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けにろんさんの人気コメント: 更新順(1/143)

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★5レヴェナント:蘇えりし者(2015/米)復讐を描いてるのだが、それは終盤にしか機能しない。彼が臨死からほうほうの体で生還するのは根源的な生存本能に依り、人間はそうやって種を維持してきたのだという節理を描く。過酷な自然は牙をむき、亡き妻は追憶の中で微笑む。それ以上でも以下でもない。KEI, リア, セント[投票(3)]
★3室町無頼(2025/日)大泉の武士の端くれでありながら農民に加担する心魂をもっと踏み込んで描き、立場を違えた同根との確執を前面に出して欲しかったが、マーケティング最適解は長尾の修行に尺を割かせる。悟空・亀仙人めいたマニュアル感も相俟り本質を逸らした。水那岐[投票(1)]
★4ウィキッド ふたりの魔女(2024/米)ヒット戯曲の映画化として万人が期する大見得をど真ん中から朗じるクライマックスだが、その後の能力覚醒の描写は詰めが甘い。飛翔へ繋がる快楽が予定調和。でも単線的なキャラが多い本作で後々「善い魔女」となるグリンダの複層性はこの後興味深いと思った。ぽんしゅう[投票(1)]
★5エミリア・ペレス(2024/仏)女になり良かったことと切なさが倍加されたことの狭間で否応なく嘗ての杵柄方途に手を出し運命の流れを急落させてしまう。論理的に構築された感情の鬩ぎ合いの行き着く隘路がそれしかない悲劇的結末に至る点で『総長賭博』に比肩。テールランプの詠嘆の戦慄。ぽんしゅう[投票(1)]
★4教皇選挙(2024/英=米)選挙映画としての単線的物足りなさは、筆頭枢機卿の真摯な人格と、逝った前教皇への想いと、実際に人格者であったことが明かされる過程が重層的に畳み込まれることで解消される。惜しむらくはテロの絵面の象徴的に過ぎる段取り感と描き足らぬ終盤の反転帰結。ぽんしゅう[投票(1)]
★4卒業(1967/米)SEX艶笑劇に皮肉と悲哀と意地を塗しだけでなく、モラトリアムの空虚をS&Gの感傷とサーティースの煌きで抽出した多元宇宙。権威を纏った世代間格差は抗すべきモノとの妄信的確信にはニコルズの心も揺らぐ。鮮やかすぎるまでの吐露である。ペンクロフ[投票(1)]
★3戦争と人間 第1部・運命の序曲(1970/日)五味川原作でも東宝『人間の條件』が文芸調なら日活のこれは講談。ダブルフォーカス多用も色を添える。ハッタリ親爺薩夫節は新劇系の伍代ファミリーにはフィットするがニューアクション系の明朗さと合わない。ただ大陸浪人の三國は突出した怪演。disjunctive, 水那岐[投票(2)]
★5リアル・ペイン〜心の旅〜(2024/米)アイゼンバーグの出張らない物腰は受けのキャラのみならず紀行叙体の鷹揚な滋味で全篇を統御する。独自の倫理と論理で突っ走り歯止めが効かないカルキンをツアー帯同者も時に持て余しでも概ね理解しようとし往々にして賛同する。それは理想だし願い。緑雨[投票(1)]
★5ANORA アノーラ(2024/米)言わんこっちゃないの破綻だが、それ以降の展開は予想外だった。だがショーン・ベイカーの資質を鑑みると純なハートがど真ん中からきてこそ。そうこなくっちゃの納得がある。彼女の心の揺らぎが対極を往還する車中の長回しは圧巻。近年稀に見る体言止め。ぽんしゅう[投票(1)]
★3侍タイムスリッパー(2024/日)驚天動地の環境変化があっても人は生きていかねばならないし、どーのこーの言っても順応して生きていけるもんだという前向きな思想が安田淳一の生き様の根幹にあるのだろう。映画的に限りなくベタで垢抜けないにしてもその根っこは見る者を突き動かす。水那岐[投票(1)]
