛撫し合う日々をおくるトーマスの真の顔は、遙かな星よりやってきた異星人だったのだ。彼は、干ばつに苦しむ惑星で待つ家族たちのもとへ水を届ける船を建造せねばならなかった。だが、トーマスの帰還を阻もうとする勢力が動き始める。〔140分〕 | [投票(1)] |
★4 | 機動戦士ガンダム THE ORIGIN II 哀しみのアルテイシア(2015/日) | 暗殺された革命指導者の血をひくキャスバル(池田秀一)とアルテイシア(潘めぐみ)は、側近ジンバ(茶風林)とともにスペイン在住の大物テアボロ(巻島康一)を頼り身を寄せていた。その条件は兄妹をテアボロの子供として扱うことだったが、欲を出したジンバは汎地球企業アナハイム社との取引を試み、政権簒奪者ザビ一族の怒りを買って襲撃を受けた。危険に晒されたキャスバルたちに、ザビ家への恭順を示すべくそのひざ元への移住案が示される。一方、ジンバの子ランバ(喜山茂雄)は酒場の用心棒として燻っていたが、ザビ家のドズル(三宅健太)に新兵器のテスト操縦士としてスカウトされる。それはモビルスーツと呼ばれるものだった。〔58分〕 | [投票] |
★4 | 機動戦士ガンダム THE ORIGIN I 青い瞳のキャスバル(2015/日) | 宇宙移民の時代。地球からもっとも遠いコロニー、ムンゾ自治共和国に反乱の機運が高まろうとしていた。その中で指導者ジオン・ダイクン(津田英三)は謎の死を遂げ、側室アストライア(恒松あゆみ)と遺児のキャスバル(田中真弓)、アルテイシア(潘めぐみ)は当惑するが、ダイクンの協力者デギン・ザビ(浦山迅)はこれを地球連邦の暗殺と断じ、更なる反連邦の空気を煽ることで政権簒奪を目論む。このザビ家の陰謀を攻撃するラル一族は逆に潰されるが、その長男ランバ・ラル(喜山茂雄)はキャスバルら兄妹をザビ家に利用されるのを潔しとせず、ある作戦を実行に移す。…一年戦争の英雄シャア(池田秀一)の少年時代の物語。〔62分〕 | [投票] |
★2 | 裁かれるは善人のみ(2014/露) | モスクワより離れた入江の街に、自動車修理工のコーリャ(アレクセイ・セレブリャコフ)は仕事場を構えている。ともに住んでいるのは一人息子のロマ(セルゲイ・ポホダーエフ)と若い後妻のリリア(エレナ・リャドワ)であり、問題といえば義母に馴染まないロマの意固地さくらいだった。しかし、コーリャの仕事場をヴァディム市長(ロマン・マディアノフ)が収用しようとしていることが目下のコーリャの不満だった。彼は訴訟のため、旧友である弁護士のディーマ(ウラジーミル・ウドヴィチェンコフ)を呼び市長の悪事を暴かせる。これを黙っていることと引き換えにコーリャの土地より手を引け、とディーマは脅すが、それで引き下がる市長ではなかった。〔140分〕 | [投票] |
★2 | 青春蛮歌(1959/日) | 進学率で群を抜く名門、青稜学院に若き教師、花戸(長門裕之)が赴任してきた。隣人のフジ(南田洋子)の秋波に辟易しながらも学院にて毎日を過ごす彼の目にうつるのは、生徒たちの異様なまでの覇気のなさだった。それを憂う体育教師根本(大坂志郎)に男気を評価される花戸だったが、そういう根本自身が学院上層部の思うがままになっている事実に彼は疑念を持つ。明らかになったのは、学院を牛耳る青山理事長(安部徹)の生徒を顧みない利権主義であり、彼の専横によって生徒たちの自由が奪われる実情だった。生徒たちとの交流によってそれを知った花戸は、クラブ活動や修学旅行の実行を上層部に阿久津教諭(浅丘ルリ子)らとともに進言する。〔97分〕 | [投票] |
