監督「船沈めたいんすよね。巨大な船、実物大で」

プロデューサー（以下Ｐ）「何だよそれ。タイタニックでもやる気か？」

監督「あ、それいいっすね。やりましょうよ実物大で」

Ｐ「あのさ、タイタニック物は腐るほど映画化されてんだよ」

脚本家「でも、最近の調査じゃ、まっすぐ沈んだんじゃなくて、自身の重さで半分に折れて沈んだってことが明らかになってますよね」

監督「いいね、それ。それ、やろう。実物大で」

Ｐ「ダメダメ。タイタニックは、こうまっすぐ沈むから絵になるんじゃないか。半分に折れたのなんて格好悪い」

監督「だから、コンピュータでシュミレーションして見せるんですよ、映画の前半で。本当はこんな風に沈んだんですよって。それを実際にやったらすごいじゃないですか。わぁ、なんだかワクワクしてきたな」

Ｐ「コンピュータでシュミレーション？いつの時代の話だと思ってるんだ」

監督「いや、ストーリーに関係なかろうが、３時間を超える長尺になろうが、そのシーンは外せません。そうしないと、特撮のすごさが分からないじゃないですか」

脚本家「こうしましょう。沈没船から遺品がみつかったという設定で、回想形式に」

監督「いいね。もらった」

Ｐ「お前さ、いくら金かかると思ってんだよ。この前だってハリアー飛ばしたりしたろ。金かかってしょうがないよ。船沈めるだけじゃ客来ないって」

脚本家「恋愛物にしましょう。愛し合う男女が事故で引き裂かれる。定番ですよ」

Ｐ「なるほど、ウケそうだな。どうだ？」

監督「僕は船さえ沈められれば何でもやりますよ」

Ｐ「でもそれだけじゃ弱いから、誰か客の呼べる人気俳優はいないかな？」

脚本家「いっそのことアイドル映画にしちゃいましょうか」

監督「僕は何でもいいですよ、船さえ沈められれば。でも、しつこいようですけど、コンピュータでの沈没シュミレーションは外せませんからね。どーだ、本当に同じように沈んでるだろすげーだろ、ってのがやりたいんですから」

追記

35％も視聴率があったというテレビ放映の影響か、こんなコントみたいな物に多大な投票をいただいて恐縮しております。既にお気づきの方もいらっしゃると思いますが、このReview、重大な欠陥があります。実はこの映画、制作・監督・脚本、すべてキャメロンその人なのでありました。