disjunctiveさんのコメント: 更新順
戦場でワルツを(2008/イスラエル=独=仏=米=フィンランド=スイス=ベルギー=豪) | Flashの制約を乗り越える工夫の楽しさは多々あったと思う。あのエフェクトの薄さでメカ描画をやるのはつらいが、メルカバのチェーンカーテンやアンテナの生体的な動きはユーモラスだ。コントラストで保たせる固いダイアローグも、後景の喧噪で愉しくなる。 [review] | [投票(3)] | |
HACHI 約束の犬(2008/米) | 起伏に富むとは思えないプロットワークを走り抜くことで、犬は鉄道町の地誌を浮かべる。秋田犬のモフモフ感を高揚させるマッサージプレイ、謎の剣道ごっこ、俺好みすぎるサラ・ローマー。90分に死角なし。 [review] | [投票] | |
スラムドッグ$ミリオネア(2008/英) | ツーリズム以外に、出題の幅にともなって分化したエピソードをまとめるものに欠けがち。兄貴の心理は追いきれず、負い目と外貌以外にラティカの魅力を語るものもないから、ジャミールの執着が記号的に見えてしまう。 | [投票(3)] | |
インビクタス 負けざる者たち(2009/米) | 画面端に映るモーガンの国連演説が好ましく、何気ない扱いだから余計うれし恥ずかしい。秘書アッジョアも、車中でモーガンとスポーツ大臣のラグビー談義に巻き込まれるとすごいウンザリした顔をして、細やかな意匠の享しみを与えてくれる。 [review] | [投票(2)] | |
(500)日のサマー(2009/米) | サマーがわからないのは、そもそも興味がないからである。興味がないから、彼女の姿態は台詞で能弁に説明され、逆に友人たちのディテールは説明がないのに濃密。これではホモソーシャルと言われても仕方ない。 [review] | [投票] | |
ハゲタカ(2009/日) | 情けない営業スマイルから始まって悽愴な変遷をたどる遠藤憲一の顔芸。勝手にスピンオフして刑事ドラマをやる嶋久のセクシィヴォイス。ますます妖怪化した中尾彬。全く役に立たない柴田恭兵。無駄にでかい龍平の茶トラ。相変わらずネタの宝庫。 [review] | [投票(1)] | |
沈まぬ太陽(2009/日) | 色々と小技が効いて飽きさせないのである。戯画化された接待攻勢がバブルの風俗観察として浮上すれば、負けじと渡辺謙がサバンナで半笑いを浮かべ、おそろしく不味そうにソバを啜る。油断するとハリボテの747が画面を横切り、睡魔の付け入る隙を与えない。 [review] | [投票(1)] | |
イングロリアス・バスターズ(2009/米=独) | 才があれば技術で、それが叶わないなら殺し合って筋を通す根性論で、格好を繕う以外に意味がありそうもない道徳の相対化を乗り越えたい。 [review] | [投票] | |
パブリック・エネミーズ(2009/米) | デップのロマンスにクリスチャン・ベールの童貞軍団が煽られるまではよいとしても、けっきょく両者に話の段取りを語らせるほどの能力はなく、事件は偶然に振り回される。この中折れ映画に活を入れるのがわれらが“大佐”スティーブン・ラングである。 [review] | [投票(1)] | |
大阪極道戦争 しのいだれ(1994/日) | 最初から阿部寛が札束を積むので経営シミュレーション要素はない。むしろ本田博太郎や番頭といった小役人造形が最後には役所広司をものともしない高潔さに至る様に物語の価値あり。 [review] | [投票(2)] | |
ピアニストを撃て(1960/仏) | ダイアローグになると台詞に絵が引っ張られクタールのドキュメンタリズムなワクワク感が中絶。しかしカット割りにつられて車中で忙しげに振り向くマリー・デュボワのかわいさは異常。基本的に童貞の妄想だと思うが、その早漏さを活かしてこそ浮かぶ瀬もある。 [review] | [投票] | |
シャブ極道(1996/日) | 本田博太郎堂々の最高傑作。嚥下と素振りの迷いなき苛烈さを見よ。彼の激烈な物腰と早乙女愛の聡明な野望が、役所の酷烈な愚鈍状態に物語という秩序の光をもたらす。『グッドフェローズ』『ブロウ』の大向こうをVシネ画質で張る暴力団ビルドゥングスロマンである。 [review] | [投票(1)] | |
パピヨン(1973/米=仏) | 金が潤沢な上にマックィーンが頑丈とあってはゲームバランスが悪いかもしれん。その意味で孤立無援の独房入りこそ物語に価する生活観察だったと思う。コーネカンプのライティングだってあそこではノリノリだ。 [review] | [投票(1)] | |
96時間(2008/仏) | 画面はフィックスがちで、人物の縦横も簡素である。奥行きに対するストイックな態度は、次々とやって来る早漏めいた編集点によって代替され、三次元空間を前提にできないジャンルアニメのようなカット割りに。 [review] | [投票(3)] | |
ミルク(2008/米) | ショーン・ペンが有能すぎて出世街道のトレスになりがちなところを、不穏な結末を前提としたり保守的な女性をミソジニーのはけ口にしたりで、強固なエンタメ構造の助けを借りて二時間を無難に全うできたと思う。 [review] | [投票(3)] | |
ブロウ(2001/米) | 経営的手腕という手際を映画は総集編という速度で表すしかない。この話が潜在的に煽り立てる実務へのあこがれは、家族という文芸路線の深刻さをまるで実感させない。痛いのは引き際と資産保全の後悔だ。 | [投票] | |
サンダーボルト(1974/米) | 追っ手のジョージ・ケネディは魔法のように移動し、遊び半分のバイトはエリコンの20mmに易々と行き着く。プロセスがないというよりシーン相互の論理的な接続が弱い。ニューシネマという型が先行し、そこにエピソードを詰め込もうとしている。 [review] | [投票(1)] | |
重力ピエロ(2009/日) | 小日向文世がカツラをまとい、渡部篤郎がニヒルに笑えばそこは異世界。この大人たちがマンガであることを徹底するからこそ、加瀬亮と岡田将生の不毛なダイコン畑に色彩が添えられるのである。 [review] | [投票(2)] | |
さよなら。いつかわかること(2007/米) | ハイディ12歳の出木杉な作り込みはややもすると浮世離れで、ライターの趣味趣向につき合わされる心地を覚える。事件が子どもを聖化する手段になりかねないのである。 [review] | [投票(1)] | |
狼(1955/日) | 浜村純に限っていえば、たわいもない痴話を事件の動機にするのは飛躍だと思うし、そこに観念化の危機がある。手切れ金を渡す件になるとキザすぎて見てられない。 [review] | [投票(1)] |