★3 | 娚の一生(2014/日) | 都会で不倫関係に疲れ、故郷に戻って来たつぐみ(榮倉奈々)。その祖母である染色業を営む十和(紺野千春)が頓死し、葬儀ののち何とか安らぎを取り戻した家に、突然見知らぬ男が住むようになった。海江田(豊川悦司)と名乗る彼は、大学で哲学を教えているという。だが、つぐみの我慢ならなかったのは、祖母の教え子であるという彼が、まるで主人ででもあるかのようにつぐみに指図をすることだった。苛立ちながら同居生活をおくるつぐみだったが、母(根岸季衣)をはじめ友人の岬(安藤サクラ)などの誰もが、彼女と海江田を似合いの夫婦になると笑う。憤慨する彼女も、やがて海江田の強引さに惹かれてゆくのだった。〔119分〕 | [投票] |
★3 | 黄金のアデーレ 名画の帰還(2015/米=英) | ロサンゼルス。ブティックの主人を務める老マリア(ヘレン・ミレン)は、若き弁護士ランディ(ライアン・レイノルズ)にある話を持ち掛ける。オーストリアの至宝と謳われるクリムトの名画、「黄金の女」の返還依頼だ。名画はユダヤ系名家であったマリアの家からナチに略奪され、その罪を逃れるように公立美術館に展示されているのだ。ランディはこの仕事にやり甲斐を感じ、ウィーンに渡って一度は失意を舐めながらもマリアを叱咤して挑戦を続ける。マリアの脳裏をよぎるのは絵のモデルである伯母アデーレ(アンチュ・トラウェ)であり、彼女の死後迫害された若き日の自分(タチアナ・マスラニー)と夫フリッツ(マックス・アイアンズ)の逃走劇だった。〔109分〕 | [投票] |
★2 | ホットロード(2014/日) | 湘南。少女和希(能年玲奈)は父親の影を知らずに育った。彼女の母親(木村佳乃)は愛してもいなかった夫の死後、ほんとうに愛していた男、鈴木(小澤征悦)に完全に心を移していたのだ。そんな親にとって自分は望まれて生まれてきたのではない…和希はそう信じて疑わなかった。ある日彼女は友達の絵里(竹富聖花)に誘われてカッコいい先輩たちに逢いに出かけ、ガソリンスタンドに務める春山(登坂広臣)と対面する。暴走族「ナイツ」の斬り込み隊長でもある彼と和希は最悪の出会いをしたが、やがてお互いに惹かれてゆく。母親にあてつけるように春山との距離を狭める和希だったが、一方で春山は「ナイツ」の頭に選ばれようとしていた。〔119分〕 | [投票] |
★3 | ヴィンセントが教えてくれたこと(2014/米) | 飲む・打つ・買うの三拍子揃った不良親爺のヴィンセント(ビル・マーレイ)は、誰にも心を許さない人間嫌いで通っていた。ある日いきなりの大音響に起こされてみると、隣にシングルマザーのマギー(メリッサ・マッカーシー)と息子のオリヴァー(ジェイデン・リーベラー)が引っ越してきたところだった。早速のひと悶着で最悪の出会いと理解した母だったが、些細なきっかけからヴィンに心ならずもオリヴァーの世話を任せることになる。競馬の勝ち方、酒場での応対の作法、喧嘩の勝ち方を教え込むヴィン。そして娼婦のダカ(ナオミ・ワッツ)と息子を引き合わせたことでマギーの怒りは頂点に達するが、息子はヴィンの語られざる背景を知るのだった。〔102分〕 | [投票] |
