カルラの歌(1996/英) | ★5 バス運転手の俺(ロバート・カーライル)ってダメ男さ。自分でも分ってるよ、そんなこと。スケベ心はある、でも困ってる人は女でなくても助けるぞ。ニカラグアって名前しか知らなかったけど悪いか。ふさぎこむカルラを、勤務中バスを私物化して湖に連れてったのはスコットランドの誇りを見せて気分を変えたかったんだ。カルラを国に帰らせた理由は自分でも分かんないけどサッチャーがテロの国だって言ってたし、行くしかないと思って…。でも、見ちゃったよ。どっちがテロだって!? インテリ左翼の宣伝で聞いたことはあったけどヒドすぎじゃん。サッチャーの嘘つきが荷担してるってことぐらい、無知な俺でもわかったぞ。それにしてもイギリスがカルラの国にまで害を及ぼしてたなんて――サッチャーの犠牲者は俺たちだけじゃなかったんだ…… [more] (Amandla!) | [投票(7)] |
ソドムの市(1975/仏=伊) | ★4 忠告:興味本位で手に取った貴方。遺言状を読む、心の準備はできていますか? ―鬼才パゾリーニが、マルキ・ド・サドの禁断の書『ソドムの百二十日』を、第二次世界大戦末期の北イタリアを舞台にして描き切った遺作。ファシスト・権力者である公爵・司教・大統領・判事の4人が、村から「完璧」(ちょっとスキッ歯だけでも失格!)な少年少女を16人に厳選する「地獄の入口」からスタート。その選ばれし者達と、3人の語り婆と1人のピアニスト、男前の親衛兵若干名を引き連れ、郊外の屋敷にしけこみ…なっ、なんなんだ、この『ヘアスプレー』ばりのゴキブリドレスを着たオバハンは?ピアノの調べにのって語りだしたぞ!結婚?検便?ウゲッ…とうとう始まってしまった…以下、変態地獄、糞尿地獄、血の地獄と四部構成からなる、ダンテも慄く阿鼻叫喚地獄絵図。 [more] (muffler&silencer[消音装置]) | [投票(13)] |
秋菊の物語(1992/中国=香港) | ★5 あたし秋菊(鞏俐)、赤唐辛子作りの農家の嫁で妊婦です。夫が男の大事な所を村長に蹴られて怪我したので文句言いに行ったら、村長のヤツ相手にしないしぃ。郡のお巡りさんの仲裁にも、村長は謝る代わりにお金バラ撒いて受け取れって言うの。受け取れませんよねそんなお金。県の公安に訴えても結果は同じ「金は払うけど謝んねぇ」一点張りの村長。生まれて初めて泊りがけの旅行して都市にも訴えた(お土産買っちゃった♪)けど、金額が増えただけ。納得できないわ。夫はもうやめろと止めたけど裁判しても負け。上訴しました。村長が嫌いなんじゃなくって、お金はいいからとにかく反省して謝ってほしいんです。そしたらあたし、大晦日に…あたし… [more] (Amandla!) | [投票(8)] |
裸の大将(1958/日) | ★5 ボ、ボクは山下清(小林桂樹)っていうんだな。ボクは頭が悪いんだけどそれは何でかって言うと生まれる時に頭が悪かったからなんだな。学校でからかわれるので小学校も5年で辞めたんだな。それで何だかボクみたいな人がたくさんいる「学園」てところに入ったんだけど春になるとつい飛び出していってしまうんだな。そ、それでいろんな場所を放浪して回っておっ母さん(三益愛子)も死んだって嘘ついてまでゴハンを恵んでもらうんだな。でもボクの言うことはちょうど今戦争中の日本では結構浮くらしいんだな。な、何でなんだろうな。[92分/カラー/シネマスコープ] [more] (Yasu) | [投票(10)] |
