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★3 | キングスマン:ゴールデン・サークル(2017/英) | ポップで幼児的な残虐は食傷気味だしCG塗れなのもうんざりだ。前作で拘った英国的なるものがメリケンと衝突する様が見たかったのに丸め込まれて軍門に下った。ただテイタム・ベリー・ブリッジスと雁首揃えて使い捨て同然なのは一寸粋な計らい。 | ナム太郎, DSCH, jollyjoker | [投票(3)] |
★3 | ドクトル・ジバゴ(1965/米=伊) | 所詮はリーンが肩入れもできぬ背景としてのロシア革命だし、不倫愛の背徳性も直視せぬので、両者が乖離し強度が無い。個々のシークェンスの厚みは大層なものだが、スペクタキュラーな要素があらずもがなに思える。それでも終盤の突き放した詠嘆はクール。 | 動物園のクマ, ナム太郎 | [投票(2)] |
★3 | 大砂塵(1954/米) | 四角関係のようなものを描いてるのだが妖怪化する直前の女2人に色気もクソもなく全然そそらない。男勝りの鉄火肌にも成り切れぬので野郎どもは唐変木の烏合の衆と化する。山間でやたら爆発が起こったり状況描写の異様さは認めるがグダグダ感の方が勝ってる。 | 寒山拾得, ぽんしゅう | [投票(2)] |
★4 | アメリ(2001/仏) | 繰り出される奇矯なアイコンとイメージの奔流に幻惑されるし、俯瞰的な説話語りが毒可愛いオサレ感を緩衝する。だが自閉から脱却し世界に自分を晒せとの問い掛けにアメリは終ぞ答えたように見えないのだ。『ザジ』から40年で世界は収縮したように見える。 | tredair, セント, DSCH, ぽんしゅうほか5 名 | [投票(5)] |
★5 | 舟を編む(2013/日) | 押せ押せのベタ展開に乗っかってる一方で、このセルロイドの無機人形のような理解の及ばぬカップルが映画内で成立してるアンビバレンツが堪らない。今村的オバコン趣味が伊佐山、渡辺を復権させクセ男優2人が良い人演るのに躊躇はない映画王国。 | disjunctive | [投票(1)] |
★4 | 現代インチキ物語 騙し屋(1964/日) | 身も蓋もないセコくショボい騙しのプロットの連鎖に終始するが、増村節絶好調のハイテンション演技で曲者たちが笑っちまうほどに威風堂々と弁舌まくしたてる。最後は遂に真性ハードボイルドに近似していく世界観の転倒。小林撮影が大きく寄与してる。 | ゑぎ, 寒山拾得 | [投票(2)] |
★4 | 検察側の罪人(2018/日) | 善悪論は置いといて語り口の映画として原田の資質に適合した題材。加速された台詞廻しと編集は許容範囲を超過した情報を盛り込みバックボーンに厚みを持たす。要の取調べシーンでは対峙する空気を推し量りニノの暴走を呼び込んだ。逸脱こそが映画だ。 | disjunctive | [投票(1)] |
★4 | 旅のおわり世界のはじまり(2019/日=ウズベキスタン) | 人嫌いなのに人混みに行き孤絶を弥増させる彼女の唯一の世界との接続点が喪われたとき自分の立ち位置を思い知るが、その経験故にこそ再接続された世界は拡張して彼女の前に広がるのだ。いいタイトル。4人の男性クルーの絶妙な距離感も旅路を彩るに相応しい。 | ナム太郎, ゑぎ | [投票(2)] |
★3 | チャップリンの殺人狂時代(1947/米) | 大不況下の絶望感を滲み出させてソクソク身に沁みる物語だけに、トレードマークは脱ぎ捨てても残るチャップリンの尻尾が煩わしい。有名なラストの演説も戯言にしか思えない。何故なら物語は其処に収斂するようには組まれていないからだ。 | 緑雨, ぽんしゅう, サイモン64, 3819695ほか6 名 | [投票(6)] |
★3 | 二十四の瞳(1954/日) | 全篇に流れまくる童謡唱歌が問答無用に涙腺を刺激する装置と化するので、逆にこの映画が内包するらしきロマンティシズムや反戦イズムは涙に霞んで見えなくなるという完全な戦略ミス。反撥を覚えつつも一種異様とも言える徹底振りには極北を感じた。 | ゑぎ, disjunctive, tkcrows, 山本美容室 | [投票(4)] |
