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★3 | タロットカード殺人事件(2006/英=米) | イヤミな映画である。ヤンヤと喝采を受ける手品師アレンが何度も宣う「あなたたちは本当にいい観客だ、素晴らしい、愛してる、ウソやハッタリなんかじゃない」(客席の静止ショットのいやらしさ!)という台詞は、明らかに同じく観衆である私たちに向けられた批判的毒だ。ウソやハッタリに決まってる、「俺の屍を越えてゆけ」って叫んでんだろコノヤロ。その意味でこの作品は『人生万歳!』よりも暗い遺言めいてこの目に映る。 [review] | 代参の男 | [投票(1)] |
★2 | ジャージの二人(2008/日) | いわゆる「ユルさ」「逃避」が「生きにくさ」への果敢な挑戦の迂回的あらわれに変容して見える時、見た目と裏腹に凄絶な「世界」との戦いが現出する・・・風な好意的解釈を何の気なしを装って待っているのが見え見えでそれは別に悪くないのであるが、肝心の空気変換力に力がなくハッタリが放擲されるのみ。堺の面目躍如たる二面性の危うさと大楠の絶技が空中分解。
[review] | 3819695, 浅草12階の幽霊, ぽんしゅう, 水那岐 | [投票(4)] |
★1 | アバター(2009/米) | 母の怒りに任せて機銃を乱射するシガニー・ウィーバー。或いは”Fight!!”の絶叫と共に瀕死の妻の冷たい頬を平手で打つエド・ハリス。或いは「ただ、護る」ために死を期したマイケル・ビーン。汗と涙と、時には涎すら流す、美しくはなくとも迫真力、体温のこもった魂のアクションを、この画面が凌駕出来るというのか。答えは否である。ここにはキャメロンの「アクション」が一つもない。寂寥感の支配する豪華絢爛。 | ナム太郎, tkcrows | [投票(2)] |
★3 | マーズ・アタック!(1996/米) | 異星人モノは「コミュニケーション」が成立するか没状態で破綻するかの匙加減が肝。この「ビミョーにコミュニケーションが取れる」という匙加減がビミョーに絶妙に決まり、仕草と意味合いのギャップに黒い笑いを見いだす筒井康隆的センスにフーセン火星人のビジュアルが完璧マッチ。オチも「コミュニケーション」をキーとして観れば悪意たっぷりで満足。しかしアクションとシーンの繋ぎが悪く、ネタ博覧会に終始したのが痛すぎる。 | りかちゅ, Orpheus, けにろん | [投票(3)] |
★4 | 人生万歳!(2009/米) | 厭世と屁理屈が周回して突き抜けた先が、既成価値の爆破とあっけらかんとした楽観。今や大して珍しくもない話で、それ自体がボリスに言わしめるクリシェ(陳腐な表現)であるような気もするし、ウッドの可愛さも異常とはいえ見慣れたミューズ造形の範疇だが、脚本封印から30年を経て敢えて「これでもか」と押してくるアレンの年季と提示タイミングに説得力。それこそ「クリシェ」的強度。音楽ネタが素晴らしい。
[review] | 3819695 | [投票(1)] |
★4 | イースタン・プロミス(2007/英=カナダ=米) | 凶器に用いられるのは刃物のみである。「殺すこと」とは「血を断つこと」である、もしくは、「生かすこと」とは「血を続かせること」である、という「血(縁)」を巡る描写の徹底ぶりに感心。「断ち切るもの」としての「ナイフ」はその描写に正確に寄与している。
[review] | 3819695 | [投票(1)] |
★3 | シティ・オブ・ゴッド(2002/ブラジル=仏=米) | 虚無という言葉すら存在しない真性無感情の次元においてこそ本物の暴力が存在する。銃が「異物」ではなく日常に平然と納まる風景。殺人が悲劇ではないという悲劇。明るく閉塞した空洞感に震撼。円環構造も脱出の不可能を示唆して効果的。そしてその世界を生きるコドモはやはりコドモでしかないという最大の悲劇。しかし安全圏から知った顔の解釈を口にすれば八方から撃たれる感のある「実話」を”過剰に”戯画化する姿勢に疑義。
[review] | ぽんしゅう | [投票(1)] |
★4 | ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(2009/日) | 世界の中心で「アイ」を叫んだけもの。" I =alone (わたし)"で完結する死でなく、" 相 =You are (not) alone."。 手をつないだ「ふたり」の「愛」で世界を終わらせる。いかに心性の根が病んでいようと、そういった禍々しく破壊的な画を、実は誰もが観たいものなんじゃないだろうか。「アイのビッグ・バン」なんて。無謀で馬鹿げた美しさを、正直なところ「ステキ・・・」としか形容しようがない。 [review] | 煽尼采 | [投票(1)] |
★5 | 十三人の刺客(2010/日) | 「長さ」の妙。 [review] | 煽尼采, 水那岐, ぽんしゅう, 3819695ほか5 名 | [投票(5)] |
