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★2 | レヴェナント:蘇えりし者(2015/米) | 奪う者は奪われ、奪われる者も奪う。自然はあるがままに与え、奪う。そのフラットな条理を描こうとしながら、結局演出上気合いが入るのは、グラスの怒りを感受して逆巻く風と樹木。あらゆる点で歪なのである。あと、監督や演者、スタッフさんを労うために映画を観るのではないのであるのに、★2をつけるとバチが当たりそうな気がするのだ。そういう作り方はやめてもらいたい。つまり、いつものイニャリトゥである。 | リア, jollyjoker, 3819695 | [投票(3)] |
★5 | ウルフ・オブ・ウォールストリート(2013/米) | 陰惨なポルノになりそうなところ、「ハメれどもラリれども、我が×××満たされざり、凝っと×××をみる」的にウェットな実存の哀しみに溺れさせたり、憐れみの視線を送ったりしない。神の影を微塵も感じさせないこのドライな一貫性は偉いと思う。ここには罪悪というものがない。レオは史上最高値。圧倒的な軽佻浮薄と軟体動物ギャグ。破廉恥! | 3819695, ぽんしゅう, けにろん | [投票(3)] |
★4 | リアル鬼ごっこ(2015/日) | 制服、白いドレス、タンクトップ姿で蹂躙される「女性」。この取っ替え引っ替えはシチュエーション系のAVのそれであり、追尾・俯瞰・包囲するドローン撮影は、消費し搾取する野郎の視線そのものである。「スカートめくり」の幼児性が横行する「世界」は確かにシュールだ。性の寓話として底意地の悪い皮肉が貫かれ、嘘や照れのないマノエリ幼年期の儚いリリシズムと詠嘆は、ゲスの極みと対極に置かれて強度を増す。伏兵的傑作。
[review] | ロープブレーク, 煽尼采, けにろん | [投票(3)] |
★4 | ペイルライダー(1985/米) | 「神がやらぬのなら俺がやる」。この「奇跡」は「わざわい」のようであり、「わざわい」は「奇跡」のようでもある。神を否定し、人ならざる力をふるい、死を執行し、交わらず、振り返らず去る孤独。厳しい物語である。 [review] | 3819695, ぽんしゅう, 週一本 | [投票(3)] |
★2 | 北国の帝王(1973/米) | 轢死体に呑気な劇伴や晴天が被さる開幕で、呑気であるがゆえにかえって惨劇が日常に埋没した大恐慌的地獄が露わに。ここで傑作の予感がしたのだが、後の弛緩からして、単に一貫してないだけだと思われる。諧謔ともガチとも取れないシナリオに戸惑うばかり。しかもその困惑は企図したものじゃないだろう。キャラダインの小僧キャラは設定、ビジュアル、声質など、全て不愉快。 | disjunctive, けにろん, ぽんしゅう | [投票(3)] |
★2 | ドライヴ(2011/米) | 寡黙でカッコイイ、というよりもボーッとして愚鈍にすら見えるゴスリングに絶句。キャラのみならず彼を切り取るスローモーションや編集がまずい。で、こういう類型的キャラへの脱臼的批評性がある訳でもなく正攻法なのが苦しい。何度も街を俯瞰で撮りながら「街」を全く描けていないのもみみっちく、ジャンル的に致命的と思う。パールマンも不憫だが「マリガンは俺の嫁」的な戯言は一つ、弄しておきたい。かわいい。 | KEI, 3819695, jollyjoker | [投票(3)] |
★4 | 魔女の宅急便(1989/日) | 冒頭、キキの一見乱暴な箒術は母から「相変わらず下手ね!」との評を貰うが、「才能」という「可能性」を持て余して天然で暴れ回っていると観るのが正しいだろう。飛ぶシーンはキキの心象を反映してそれ自体のアクションがいちいち超素晴らしいが、対比的に「飛ばない」シーンが優れているから、双方が輝きを増す。一人で歩く岸壁の砂利道、ウルスラの家を訪れる際に乗る車のヒリヒリした違和感に「重力」を感じさせる。 [review] | Orpheus, ぽんしゅう, 緑雨 | [投票(3)] |
★5 | 風の谷のナウシカ(1984/日) | ウチでは何かが腐ると「腐ってやがる・・・早すぎたんだ」「焼き払え!」と口にするのが習わしになっている。余談はさておき、口にすれば分かるが、前者は実に変な台詞なのだ。しかし、優れたSFには必ず、その世界でのみ圧倒的なリアルを発散する台詞が登場する。これだけの世界観の充実に神業的演出をかぶされると、マジで漏れちゃう。 [review] | 寒山拾得, 緑雨, けにろん | [投票(3)] |
★4 | ブラック・サンデー(1977/米) | 原作と監督のスタンスの匙加減がいいのだろう。『ミュンヘン』で感じたような致命的違和感がここにはなかった。大義を巡る要点は整理されて過不足ない。素っ気ないタイトルバックやお偉いさんがぶつぶつ呟く会議、襲撃シーンのドライさ。一方で、隠しても隠しきれないウエットさが滲むテロ首謀者二名の造形。安易に形容しがたい「特殊」な
結びつき。滲ませない演出、滲んじゃう部分双方に惹かれる。「音」への気配りも◎。 | 3819695, ナム太郎, ぽんしゅう | [投票(3)] |
★5 | パルプ・フィクション(1994/米) | キャラを状況に放り込んだらどうなるかという純粋興味が最高の果実を結んでいる。サミュエルの圧倒的滑舌を筆頭に、会話劇のテンポは最早ミュージカル。サリー・メンケの編集も流石。戦禍をくぐった時計を巡る「英雄的」挿話を与太話(コーエン的な無常もない、単なる与太話)に変換する逆説的な真摯さや、駒と時制を統制して「我こそは神」と叫んでしまうあたりも、やっぱりタラちゃんカワイイわ、と思う。 [review] | 3819695, ナム太郎, ぽんしゅう | [投票(3)] |
