★3 | 大菩薩峠 第一篇 甲源一刀流の巻(1935/日) | 虚無の剣士・机龍之助(大河内伝次郎)は、大菩薩峠でお松(深水藤子)という孫とともに旅をしていた老爺を辻斬りにした。そのまま都に上った龍之助は、天覧試合で音無しの構えから繰り出される一撃で宇津木文之丞(黒川弥太郎)の命を奪い、その弟・兵馬(沢田清)に仇と狙われる。その一方、お松は叔母を頼って断られるものの、親切な芸師匠(衣笠淳子)に世話になるのだった。◆稲垣浩が監督を務め、応援監督として山中貞雄が立ち回り等の「凄みのある」場面を、荒井良平がつなぎを撮ったという。続編は現存していない。〔77分/モノクロ/スタンダード〕 | [投票] |
★3 | シング・ストリート 未来へのうた(2016/アイルランド=英=米) | 不況に喘ぐダブリン。両親(エイダン・ギレン/マリア・ドイル・ケネディ)の衝突から、少年コナー(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)は私立校から公立校への転校を余儀なくされた。学校では不良に目をつけられ、校長には風紀を乱すとしてファッションを咎められるコナーだったが、ただひとつの救いとして校舎の向かいに住む少女ラフィーナ(ルーシー・ボーイントン)に惹かれ、自分のバンドのヴィデオに出ないかと誘う。これが、コナーのバンド結成のきっかけだった。唯一の友であるダーレン(ベン・キャロラン)に声をかけ、メンバーをスカウトしてゆく日々。そんなコナーに、兄(ジャック・レイナー)は厳しいアドバイスを与えるのだった。〔106分〕 | [投票] |
★3 | 銀座の次郎長(1963/日) | 人手不足に悩む銀座商店街。若旦那会を率いるカレー屋の次郎(小林旭)は田舎の少年少女を呼び寄せようと提案、さっそく長五郎(中村是好)と金作(桂小金治)の凸凹コンビが東北に飛ぶ。だが、そこには暴力団首領・竜巻(嵯峨善兵)の魔手が伸びており、集まった少年たちの代りに長五郎たちに託されたのは体のいい愚連隊だった。そのひとり三太(野呂圭介)は次郎の店で狼藉を働き、客の一本槍先生(小川虎之助)とイザコザになる。次郎たちが真相を知った頃、恋のライバル和子(五月みどり)にやきもきする風呂屋の秀子(笹森礼子)のもとに、トルコ要人を名乗る男(藤村有弘)が儲け話を持ってきた。『東京の暴れん坊』シリーズ第4作。〔89分〕 | [投票] |
★3 | 夫婦百景(1958/日) | 雑誌編集長のみはる(月丘夢路)は、売れない童話作家の蒼馬(大坂志郎)との5年目の夫婦。エプロン姿の亭主に見送られて仕事場に繰り出す毎日だ。今日も今日とて家事に奮闘中の蒼馬が迎えたのは、下宿先を追い出された姪のノリ子(浅丘ルリ子)と達夫(岡田真澄)の学生夫婦だった。口だけは達者な彼らは叔父に有無を言わせず、空いた六畳間を占領してしまう。その頃みはるは、仕事場に訪ねてきた従妹の松江(山根寿子)から、夫と喧嘩して恋人の明(青山恭二)と家を飛び出した話を聞き、空き部屋の提供を買って出る。結果、2組はみはる宅で鉢合わせすることと相成り、怒ったみはるは家出する。嵐を呼ぶ喧嘩の顛末やいかに。〔99分/白黒〕 | [投票] |
★3 | 機動戦士ガンダム THE ORIGIN III 暁の蜂起(2016/日) | ザビ一族の根城となりつつあるジオン共和国。彼らへの復讐の牙を研ぎ、キャスバルの名を捨てたシャア・アズナブル(池田秀一)が士官学校入学のため戻って来た。おりしも校長ドズル(三宅健太)が檄を飛ばす中、シャアを迎えたのは本物のシャア青年の友であるリノ(前野智昭)であり、彼をルームメイトに迎え厳しい訓練の日々は始まる。学業・体力ともにずば抜けた成績を上げるシャアに嫉妬の目を向けたのは、ザビ家の末弟にして同期のガルマ(柿原徹也)であったが、次第にシャアの策略に乗りペースにはまってゆく。そして士官学校とはいえ連邦軍の下部組織に過ぎないことに皆が苛立ちを見せるなか、連邦への反逆をシャアはガルマに示唆するのだった。〔68分〕 | [投票] |