★4 | ストレイト・ストーリー(1999/米=仏=英) | 「人生の収穫日」に自らトラクターで向かい、その日を家族と迎えること。たびたび挿入される麦の収穫の空撮と星空が命の連鎖を想起させる。いつにも増してセンチメンタルなバダラメンティのスコアと柔らかく優しい撮影が遂に陽光から禍々しさを除き、何より一片の星影も闇の中に認めたことのないリンチが、ロストハイウェイの爆走の果てに見出した星空に嘘はない。 [review] | おーい粗茶 | [投票(1)] |
★5 | トゥモロー・ワールド(2006/米) | 「神罰」で片付けられないリアリティ。絶望することが得意になった私たちは、この映画に撃たれなければならない。 [review] | おーい粗茶, HW, ぽんしゅう, けにろん | [投票(4)] |
★4 | ヒーローショー(2010/日) | 「孤族の国」の物語。肥大化しながら行き場を失った自意識の掃きだめで、一瞬暴発する「俺を見ろ!」という叫びの矛先の狂いが人生を殺す。夢とその残骸が氾濫し、つながりの方法を様々に獲得しながらつながりが崩壊している、これはまことに現代日本的なテーゼである。極めて不愉快だが実にリアル。この無為な暴力連鎖物語は対岸の火事ではない。私たちは覚悟を問われている。 [review] | 鷂, 3819695, けにろん, ぽんしゅう | [投票(4)] |
★3 | スター・ウォーズ(1977/米) | 「ヒャッハー!ヤフー!シケた故郷(クニ)から飛び出して姫様救出大冒険だぜあわよくばアブブブ」な嬌声が支配する童貞妄想全開な青臭さと、脳天気な無自覚に辟易するタチなので、正当化された殺戮に断固正面から応じる帝国の皆さんの「悪逆非道」徹底にむしろ映画的に心躍る。加えてロボ漫才、熊さん、気の抜けた殺陣、手作り異星人造形に滲む涙ぐましい映画愛がどうしても嫌いになれない困った作品。
[review] | けにろん, 煽尼采 | [投票(2)] |
★4 | 祭りの準備(1975/日) | つくづく共同体というのは暗黙の了解、閉塞と醜への忍従の共犯関係だな、と些かうんざりする。脱出願望の根拠たる「青春」という名の自意識もかえって人を責め苛む。そして共犯と隠蔽の象徴としての「祭り」。「うんざりする」のは、依然としてそれが当を得て普遍化しているからで、遂にこれが今『松ヶ根』を経て『ヒーローショー』に至るのか、と考えると心底滅入るが、横溢する黒い笑いは正直好き。
[review] | けにろん, 水那岐 | [投票(2)] |
★3 | ラストキング・オブ・スコットランド(2006/英) | 狂言廻しの記号的軽佻浮薄が過剰に不愉快だが、対するアミンの造形に筋と愛嬌すら通っているよう見えてくる所にミソがある。「怪物」を「嫉妬し恐れサッカーする過敏な一般人」という次元に引きずり下ろし鏡として対面させる。「環境」が作り出す、特殊ではない狂気。試みは基本好きだが『ヒトラー最期の12日間』の無常的境地に至らず、不謹慎との批判を恐れずに述べると、権力を巡るブラックコメディという印象に終始。 | disjunctive | [投票(1)] |
★5 | 許されざる者(1992/米) | 黄昏れる世界。英雄と正義(幻想)の殺害もしくは自殺。真『ヒストリー・オブ・バイオレンス』。 [review] | chokobo, けにろん, ナム太郎 | [投票(3)] |
★4 | ファニーゲーム U.S.A.(2007/米=仏=英=オーストリア=独=伊) | 「角」を全て奪われてから「本番」を迎えるオセロゲーム。対戦者は白。全く打ち返せない理由を理解しつつも、それを受け入れることができないまま、盤面は白で埋め尽くされ、最後に紅く染められる。死角のない暴力のシミュレーション。
[review] | けにろん | [投票(1)] |
★4 | ブルーベルベット(1986/米) | 「穴」を伝って光と闇を行ったり来たり。行き来するごとに、日常だと思っていた光が闇に満ちたものに見え、非日常と思っていた闇が妖しい魅力を持って輝き出す。プロットも劇伴も撮影も、この「逆転現象」に傾注した結果、リンチの伝家の宝刀「暗黒の光」と「輝ける闇」が現出する。そして、それは「穴」を経由して旅する者でなければ見えない真の世界。決して「異常」ではない地続きであるという詠嘆と真摯。
[review] | 煽尼采, ナム太郎, 緑雨, ぽんしゅう | [投票(4)] |
★4 | ダージリン急行(2007/米) | 線路という定められた道がありながら迷子になる急行列車。すぐ迷う、すぐ止まる、降ろされる。狭くて逃げられない。しかし、脱落したとしても荷を捨てて全力で追いすがる者達には優しい速度。そして列車(人生)は確実に前に進んでいく。 [review] | 3819695, ナム太郎 | [投票(2)] |
★2 | 鉄男 THE BULLET MAN(2009/日) | 『鉄男』と『AKIRA』を足して2で割り、世紀末を経た21世紀初頭という今、実写版で(あわてて)リメイク・・・した感じ。 [review] | けにろん | [投票(1)] |