タイタニック(1997/米) | ★5 トレジャー・ハンターのラベット(ビル・パクストン)以下ケルディッシュ号のクルー達は、カナダ沖大西洋の海底約3800mに眠るタイタニック号を潜水艇で探索をしていた。彼らが求めていたのは、56カラットのブルーダイヤ”碧洋のハート”だった。しかし、ダイヤが眠っていると思われた金庫を引き揚げるも、中から出てきたのは裸女のスケッチだけ。報道にその絵が自分だと名乗りを挙げた老女ローズ(グロリア・スチュワート)は、クルー達に85年前の悲劇の一部始終を語りはじめる。・・・以下、《けにろん》氏のあらすじに続く。 moreはこの映画を100倍楽しむ方法(多分、シネスケ最長文)。 [more] (アルシュ) | [投票(28)] |
アントニア(1995/英=ベルギー=オランダ) | ★5 「最期の時が来たわ」年老いたアントニア(ビレケ・ファン・アメローイ)は死の訪れを知り、母親を看取って50年の回想を脳裏に浮かべる――戦後間もなく都会から娘のダニエルを連れて帰郷。村人は「放蕩娘のお帰りか」(ルカ15:13)と冷やかすもどこ吹く風。大地を耕し、撒き、穫り入れ、どんな人間もありのまま受け容れ、自由奔放に生きる彼女の回りには「血縁を越えた家族の絆」が広がっていく。同性愛者、障害者、子どもが同じ食卓につき、同じものを食べ、ともに生きる。悲しみや苦しみを「いのちの喜び」に変えてしまうアントニアの魔法のような愛情が、人々を包み込み、変えていく。そしていのちの環は続き……。ファンタジックで新鮮な「女たちの誕生と生と死」の物語が女性から熱い支持を得て、95年オランダ、ハンプトン、シカゴ、ジェノバ、トロント各国際映画賞、96年アカデミー賞最優秀外国語映画賞。 (Amandla!) | [投票(4)] |
ひなぎく(1966/チェコスロバキア) | ★4 「幻の60年代、女のこ映画の決定版!ウソとバカ騒ぎとお気楽さだけの女のこ二人のハチャメチャ行状記。オシャレして、男だまして食べ放題...泣きまねして逃げちゃえ!」―パッケージより―
自由奔放な姉妹(かどうかも?)が繰り広げる無秩序で刺激的な<非日常的日常>。その世界は、青林檎、鍵、蝶の標本、ハサミ…メタファーにあふれ、実験的なカメラワークに効果音、斬新な色使い、ファッションとメイク、色ズレに光学処理、含蓄あるセリフの数々…同時代の映画作家、例えばゴダールの、先を行った女性監督ヒティロヴァの「踏みつぶされたサラダだけをかわいそうと思わない人々」に捧げられた、画期的な映画。当時の東欧では、彼女の作品は斬新すぎ、弾圧を受けて活動停止を余儀なくされた。ちなみに「ひなぎく」とはチェコの花言葉で「貞淑」...「なぜ、'愛する'という代わりに'卵'と言えないの?」 (muffler&silencer[消音装置]) | [投票(5)] |
ケロッグ博士(1994/米) | ★0 舞台は20世紀初頭の米国、かの有名なコーンフレークの代名詞ケロッグ社の創始者ケロッグ博士アンソニー・ホプキンズが提唱する健康とは? その博士の教えにぞっこんな妻エレノアブリジット・フォンダが夫ウィルマシュー・ブロデリックを連れて博士が運営する世にも奇妙な療養施設!に入院して「健康」を手に入れるべく療養に励むが... そこは徹底した菜食主義と、禁欲主義によるスパルタ式健康へ険しい道のりであった....「レスター博士」が「ケロッグ博士」となり観客を肉食から菜食へと導くというお笑い付き。さてこの夫婦が最後に手に入れたものは?! (のこのこ) | [投票(3)] |
カルメン故郷に帰る(1951/日) | ★4 「聞いたか、東京へ家出して“リリー・カルメン”とか言う名でダンサーになった、きん(高峰秀子)がここ信州に帰ってきたとよ」「おまけに仲間のダンサー(小林トシ子)まで連れて」「故郷に錦を飾ったてなわけかい」「しかし出迎えた校長先生(笠智衆)はド派手な格好の二人に腰を抜かしたらしいぞ」「しかも、ダンサーはダンサーでも、実は裸踊りだと言うでねえか」「東京では裸踊りでなくストリップと言うんじゃ」「村の若いもんが変に影響されんか心配じゃのう」「しかし裸踊りも面白そうじゃ」「ひとつ見にいってみるべえか」「おお、そうするだ」。[86分/カラー/スタンダード] [more] (Yasu) | [投票(11)] |