★4 | チャップリンの 黄金狂時代(1925/米) | 靴食などの飢餓表現が笑いのフィルターを通して尚、切ないまでのリアリティを感じさせ伝説的ないくつかの名シーンは至芸と言っていいのだろうが、これでもかのメロメロな情がてんこ盛りで、その過剰さがチャップリンの自己愛をときに垣間見せてしまう。 | ぽんしゅう, 3819695 | [投票(2)] |
★4 | 幼な子われらに生まれ(2017/日) | 再婚に於ける普遍的な確執を描いて何の奇矯な設定もない。のだが終始不穏な緊張感が持続。どんな家庭だってそういう危うい均衡上に立ってるのだとのクールな認識。斜行エレベーターや車窓景観や1人カラオケのリフレインが冷えて心地良い孤絶感を際立たせる。 | ナム太郎, 緑雨, ゑぎ, 水那岐ほか6 名 | [投票(6)] |
★5 | 大列車作戦(1964/米) | 価値の理解できないものの為に命を賭する抗戦の連帯と意気地を根底に湛えつつ、それでも個の対決に収斂していくドラマトゥルギーが完璧だが、縦構図とドキュメンタリズムを自在に操る演出とランカスターの身体性も尚等価で映画を成立させる。陶酔の調和。 | 3819695, ぽんしゅう | [投票(2)] |
★4 | 愛と誠(2012/日) | 今時「ブルジョワ」対「不良」のお笑い構図をやる為の納得コンセプトではあるが、にしては終盤結構マジ涙腺を刺激され、嘗ての三池が必ず陥った破綻を回避するネバリ腰。ただ、その一歩手前を線上で維持したのは安藤と余であったのは間違いない。 | DSCH, サイモン64 | [投票(2)] |
★4 | ファースト・マン(2019/米) | 人類初とか米ソ宇宙戦略の駆け引きは置いといてマリックばりに死んだ娘への思いが内省化していく。客体化するロングはシーンで1、2個しかなく只管にアップで突き詰める度胸がいい。彼の沈航する自我を家族の為に引き戻す女房をフォイが静かに好演。 | るぱぱ, 月魚, 3819695, ナム太郎ほか6 名 | [投票(6)] |
★5 | マジック・イン・ムーンライト(2014/米=英) | 最早新しいことは何一つ無いのだがアレンシニカルサイドを抽出したかのようなファースが目玉お化けエマの眼力の下の純情に融解される。そのキャラ強度こそ肝。天文台の雨宿りはラブコメ常套でも品位と節度が好ましい。年増女優陣のセレクトも良。 | DSCH, ロープブレーク, 緑雨 | [投票(3)] |
★3 | カンゾー先生(1998/日) | 先生の執念はパラノイア一歩手前であるように見え、にしてはブラックな諧謔が決定的に不足してる。いずれにせよ今村の演出がこうも淡泊になっちまっては皆為す術もない感じで柄本は神妙なだけで麻生もエロスに実が無い。脇も頭数が揃っただけだ。 | 寒山拾得 | [投票(1)] |
★5 | ファンシイダンス(1989/日) | 置き去られた世界を斜めに見るのではなく、真摯に取り組もうとする者たちの侮れない世界と規定し、現在世代の受容と寛容をも肯定的に捉えようとする。で、流石にまともすぎるので破壊的ギャグを配置する。キザに周到だが完璧。羊羹1本一気喰いには参った。 | 死ぬまでシネマ, RED DANCER | [投票(2)] |
★3 | 大誘拐 Rainbow Kids(1991/日) | 名演と言われるが北林も緒形も想定内の範疇を出ていなく刺激度ゼロ。喜八の演出は劇画的構図のデフォルメが連鎖するカット割のリズムが生命線なのに、緩んだ手持ちカメラのお手軽はマイナス要因でしかない。往年の輝きの片鱗さえない。 | 寒山拾得, sawa:38 | [投票(2)] |
★4 | 野獣の青春(1963/日) | 歪な意匠に拘泥しないプログラムピクチャーの語り部としての清順演出は、ド変態が五月雨的に登場し次々と人が死ぬ異様な展開の中でも崩れない。舛田利雄的安定と石井輝男的不均衡のフュージョン。微妙な味わいが棄てがたい。 | 寒山拾得 | [投票(1)] |