★5 | トイ・ストーリー(1995/米) | 嵐のように荒れ狂うアンディにもみくちゃにされてもなお、貼り付けたように笑みを崩さないウッディ。土台に足を貼り付けられても頓着しない「兵隊さんフィギュア」の「作戦行動」。冒頭から催涙フラグが乱立し、全アクションから情感がだだ漏れている。制約の中でそれに頓着せず力一杯飛翔すること。更に「棄てられるものたち」に寄せる想いの強さはティム・バートンに比肩する、泣き笑い映画の傑作。(初見) [review] | ナム太郎, 3819695, けにろん | [投票(3)] |
★4 | ターミネーター2(1991/米) | 不死の敵との対峙も、「機械」との「愛」の構築も「プログラム=運命」の破綻因子=エラー=人間による戦いであるというコンセプトの軸はやはり熱い。機械と人を分かつもののテーマをもっと掘り下げて欲しいと思いつつ、ただのプログラムから「父」と化す満身創痍のシュワはやはり泣かせる。しかし、機械とヒトの接近において、ロバート・パトリックの造形を介して、おぞましさも併置される演出が面白い。 [review] | 3819695, ぽんしゅう, けにろん | [投票(3)] |
★3 | ミザリー(1990/米) | 「希望」が僅かに残される距離感が醸す隔靴掻痒の狂おしさ。愛も憎も狂的であることに変わりない紙一重という説明の簡潔さと、愛と憎の両極を瞬間移動するベイツの瞬発力。そして、事は全て「ハーレクイン」(愛の安売り)に起因するというむなしい滑稽さ。絶望的ストレスの蓄積の果てに笑うしかなくなる。素材はいい。素材は。 [review] | 週一本, ぽんしゅう, けにろん | [投票(3)] |
★5 | 蒲田行進曲(1982/日) | 「愛」と分かちがたい「憎」のぐちゃぐちゃが深みを与える「銀ちゃん・・・かっ・・・こいい」。愛も憎もサドもマゾも本質的には変わりないという証明。混沌とした「便宜的に愛とよばれるもの」を描いて比類ないと思う。この混沌とした極端こそ、私が映画に求めるものです。 [review] | けにろん, ナム太郎, ぽんしゅう | [投票(3)] |
★4 | ブギーナイツ(1997/米) | どんな姑息でクソッタレな人生でも、それと決めて始めてしまったら続けるしかない。一見華やかで脳天気なセックスとドラッグの饗宴はしかし、いずれ勃たなくなる男根が象徴する終わりや破綻への恐怖の裏返しのようだ。終わりを予感しながら「騒ぎ続ける夜」の、何という残酷さ。しかし、そんな人生達にも帰る家はある。というより、彼らは寄り添って家を「作る」だろう。優しい物語。
[review] | けにろん, 週一本, jollyjoker | [投票(3)] |
★2 | THE 有頂天ホテル(2005/日) | 観せる者と観る者相互の「共犯」。私はこれには与したくない。観る者の予想を遙かに上回り圧倒しようという迫力と良い意味での悪意が感じられない(悪意がないのが三谷さんですから要するに好みなのですが)。約された大団円へ向かう馴れ合い芝居に刺激のかけらもない・・・と思いきや、ただ一点、付き人(梶原善)の神速平手打ちに気概を感じた。本作に足りなかったのは、この「真摯な裏切り」であると思う。 [review] | ダリア, おーい粗茶, けにろん | [投票(3)] |
★4 | 遊星からの物体X(1982/米) | 笑っちゃう画が確かにあるが、真の絶望は冗談を引き連れて現れる、という視座から観ると完全に妥当だ。しかも様々な表情の死が大挙して観る者を襲う。餓死、凍死、焼死、肉を切り裂かれ貫かれる痛みへの恐怖。しかしそれらを遥かに凌駕する「私が私であるという確証がどこにもなくなる」という「個・我」の死という恐怖を生者に強いる映画だ。 [review] | わっこ, 3819695, けにろん | [投票(3)] |
★4 | 96時間(2008/仏) | 荒れ狂うプロ、毒を以て毒を制す。暴力という毒への疑義抜きに毒を語るのは今時野蛮か無自覚と思うが、そのへん眼中に一回入れた上でぶっ飛ばしている感がある。銃口を外道に向けるニーソンの落ちくぼんで昏い眼窩などの一匙演出が的確。昨今、正義の暴力をエンタメに仕上げる難しさを思うと、なかなかに困難な「快感と倫理」のバランス上でつま先立ちするスリル感を覚える。ニーソンという人選はその印象の絶対条件。 [review] | おーい粗茶, 3819695, けにろん | [投票(3)] |
★4 | 白いリボン(2009/独=オーストリア=仏=伊) | 「世界のこわれかた」。
[review] | jollyjoker, chokobo, けにろん | [投票(3)] |
★4 | 隠された記憶(2005/仏=オーストリア=独=伊) | 嘘とトラウマが炙り出され、関係性の仮面を破壊される時、崩壊状態こそが「日常」となる。しかしそのささくれた自覚に立たされた上で、再び「監視」されたまま「平穏な日常」に差し戻される地獄。「視る」という暴力へのサド的快感の共有と、「視られる」ことへの「疚しさ・罪悪感」に起因する嫌悪を観る者に同時に強いる定点カメラのサディスティック。逃がすまいと観る者を絡め取るハネケの加虐趣味的シミュレーション。
[review] | 寒山拾得, Orpheus, おーい粗茶 | [投票(3)] |