初恋のきた道(2000/中国) | ★4 父が死んだ。母は泣いていた。父の遺体は町の病院にあるという。昔からの村の風習で、死んだ者は担いで村に帰らせることになっている。家路を忘れないために。しかし今の時代、人手は少ないし実現は難しい。それでも母は担いで帰らせたかった。父にもう一度その道を通らせたかった。初恋のきた道を… (バーボンボンバー) | [投票(12)] |
人間の証明(1977/日) | ★3 「ヘイ!ジョニー!どこへ行くんだ?」「Kiss Me!」NYのハーレムに住む黒人青年ジョニー(ジョー・山中)が街を旅立った。しかし数日後、彼は東京のホテル・ニュー・オータニで殺された。最後に謎の言葉「ストウハ」と西条八十の詩集を残して・・捜査線上に見え隠れするデザイナー八杉恭子(岡田茉莉子)と息子(岩城滉一)。警視庁の棟居(松田優作)がNYへ派遣され、NY市警のシュフタン刑事(G・ケネディ)の協力を得て捜査を開始した。やがて暴かれていく事件の真相と棟居自身の過去。絡みあった過去はそれぞれの人間としての証明を求めているかのように・・・「母さん、僕のあの帽子どうしたでしょうね」 [more] (sawa:38) | [投票(11)] |
ラブ&ポップ(1997/日) | ★4 1997年の今時(大笑)の女子高生の生態をオヤジの目を通して脚もとから観察した擬似ドキュメンタリー風物語。世の中、ヒマそうにしている女子高生とヒマそうにしているサラリーマンの2種類しか現れない不思議な渋谷という街をベースに援助交際を通じて気色悪いのやら怖いやらの色んな経験するうちに何にも変わらない女子高生の瞬間を切り取ったような映画(我ながらすごい切り口だな)。『エヴァンゲリオン』で賛否激しい庵野監督の初・実写映画。堂々と女子高生のスカートの中にカメラを突っ込んでも「ミニにタコが…」と言わず「ゲージツですから」と豪語している画面が色んな意味で泣ける。個人的にも忘れられない(色んな意味で)1本。 (ピロちゃんきゅ〜) | [投票(4)] |
バックビート(1994/英) | ★3 '60年、イングランド・リバプール。美術学校の悪ガキ、スチュ(スティーブン・ドーフ)とジョン(イアン・ハート)は今日も酒にケンカにと明け暮れる。「時代はロックンロールだぜ!」と、ジョンはスチュをバンドへ誘って、ビッグになろうとハンブルグへ旅発つのだった。徐々に力を付けて行くバンドの前にアストリッド(シェリル・リー)が現れた辺りでスチュがどうもおかしい。ポールは「やつを切ろう」とまで言う始末(当時からバンド論にはうるさい)。ジョンは「ヤツを切るならオレもやめる!」と言って親友をかばうが…。初期ビートルズの人間関係を描いた映画達の中では最もドラマチックな演出を施した作品ではあるが、史実かどうかはもはや誰も知らない。 (ピロちゃんきゅ〜) | [投票(1)] |
氷の微笑(1992/米) | ★1 甘く怪しい声が蠢く中、一人の男がベッドに両手を縛られて、一人の女が快楽を弄ぶ。そして女は恍惚とした絶頂を迎える瞬間にアイスピックで男の厚い胸板を貫いて更なる快感を得るのだった…。この奇妙(?)な殺人事件の調査に乗り出したニック(ダグラス)とガス(ズンザ)。容疑者として男の恋人であり、作家のキャサリン(ストーン)が現れる。思いっきり怪しいキャサリンにエロい魅力を感じつつ翻弄されるニック。取調室のノーパン脚組換に生つばを飲むガス。その苛立ちはニックのベス(トリプルホーン)へのレイプへと繋がる(←ダグラスの早業注目)。実はこのベスも裏事情がえろえろあって、また彼は「一体、どうなってるんだ!」と叫ぶのだった。 (ピロちゃんきゅ〜) | [投票(5)] |