★3 | 山河ノスタルジア(2015/中国=日=仏) | 20世紀最後の旧正月に湧く中国。教師タオ(チャオ・タオ)は、ふたりの男友達を大切に思っていた。だが彼女を見守るだけの炭坑夫リャンズー(リャン・チントン)を退けた、自信家の経営者ジンシェン(チャン・イー)がタオに言い寄って結婚に漕ぎつける。リャンズーはひとり故郷の街を離れ、ジンシェンは長男に「ダオラー(米ドル)」と名づけて溺愛した。やがて成功者となったジンシェンはタオと離婚、タオは祖父の葬儀の席にダオラーを呼び寄せるが、都会で育った長男は変わっていた。そして豪州で立派な青年となったダオラー(ドン・ズージェン)の前に、教師ミア(シルヴィア・チャン)が現われる。1999年から2025年へと続く家族叙事詩。〔125分〕 | [投票] |
★3 | おゆきさん(1966/日) | 大学教授の平山(笠智衆)の家に、うら若いお手伝いのおゆき(和泉雅子)がやって来た。中卒で知識はみな映画から得たと言い張るおゆきは、歯に衣着せぬ物言いで頑固一徹の平山を圧倒し、妻正子(小夜福子)や娘洋子(松尾嘉代)に気に入られる。だがおゆきは、洋子が木所(平田大三郎)という若者と一緒になろうとするのを拒む平山が、じつはたったひとりの娘との一方的な別離を悲しんでいることを察するのだった。そこから平山とおゆきの接近が学内でも疑われるようになるが、堅物な平山はムキになって否定したものの、彼女に言い寄る幼馴染みの碌(松山省二)には厳しい目を向ける。平山にとって、おゆきは娘同然の存在になったのだ。〔79分/白黒〕 | [投票] |
★3 | 青年の椅子(1962/日) | 日東電機社員の高坂(石原裕次郎)は、乗り物と曲がったことが嫌いな好漢だ。そんな彼は得意先を呼んでの大宴会で、酒に溺れて矢部商会の令嬢・美沙子(水谷良重)に絡む畑田商会社長(東野英治郎)を背負い投げにしてしまった。この所業で高坂は湯浅営業部長(宇野重吉)に絞られるが、その上で心意気を褒められる。そして意気投合した畑田から、湯浅の失脚を狙う不届き者に気をつけろと忠告された。一方この事件で男を上げた高坂に惚れこんだタイピスト十三子(芦川いづみ)は、陰謀に加担する大崎(藤村有弘)との婚約を解消した。大崎の仲間で、美沙子に振られた矢部商会の専務・田崎(高橋昌也)は、高坂の厄介払いをも企むのだった。〔93分〕 | [投票] |
★3 | ルーム(2015/米) | 母親ジョイ(ブリー・ラーソン)はひとり息子のジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)とともに、長きにわたり狭い部屋で毎日を過ごしていた。外界から隔絶されたこの小さな現実世界に、5歳の誕生日までジャックは疑念を挟まなかったのだ。だがその日、ジョイは自らが拉致誘拐された女であり、時々必要なものを差し入れするニック(ショーン・ブリジャース)という男こそが誘拐犯だと息子に教える。混乱するジャックだったが、母の立てた綿密な計画により部屋からの脱出を試み、みごとに成功する。警察の協力で母子は自由を手に入れるが、祖母(ジョーン・アレン)の家での生活は新たな混乱の幕開けとなるのだった。ラーソンはアカデミー主演女優賞を獲得。〔118分〕 | [投票] |
★3 | スポットライト 世紀のスクープ(2015/米) | ボストン・グローブ新聞社に赴任した編集局長バロン(リーヴ・シュレイバー)は、就任そうそう「ゲーガン事件」の見直しを部員に命ずる。それは80人の児童に性的虐待を加えた神父をめぐる醜聞事件であり、カトリックの根強い影響下にあるボストンではタブーと見なされるものだった。上司らの制止のなか、ロビー(マイケル・キートン)ら「スポットライト」チームに事件は任された。さっそく部員マイク(マーク・ラファロ)は原告側の弁護士ガラベディアン(スタンリー・トゥッチ)への質問を試みるが、全く相手にされず途方に暮れる。そんな中クローズアップされた被害者は、虐待者の神父があと13人はいると告げる。アカデミー作品賞、脚本賞受賞。〔128分〕 | [投票] |
