[コメント] ハウルの動く城(2004/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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というよりも全身全霊で言い切る。これは私の夢だわ!!そしてえげつない言い方に変えると『ラピュタ』はロリコンのための映画であり、『ハウル』はショタコンのための映画。ま、これは言いすぎかも知れないですけど。
私に『ラピュタ』を薦めてくれた年下の男の子と『ハウル』を観に行ったんですが、彼はやはり『ラピュタ』の方が好きであり、私は『ハウル』の方が上回った。そこに男と女の夢の相違が表れていると思います。そもそも互いの城からして的を射てる。ラピュタの城は空にあり、理想を求める男にピッタリな感じだし、ハウルの城は動きはするがしっかりと地にある。現実的な女にピッタリだ。・・・って思いません?
自分を信頼し、なついてくれる可愛い子供。夢のマイホームに加え、木村拓哉の声をしたいい男(ジャニヲタにはたまらん)、しかもちょっと弱虫で母性本能をしっかりくすぐってくれるタイプ。そして弱虫のくせに精一杯守ってくれようとする健気さもある。美しい景色なんていうサプライズも忘れず用意してくれるし、何より私の容姿を気にしない。でも自分の容姿はしっかり気にするいい男。最高。ハウル最高。こんな男、空から落ちてこないかな〜(それ違うよ)。
ハウルも最高なんだけど、ソフィー自身がものすごく魅力的。女性としてこうありたい!と思う理想。まさに私が思い描く最高の女性。それがソフィーでした。シータに足りないものがあったとしたらそれは、包容力じゃないでしょうか。男を優しく包む母性。それはシータが少女であったがゆえに持ち得なかった魅力だと思うんですね。ソフィーはシータよりもう少し大人であり、しかも魔法で老婆に変えられる。そこでシータが持ち得なかった魅力を手に入れる訳です。「ハウルは弱虫じゃなきゃダメ」でしたっけ?そのソフィーの台詞に全てが込められていると思うのです。精一杯私を守ろうとしてくれるその姿勢だけで充分。あとは私がなんとかする!この強さ。包容力。これだよ私が求めていたものは!
そして私が一番胸にきたシーン。カルシファーを手にしてしまい燃え盛るおばあさんを見てソフィーが取った行動。自分を老婆の姿に変えやがった憎き荒地の魔女。そんな彼女を助けるためにハウルの命であるカルシファーが消えてしまう事も恐れずに水をぶっかける。この時彼女はおばあさんを助ける事しか考えておらず、それは女としてではなく、人間としてものすごく崇高な行動であり、尊敬に値する行動だと思うのです。カルシファーの青白い炎を見て我にかえったソフィーが外で号泣するシーンでは、胸が締め付けられる思いがしました。なんと素直で、いとおしい女なんだろう。私がハウルなら間違いなく抱きしめる。愛する人を守る事も大事だけれど、ピンチに陥っている他人を咄嗟に助けるという事がどれほど大事な事なのか。しかもそれが憎むべき相手であるのに。ものすごい泣いた!ソフィーと一緒にダーダー泣いた。人間のあるべき姿のその清らかさに胸が詰まり、泣きました。
それからソフィーが老婆と少女にコロコロ変わるという設定。それは単にソフィーの気持ちの問題だと思うんですよ、私。実際に若返ったり老婆に戻ったりしている訳ではないんじゃないかなーと私は思いました。女もこの歳になると(あ、私の事です)実年齢と精神年齢にだいぶ差が生じてきます。女はいくつになっても心だけは若くありたいと願っているし、「年齢なんか全く気にしないよ!」って神様みたいな台詞を発する男を待っているんですよ。そういう女心であるソフィーの一喜一憂を表現しているんじゃないのかなと思いました。
前半はとにかく唐突なシーンが多かった。ソフィーは老婆に変えさせられた事に対し怒りや悲しみといった感情が欠如していたし、それを静かに受け入れる姿勢が嘘くさい。っていうか、女なら普通発狂するよ。それから心は少女のままなのに「老婆は失うものがない」なんて言っちゃうのも嘘くさい。っていうか、どこまで悟ってんだよ!みたいな。ハウルへの恋心も唐突すぎる。いきなり「愛してる」なんて言えねーよ。一目惚れはあるにしてもさ。そういう細かいところで「?」なところはあったけど、私にとってはこれは女の夢として、大事に心に持ち続けたい映画ではありました。女として忘れちゃいけないものが詰まってる。それをロリコンの呼び名も高い宮崎監督が描いてくれた事に喜びを隠し切れません。
もう一回観に行こうっと。
(2004.12.07 記)
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