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★2 | 1917 命をかけた伝令(2019/英=米) | リアルな時間、空間、臨場感、事件を演出しようとして、却って貧相な映画的作為が浮き彫りになってしまうというか。映画のリアルって絶対こういうことじゃない。言葉は悪いが、ディズニー・リゾートのアトラクションに乗っている気分になった。ハッタリの極みの果てにリアルを顕現させて欲しい。「心」を感じない、この監督らしい映画。 | disjunctive, ぽんしゅう | [投票(2)] |
★3 | アップグレード(2018/米) | 寄生、義体化やネットとの融合、新生命体、仮想現実と現実の融解というテーマ上でまさしくけにろんさんご指摘の『寄生獣』であり『GHOST IN THE SHELL』なのだが、人間性や実存への執拗なこだわりこそが熱さを生むのに、それが薄くてイマイチつまらぬなと思っていたら人間性の駆逐こそが肝だったというつまらなさというか面白さというか。 [review] | irodori, けにろん | [投票(2)] |
★4 | 新しき世界(2013/韓国) | 一見マグロに見えた主人公が牙を剥くまでのタメと人物配置が良く、「選択」の瞬間がスリリング。結局映画を動かすのは組織の理念でも損得でもなく「情念」であり、この「情念」を負う主演三名いずれもいいが、やはりミンシクが素晴らしく好み。既に彼岸の人の暴力的な投げやりさ。疲れた風貌に苛烈さを隠し、僅かな、しかし強い哀しみを疼かせる。記号的といえばそうかもしれないが、それがいい。 | セント, けにろん | [投票(2)] |
★4 | 教授のおかしな妄想殺人(2015/米) | エマ・ストーンの続投からも分かる通り、『マジック・イン・ムーンライト』の対となる作品。「ミューズ(笑)」を軸に、男の厭世のこじれの反動が陰に振れるか、陽に振れるかのケース比較の解説で、これは前者に解放されてしまったほう。頭がいいのか悪いのか、こっちにハマってしまう、際どく哀しいおかしさ。ハンナ・アーレント曰く「悪は凡庸」。 [review] | ロープブレーク, けにろん | [投票(2)] |
★4 | SUPER 8 スーパーエイト(2011/米) | クソな大人の世界に純情で風穴を開け、ひょんな事件の破壊を経て再生に至り、少年達は大人になる。そして、世界はそこまでクソでもない。正直粗いが、コートニー&エルの突出が決定的で、マニュアル感から脱却。吸血もいいがメイクシーンのトキメキが最高でキュンキュンする。しかしタイトルの掘り下げは浅い。そこが悪い意味でスピルバーグ的。 | 3819695, けにろん | [投票(2)] |
★2 | ジョン・ウィック(2014/米=カナダ=中国) | 身の丈なりに生身で頑張るのが健気だが、物語が求める水準と乖離しており不憫。伝説などと大上段に振りかぶっているが「腕が落ちてね」なる台詞が笑えない冗談に。コレがレジェンドなら『ザ・レイド』の下っ端などは何と評されるべきか想像もつかない。機知も非情さも飢えも乏しく、デフォーすら盆暗に描く無礼と下着姿で狙われるキアヌ、字幕強調のセンスの悪さなど呆然ポイント多数。車を用いた「格闘戦」は若干新鮮。 | アブサン, けにろん | [投票(2)] |
★4 | イット・フォローズ(2014/米) | 子どもの頃、廊下の隅や電灯の付いていない部屋、鏡の奥が怖かった。多くの子どもが感じるだろうこの漠然とした、まだ何とも説明出来ないが、そこに在ることだけはわかる、死や闇に対する原初的で潜在的な恐怖。ナニとも説明されない「アレ」の象徴性の器を介して、これが呼び覚まされた。笑って観るつもりだったのに思いのほか怖くて狼狽した。トイレ怖くて行けない、、、 [review] | おーい粗茶, 袋のうさぎ | [投票(2)] |
★4 | フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(2017/米) | 塗りたくられたペンキや建物の装飾、ジャム、シロップ、スプライト・・・これらが象徴する「甘さ」が、希望を偽装している。希望は嘘をつくことがあるが、絶望は嘘をつかない。でも、やはり嘘に縋らざるを得ないではないか。世界は偉人の水準で生きるわけにはいかないから(押井守)。 [review] | KEI, けにろん | [投票(2)] |
★3 | イコライザー(2014/米) | 技のデパート。これが目的の映画だから仕方ない部分はあるにせよ、修道僧のような彼と、後半の多彩な処刑スタイルを興じるような彼と状況が結びつかないことに目を瞑れば楽しい。モレッツさんを持ってきただけで男のファンタジー要件が成立。つくづくおっさんキラー。これが最低限の手数という面白さ。 [review] | 3819695, けにろん | [投票(2)] |
★3 | ジェーン・ドウの解剖(2016/英) | 目を開けた死者と目を合わせると、何も見ていないはずの目が、何もかもを見通し、自分も何かを見透かされているようで怖い。「死体というモノ」と「ヒト」を分かつものが何か、生きている自分とは何かという命題にも否応なしに向き合わされる(私も簡単にモノに変換されるのではないかという恐怖。裏腹にモノとして扱う手つき)。大変おそろしい密室であるが、この感想は半ば私の勘違いである。たぶん。 [review] | 袋のうさぎ, けにろん | [投票(2)] |