★3 | 男なら夢をみろ(1959/日) | 幼い健太郎と夏雄は戦後の焼け跡で義兄弟となった。だが、兄貴分の健太郎が小野寺刑事(滝沢修)に捕まったことがふたりの明暗を分けた…。小野寺の保護下で法律を学ぶ健太郎(葉山良二)は、ふとしたことから暴力団雨宮組の一員となった夏雄(石原裕次郎)と再会する。健太郎は夏雄が悪党ではないことを見抜くが、彼らの間にある大きな溝を認めた。一方、小野寺の娘由紀(芦川いづみ)は、簡単に彼女の唇を奪った夏雄に惹かれてゆくのだった。だが、警察内部と極道との癒着から小野寺は撃たれ、事件は闇に葬られる。次に彼らが再会したとき、健太郎は検察庁の腕利き検事となり、夏雄は雨宮組の代貸となっていた。だが、その間の奇妙な友情は生きていた。〔90分〕 | [投票] |
★3 | 俺は地獄の部隊長(1963/日) | 北支戦線において、最後に残った第3砦は援軍を求め喘いでいた。日本軍駐営地で援助部隊を求める桂木少尉(小林旭)は少数の兵士をまとめ帰投するが、それにまぎれて佐々木少尉(内田良平)が同行した。桂木らが戻ると、難攻不落の要塞と思われた第3砦は発狂した隊長を除けば、わずかに村上上等兵(井上昭文)を残すのみとなっていた。そこで佐々木は桂木をないがしろにし、兵たちの同意を得て部隊長の名を僭称する。佐々木はたったひとりの弟を殺した将校を狙い、復讐のため北支の部隊を渡り歩いていたのだ。一方、佐々木に命じられて斥候に出た村上たちは八路軍の虜囚となり、そこで軍のタイピストを務めたというリカ(朝風みどり)と出会う。〔93分/白黒〕 | [投票] |
★3 | ディーパンの闘い(2015/仏) | スリランカの内戦で家族を失った兵士ディーパン(A・ジェスターサン)は、偽の妻子とともにフランスに流れた。妻ヤリニ(K・スリニバサン)と娘イラヤル(C・ヴィナシタンビ)の正体は、いずれも肉親を失った難民のひとりだ。それは、居住許可を求めるための方便だった。パリ郊外の団地に住処を用意されたディーパンは管理人の仕事を得、イラヤルも小学校へと編入される。だが、その団地は胡散臭い組織の常駐する場だった。ヤリニの家政婦としての勤め先も、ドラッグ密売組織を率いるブラヒム(ヴァンサン・ロティエ)の家庭なのだ。そして団地を故郷のように硝煙の臭いが包み始め、ディーパンは家族のため行動に出る。第68回カンヌ・パルムドール。〔115分〕 | [投票] |
★3 | 娚の一生(2014/日) | 都会で不倫関係に疲れ、故郷に戻って来たつぐみ(榮倉奈々)。その祖母である染色業を営む十和(紺野千春)が頓死し、葬儀ののち何とか安らぎを取り戻した家に、突然見知らぬ男が住むようになった。海江田(豊川悦司)と名乗る彼は、大学で哲学を教えているという。だが、つぐみの我慢ならなかったのは、祖母の教え子であるという彼が、まるで主人ででもあるかのようにつぐみに指図をすることだった。苛立ちながら同居生活をおくるつぐみだったが、母(根岸季衣)をはじめ友人の岬(安藤サクラ)などの誰もが、彼女と海江田を似合いの夫婦になると笑う。憤慨する彼女も、やがて海江田の強引さに惹かれてゆくのだった。〔119分〕 | [投票] |
★3 | 黄金のアデーレ 名画の帰還(2015/米=英) | ロサンゼルス。ブティックの主人を務める老マリア(ヘレン・ミレン)は、若き弁護士ランディ(ライアン・レイノルズ)にある話を持ち掛ける。オーストリアの至宝と謳われるクリムトの名画、「黄金の女」の返還依頼だ。名画はユダヤ系名家であったマリアの家からナチに略奪され、その罪を逃れるように公立美術館に展示されているのだ。ランディはこの仕事にやり甲斐を感じ、ウィーンに渡って一度は失意を舐めながらもマリアを叱咤して挑戦を続ける。マリアの脳裏をよぎるのは絵のモデルである伯母アデーレ(アンチュ・トラウェ)であり、彼女の死後迫害された若き日の自分(タチアナ・マスラニー)と夫フリッツ(マックス・アイアンズ)の逃走劇だった。〔109分〕 | [投票] |