大いなる遺産(1946/英) | ★4 主人公ピップ(ウェイジャー/ミルズ)はビンボな家の子。家では「the boy(この子)」で済まされ、名前すら呼んでもらえない。14 歳になったら鍛冶屋に丁稚奉公だ。しかしある日、近所の屋敷に住むミス・ハヴィシャム(ハント)が、娘の遊び相手にとピップを指名。「キ○ガイだから心配」だが、「遺産のオスソワケがあるかも」とお母さんはニンマリ。じっさい、ハヴィシャムさんは噂にたがわぬ変わり者で、時間の止まった屋敷で、陽の光を閉ざして暮らしていた。でも、その娘エステラ(シモンズ/ホブソン)は美人でイジワルなので、ピップの初恋の花ひらくが、いかんせん身分が違いすぎる。「どうして僕は紳士(ジェントルマン)ではないんだろう?」 ピップも 14 歳になり、屋敷から足が遠のき何年かが過ぎたある日、ナゾの後見人が現れ、ピップを紳士にしたいと言い出す……。ディキンズ原作、白黒/約118分。 (カフカのすあま) | [投票(1)] |
アメリカ万歳(1984/米) | ★4 カクテル・ウエイトレスでエミューのカッコをさせられたりして「やってらんねえぜ」って顔のサニー・デイビス(ゴールディ・ホーン)。なかなかキュートなのは置いといて、たまたま中東小国の王子暗殺計画を負傷しながらも阻止してしまう。勘違いながら正義感あふれるヒロインとしてインタビューを受けたサニーは率直な意見で政治家が口を濁す諸問題をバッサバッサと切り捨てて、もとい、諸問題を庶民的正論でかわしつつ、記者達の支持を受ける。それを見た大統領補佐官達。「この娘を利用しよう」と計画し、一躍タイムの表紙を飾ったりして時の人となったサニーを国務省に迎え入れて、「国の為に」という大義名分の中ある命令を下すのだが…。 (ピロちゃんきゅ〜) | [投票(2)] |
黒猫・白猫(1998/独=仏=ユーゴスラビア) | ★5 ドナウ川のほとりに暮らす自称天才ギャンブラーのオヤジと純真でじいちゃん孝行なムスコを中心に、ギャング・マフィア・テキヤ・死人・アヒル・ブタ・ヤギ・切り株・ボットン式トイレたちが織りなす、愛とお金と犯罪と音楽と歌と踊り、そして笑いと勇気のぐるぐる絵巻。黒猫が画面を横切れば不吉のしるし、白猫が画面を横切れば幸せがやってくる。2匹揃えばナニが起こる!?・・・エミール・クストリッツァの引退宣言後第1作。主演数人を除き、出演者はほとんどが素人のロマ人(ジプシー)で、彼らは台詞を覚えられず、台本はあってないようなものだったという。とくに主役級のじじい二人は「台詞を覚えて、それを喋る」ことを理解しているかどうかも怪しく、絶対台詞を覚えない。キレた監督が「次に違うこと言ったら殺す!」と叫んだところ、じいさんたちは「わしも1カ月ぐらい前からそうして欲しいと思ってた」と返したとか。 (はしぼそがらす) | [投票(28)] |
太陽を盗んだ男(1979/日) | ★5 完全武装のちょっとアレな老人が中学生の観光バスを占拠。 「天皇陛下に会わせろ!」皇居に向かって手榴弾。 これを見ていた担任の先生、一念発起で東海原発に進入を敢行。 見事プルトニウムを奪取! 続いてサラ金から金借りて六畳一間で被爆しながら原爆製造に大成功。 気を良くした先生、警視庁を脅しプロ野球の延長放送を要求。 渋谷のデパートから5億円をばら蒔いたりやりたい放題。 しかし!抜ける髪の毛、歯茎から血が! ど〜しよう…そうだ自殺しよう。決意する先生。 だけどできませんヘタレだから。 執拗にせまる不死身の文太刑事との死闘。 壮絶なカーチェイス!武道館での最終決戦!乱れ飛ぶ弾丸(?) ああ!もう時間がない!!はたして東京の運命はいかに!? (toga) | [投票(22)] |