★4 | 悪魔のいけにえ(1974/米) | 凶兆・・・顔を持たない「何か」に、世界は切り刻まれる。全てが喰らい尽くされるまで。 [review] | ゑぎ, 袋のうさぎ | [投票(2)] |
★3 | ナイスガイズ!(2016/米) | 享楽的で猥雑で軽い70年代感は及第点。ゴズリングのヨレヨレ感は、所々で某スコセッシ作品中のディカプリオのラリリに匹敵し、70年代的胡散臭さも十分。何がどうしてうまくいったかよくわからんという味わいがジャンル的に正しく、子役が最高に可愛いが、ジョン・グッドマン化してなおクロウが三枚目に徹し切れず、やや歯切れが悪い。主演二人のダメ男が子役にどつき回される感じがより徹底してれば★4だった。 | jollyjoker, けにろん | [投票(2)] |
★3 | デッドプール(2016/米) | センターよりも脇で、素性素顔一切不明のゴキゲン外道という扱いの方がこのキャラは生きるのでは。外道振りが純情の裏返しである旨の開示が過ぎて、健全じゃんという印象を持ってしまった。『ダークナイト』『キック・アス』『スパイダーマン』あたりへの批評性も軽く、怪作になり損ねた感がある。運ちゃんとの絡みがタランティーノみたいだったり、体術主体の戦闘、メタ、パロディ、殺戮ギャグは割と好みなだけに残念。 | Orpheus, けにろん | [投票(2)] |
★4 | モンスターズ 地球外生命体(2010/英) | モニタ越しの「襲撃」。伝聞による「隔離」。ファインダー越しの「死」。「それ」は本当にいるのか。あらゆる「壁」に「封じ込まれた曖昧さ」が世界(日本を含む)において、事態を「本当に」認識することの難しさを提示する。これを克服する手立ては、「歩く」ことより他にない。低予算映画とのことだが、ロードムービーとしての仕立ては必然であり、仮に予算があったとしてもこういう撮られ方以外にないだろう。
[review] | けにろん, ぽんしゅう | [投票(2)] |
★4 | 哭声 コクソン(2016/韓国=米) | 信じる信じないや嘘や本当ではなく、信じたいか信じたくないかの願望。そこに明確な根拠はなく、提示される「あからさまな怪しさ」に人はひたすら引き摺られ、惑わされる。その弱さに「悪霊」は付け込み、しまいには人そのものが「悪霊」になってしまう。真実は常に苦く、願望の前に脆弱である。古典を踏まえ、大袈裟ながら誇張ではなく、事実こんなものだと納得させられる。ラストは泣いた。こんなものに人は勝てないのだ。 [review] | 袋のうさぎ, けにろん | [投票(2)] |
★4 | GONIN(1995/日) | 和製ノーカントリーの趣。皆が皆、成就後の事態好転を信じていないような、命燃やして死にたいという衝動が先行する。バブルの浮つきに反比例して沈潜した虚無と反動。時代的・風土的説得力は『トカレフ』の手触りに近いが、より観念的な撮られ方で、死より前から世界は黄泉の国に浸食される。空虚なネオンやディスコの照明と対比されるのが、死体にかかる虹。これが絶品。推しメンは問答無用で根津先生。合掌(涙) [review] | disjunctive, けにろん | [投票(2)] |
★4 | クロッシング(2009/米) | 「善か、悪か」ではなく、「より善か、より悪か」。それが問題だ。"Finest"なる者は存在しない。少なくともこの世界では存在しえない。 [review] | 3819695, シーチキン | [投票(2)] |
★4 | 野火(2015/日) | 開高健が『輝ける闇』で、前線の地獄や人間の営みに無関心なように鳥はさえずり、木々は青いというような描写をしていて、これを思い出した。ビビッドな色彩の中に特権的に与えられた赤(野火と血)。肝の撮影や音の演出が正解(カットを急ぎ過ぎるのは悪い癖)。「餓鬼」の描写は「人が人でなくなること」に関心の高い監督らしさを感じた。 [review] | おーい粗茶, ぽんしゅう | [投票(2)] |
★2 | バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(2014/米) | 開幕のテロップの扱いやイカロスの暗喩から『気狂いピエロ』を意識している。ではどうするの、と見始めたが、アンナ・カリーナの代わりにエマ・ストーンがいる。つまりゲージュツだ映画だ高尚だ低俗だのの文系厨二の自己愛と懊悩を徹底的には嗤い飛ばしてくれず、最終的には寄り添って悲しんでおしまい。脱構築にもトレースにもならず、カビ臭い価値観だ。ゴダールとタランティーノに蜂の巣にされるべき映画だと思う。 [review] | 週一本, 3819695 | [投票(2)] |
★4 | ゴジラ(1954/日) | 「よく見えないシーンがよい」という嫌味にしか聞こえない褒め言葉。(嫌味二割くらいの配分です) [review] | 水那岐, けにろん | [投票(2)] |