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[コメント] ハリー・ポッターと賢者の石(2001/英=米)

がんばれ!わが家のハリー・ポッター!「眼鏡」のヒーローが勇気をくれる。・・・・ 以下レビューは私事ですのでご容赦ください
パッチ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







★「ハリー・ポッター」という映画

 私は、原作の大ファンです。私も多くの方がコメントされているのと同様に、この映画を、「原作を映像として見せてくれる」、「原作を映像で確認するためのもの」として観ました。原作を読んでいないと説明不足に感じるところや誤解を招きそうなところがいろいろありますが、逆に原作を読んでイメージしていたものが、ほぼ再現できていたように思います。そういう意味での私の満足度は高く、採点すると、4点くらいの合格点です。

 でも、わが家にとって、どうしても5点満点を付けずにはいられない特別な意味が、映画『ハリー・ポッターと賢者の石』にはあるのです。それは、ハリーが「眼鏡」をかけていたからです・・・・・・・。(※以下は、映画の批評というよりは、わが家の事情を書いたものです。ご容赦下さい。)

★子どもたちが主役の映画にみる「眼鏡」というキャラクター

 小さな子どもたちが活躍するお話のなかに、よく「太った子ども」と「眼鏡をかけた子ども」が登場します。4、5人の主役グループのなかには、この2つのキャラクターがいることが多くて、眼鏡の子どもは「ハカセ」とか「ガリ勉」とかいったイメージか、「のび太」的なイメージか、「へそ曲がりなやつ」(『スタンド・バイ・ミー』みたいな)といった感じで扱われがちです。眼鏡をかけた子どものキャラクターが、子どもの目から見て格好いい主役であることは、あまりありません。

★「パッチ」のもう一つの意味

 私のHNは、『パッチ・アダムス』から頂いたものです。でも、実は「パッチ」には、もう一つの意味があります。それは「アイパッチ」のパッチです。

 アイパッチは、小さな子どもの遠視や斜視を直すための視力増強訓練「遮閉法」で使う片目の目隠しのことです。わが家の幼稚園児の男の子は、アイパッチで訓練をしています。彼は、視力の発達の遅れを取り戻すために、寝るときとお風呂にはいるとき以外は、遠視用の眼鏡をかけ続けなければなりません。でないと眼鏡をかけても矯正できないようになってしまうのです。さらに発達のより遅れている方の目を引き上げるために、アイパッチをしています。「パッチ」は彼への応援の気持ちを込めたHNでもあるのです。

★「眼鏡」への偏見

 はじめは、子どもは眼鏡を嫌がります。幼稚園に眼鏡をかけていくと、「おまえは眼鏡かけてるからキーパーやれ」とか「目が大きく見えて気持ち悪い」「変な顔」とか言われてしょげていました。アイパッチのトレーニングも結構苦痛で、なかなか続きません。かわいそうだと思っても、子どもの将来のためには、何が何でも眼鏡をかけ続けさせなければなりません。特に彼は私たちの無知のために、発見が遅れ、残された時間に余裕がありません。

★待ちわびていた眼鏡のヒーローの登場

 そんなとき、「ハリー・ポッターと賢者の石」の映画がはじまりました。見ると自分の眼鏡と似ています。たまたま髪型も似ているので、すっかり彼はハリー・ポッターになった気分です。ハリーは、仲間たちのお荷物でもなく、ガリ勉でもなく、変な奴でもなくて、格好いい主役なのです。ハリーは魔法を使い、空を飛び、悪の魔術師をやっつける「等身大の格好いいヒーロー」なのです。

 彼は、少し眼鏡が自慢に思えてきました。幼稚園にも喜んで眼鏡をかけていくようになりました。眼鏡をかけてスポーツもします。アイパッチもあまり嫌がらなくなりました。ハリー・ポッターの力はなかなかのものでした。

★がんばれ!わが家のハリー・ポッター

 子どもと『ハリー・ポッターと賢者の石』を見ました。彼には、わからないところも多かったようですが、とにかくハリーを見る目は輝いていました。ハリーの活躍を自分のことのように喜びます。クィディッチでは、つい声を出してハリーを応援します。見終わったあとの、彼の笑顔と止まらない自慢話が、彼の「目」に対して負い目を感じていた私たちを幸せにしてくれます。しばらくは、彼は箒にまたがり、家中を駆け抜けていました。そして、彼はあまり眼鏡を外さなくなりました。

 幼稚園で眼鏡をからかわれなくなったわけではありません。でも、今では眼鏡をあまり嫌がりません。アイパッチが必要なこともわかってくれるようになりました。彼の目は、なんとか良い方向に向かっています。可能性が見えてきました。

★いろんなヒーローがいて欲しい

 眼鏡をかけただけで、脇役に回ってしまった彼を主役の意識に戻してくれたのは、映画『ハリー・ポッターと賢者の石』でした。それは、ハリーが、「眼鏡をかけたヒーロー」だったからです。眼鏡をかけた子も、太った子も、背の低い子もだれでも、自分が主役と思えるように、彼らの観る映画にはいろんなヒーローがいて欲しいと思います。

 私たちにとって『ハリー・ポッターと賢者の石』は、特別な思い出の映画になりました。

(評価:★5)

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