★3 | ヴィンセントが教えてくれたこと(2014/米) | 飲む・打つ・買うの三拍子揃った不良親爺のヴィンセント(ビル・マーレイ)は、誰にも心を許さない人間嫌いで通っていた。ある日いきなりの大音響に起こされてみると、隣にシングルマザーのマギー(メリッサ・マッカーシー)と息子のオリヴァー(ジェイデン・リーベラー)が引っ越してきたところだった。早速のひと悶着で最悪の出会いと理解した母だったが、些細なきっかけからヴィンに心ならずもオリヴァーの世話を任せることになる。競馬の勝ち方、酒場での応対の作法、喧嘩の勝ち方を教え込むヴィン。そして娼婦のダカ(ナオミ・ワッツ)と息子を引き合わせたことでマギーの怒りは頂点に達するが、息子はヴィンの語られざる背景を知るのだった。〔102分〕 | [投票] |
★3 | 魔女の宅急便(2014/日) | キキ(小芝風花)は13歳を迎えた魔女見習いの少女だ。一族の掟に従い、まだ飛行する能力しか持たないながらも、彼女は黒猫のジジ(声:寿美菜子)を伴って母親(宮沢りえ)のいる故郷から修行に旅立った。またがったホウキの示す海辺の街に下り、キキは仕事を探す。しかしまだ幼い彼女に世間は優しくはなく、空腹を抱えて辿り着いた丘の上のパン屋に座り込むこととなった。そんなキキにパン屋の女将おソノ(尾野真千子)は部屋を貸してやり、彼女の「宅急便」作業の根城を与えた。さっそくの第1日目、張り切って届け物に出たキキだが、飛行機キチの少年トンボ(広田亮平)にからかわれさんざんな気持ちにさせられるのだった。〔108分〕 | [投票] |
★3 | 狼の王子(1963/日) | 戦後の北九州。米兵ビガー(チコ・ローランド)に男の生きざまを説かれながら、浮浪児のタケたちは逞しく毎日を闘っていた。そんなタケの眼光に狼を見た日下組組長(石山健二郎)は彼を引き取り、後継者として育てる。だが、武二(高橋英樹)の名を得たタケの眼前で日下は加納組の男に殺され、武二は裁判所内で下手人と加納(田中明夫)を射殺、収監された。数年ののち、刑期を終えた彼は後見人の文五郎(加藤嘉)に逃亡を示唆され、東京に向かう。しかし、武二は監獄の中で衝動に突き動かされない、思慮深い男に育っていた。安保闘争の中、右翼街宣車に乗りただ立ち尽くす彼を、新聞記者の葉子(浅丘ルリ子)は腑抜けと挑発する。〔102分/白黒〕 | [投票] |
★3 | 愛の渇き(1967/日) | 関西、杉本邸。次男良輔の亡きあと、その妻であった悦子(浅丘ルリ子)はなおもそこに残り、義父弥吉(中村伸郎)の無聊を慰める日々を送っていた。彼女の献愛は長男謙輔(山内明)の揶揄のもとであったが、悦子は何事もなくいなしていた。そんなある日、敷地を散歩していた彼女は、若い使用人三郎(石立鉄男)の労働に勤しむ姿に目をとめる。野卑で逞しい、若さを誇示するかのようなその肉体は、悦子の忘れていた感情を叩き起こすのに充分であった。悦子は三郎に靴下を買い与え、彼がそれを履かないといって叱責するゲームを楽しむ。だがその間に女中の美代(紅千登世)が入るのを嫌い、悦子は敢えて美代のための小言を三郎にぶつけるのだった。〔98分/白黒〕 | [投票] |
★3 | 黒い海峡(1964/日) | 恩義ある船場組長(山形勲)に番犬のように付き従う槇(石原裕次郎)は、組のために殺人をためらいなく犯し3年を牢内で過ごした。そんな彼への恋情を断ち切れない組長の娘・則子(十朱幸代)を振り返りもしない槇を、同期の男・哲次(中谷一郎)は責め、堅気になって愛を貫けと勧めるのだった。だが、その哲次が恋人であるクラブ歌手・知佐子(吉行和子)とともに組を出奔し、あまつさえ追手に差し向けられた組員を殺害したとの報告が届く。船場の命を受け、哲次を追って神戸に飛んだ槇は知佐子が歌うクラブに潜入し、彼女を受け入れた神戸の大物・大月(垂水悟郎)と対面する。大月が哲次に認めた利用価値とは何か。〔92分〕 | [投票] |