★2 | FOUJITA(2015/日=仏) | エコール・ド・パリの旗手として名を売った画家、レオナール・フジタ(オダギリジョー)。彼は毎夜パリのカフェに顔を出しては、並み居る画壇のアーティストや踊り子たちと乱痴気騒ぎに興じていた。画壇に便宜を図ってくれたフェルナンド(マリー・クレメール)を捨て、新人のユキ(アナ・ジラルド)に心を移すフジタは、バカ騒ぎが絵を綺麗にするとうそぶき、フーフー(お調子者)の渾名も甘受するのだった。だが、やがて世界を戦乱の気運が包み、フジタも帰国して戦意高揚絵画の制作に勤しむようになる。皮相的なことばを弄する妻、君代(中谷美紀)に詰られながらも、彼は彼なりの美意識をもって画業に没頭する。そして、東京は空襲に晒される。〔126分〕 | [投票] |
★3 | 魔女の宅急便(2014/日) | キキ(小芝風花)は13歳を迎えた魔女見習いの少女だ。一族の掟に従い、まだ飛行する能力しか持たないながらも、彼女は黒猫のジジ(声:寿美菜子)を伴って母親(宮沢りえ)のいる故郷から修行に旅立った。またがったホウキの示す海辺の街に下り、キキは仕事を探す。しかしまだ幼い彼女に世間は優しくはなく、空腹を抱えて辿り着いた丘の上のパン屋に座り込むこととなった。そんなキキにパン屋の女将おソノ(尾野真千子)は部屋を貸してやり、彼女の「宅急便」作業の根城を与えた。さっそくの第1日目、張り切って届け物に出たキキだが、飛行機キチの少年トンボ(広田亮平)にからかわれさんざんな気持ちにさせられるのだった。〔108分〕 | [投票] |
★2 | 青春ア・ゴーゴー(1966/日) | 世はまさにエレキ・ブーム。お定まりのエレキ狂青年・賢一(山内賢)と、正統派歌謡曲志望ながら賢一の妹・悠子(太田雅子)の気を引きたい悟(浜田光夫)は、同じ予備校に通いながらグループ結成を目指していた。彼らのもとには電器屋のひとり息子でドラマーの浩(和田浩治)と、出版社に勤める一郎(木下雅弘)に勇(杉山元)も集まり、ここに「ヤング&フレッシュ」は誕生した。打倒スパイダースの意気もあがる彼らだったが、練習する場にも事欠き出版社の倉庫や古ぼけた教会をめぐる。それでも新入り歌手のユリ子(ジュディ・オング)も含め、彼らの気持ちはテレビのエレキ選手権に向け一つになってゆく。〔93分〕 | [投票] |
★4 | 岸辺の旅(2015/日=仏) | 夫の失踪から三年、瑞希(深津絵里)はピアノ教師として毎日を過ごしていた。そんな彼女のもとに、ある日突然夫の優介(浅野忠信)が帰ってくる。瑞希に確かな肉体と声をもって笑いかける優介は、自分はすでに死んでいると告げ、早速思い出の地をめぐる旅へと彼女をいざなう。小さな街でふたりを迎えたのは、新聞配達員の島影(小松政夫)という老人だった。彼もまた死者であり、思い出を共有していた優介との時間を経て、やがて冥土に召されてゆく。そしてふたりは、中華料理店の店主夫婦のもとを訪れる。店の階上に不似合いなピアノを見つけた瑞希は、女将フジエ(村岡希美)と亡き妹との対面に立ち会う。少しずつ旅の意味に気づいてゆく瑞希だった。〔128分〕 | [投票] |
★2 | 日本最大の顔役(1970/日) | 戦後日本の市場を牛耳る外国人たちの横暴に、わずかに牙を剥き抵抗を続ける者が日本人の中にいた。そんな奴らが大矢根組を束ねる顔役、黒木(小林旭)たちだ。金山(宍戸錠)率いる外国人組織を狙い、機関銃を構える石垣(井上昭文)と彼を焚きつけるお調子者の雨宮(ジェリー藤尾)は見事外国人たちを追い払うが、MPに目をつけられた黒木組長は逃亡を余儀なくされ、全国行脚の旅に出た。黒木は世話になった組織のもと歌謡ショーを全うしたい歌手、美奈子(梶芽衣子)を助けるなどの活躍を経、全国に心酔者を呼ぶ。そして神戸に舞い戻った彼は貿易会社を創設するが、それを快く思わない北川(安部徹)は支配する組織とともに実力行使に出るのだった。〔88分〕 | [投票] |