★5私が棄てた女(1969/日)棄てたのは、過去や階級であり親兄弟や自分史であるという自己反省と自己憐憫の高踏的語り口の彼方から、枠を撃ち抜き自走し始める奇跡の天使小林トシエのキャスティングこそ総て。それだけに、敢えて理に落ちたラストのパートカラーは余分だった。disjunctive, 寒山拾得, 水那岐[投票(3)]
★5インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌(2013/米)私小説的映画として前半に絡ませた猫使いの鮮やかさ。だが後半は内省的になり、プロットは悉く絶望を弥増させるに周到だ。グッドマン遺棄後の元カノの街の夜景。エイブラハム面談後の男の鉄拳。本当にもう行き場のない奴は死ぬ前にああやって笑うよ。disjunctive, ぽんしゅう, 水那岐[投票(3)]
★4ナミビアの砂漠(2024/日)己を偽る判った風な世間やお為ごかしの優しさや一方的な暴虐や空虚な仕事とかに馴れ合えず、反社会とかアウトローとか孤独とか無軌道とかと紐付ける発想もなく、ただ単に生きてはダメなのかの問いだが河合優実の肢体がその実存を担保してしまう無謬性。セント, ぽんしゅう[投票(2)]
★4イノセンツ(2021/ノルウェー=デンマーク=フィンランド=スウェーデン)童心還りを逆手に取る剣呑の代わりにイジケ少年を配してジュブナイルなエスパー少年ものに埋没しかけたが、相対少女を3分割して覚醒の継承譚にしたのが新味。姉妹の近親憎悪が相互理解に至る様は鮮やかに感動的だ。異能表現も派手さはないが深淵とも言える。DSCH, t3b, シーチキン[投票(3)]
★3Cloud クラウド(2024/日)老境に差し掛かる黒沢の70年代映画への郷愁を塗した出涸らし集大成の感があるのだが、乾いた反リアリズムの一方でナウな時代性への追っつかなさが露呈して気持ち悪い。『クリーピー』で到達した映画言語弄士の域からの後退。買えるのはバスシーンのみ。DSCH, おーい粗茶, クワドラAS, ぽんしゅう[投票(4)]
★5光の雨(2001/日)役者のチープな感想とセンチにポーズを決める監督像を割引いても、反社会的ながら信念に賭して朽ちた同時代人達への想いが心打つ。個では真摯な思いもマスになるとヒエラルキーに駆逐されるジレンマを2重構造が虚構を覆い隠すという凝った構造で描いて良い。セント[投票(1)]
★4はたらく細胞(2024/日)愛菜ちゃんの清楚健康体内のコスプレ学芸会にウンザリした頃にサダヲの腐った不浄体内に切り替わるペタながらも緩急の妙。しかし抗癌放射線治療が描かれる後半は『ノストラダムスの大予言』終盤に比肩し得る終末感が訪れる。お子様にはトラウマ必至。水那岐[投票(1)]
★4青空娘(1957/日)タイトルそのままの抜けの良いカラー画面の中で、いい調子で飛び交うロジカルで歯切れのいい台詞の気持ちよさ。そして、タイトルロールとは正反な若尾の濡れたキャラが醸し出すギャップがやけに色っぽい。軟体に潜む筋を通さねばおれない背骨は女の本質。水那岐[投票(1)]
★4コルドリエ博士の遺言(1959/仏)概ねフルショットで捉えられるバローの風景内での異形感が際立っており、パントマイム由来の所作が剣呑さを弥増させる。主に社会的弱者に向けたオパール氏の所業は我々一般人の最奥部に潜む暗黒ドグマの表出形なのだろう。紳士然とした博士の造形も十全。ゑぎ[投票(1)]
★5鏡(1975/露)怒涛のように錯綜する個人史と国家・世界史の断片だが内省的な静謐と超現実の戦慄が交錯。母の洗髪場面の幻想味も相当なのだが何気ない草原が風でそよぐだけで内包した何かが醸し出される。タルコフスキーの到達点。以降の3作はこのイメージの使い廻し。ゑぎ[投票(1)]