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★3 | ワールド・ウォーZ(2013/米) | Zの設定(音に反応するなどの習性)に基づくスリル演出を主力とするが、手筈の無粋なために「そんな習性、手前らの胸三寸で決まるやん」「八百長け?」と肩入れできない。創作物に云っても詮無いけど。長髪ブラッド・ピットと丸刈りダニエラ・ケルテスは妙にセクシャルで、舌なめずりをさせていただく。 | jollyjoker | [投票(1)] |
★3 | ももへの手紙(2012/日) | 善良な映画。しかし行儀がよすぎる。ギャグが弱いと云いたいところだが、仮にギャグの程度をこれでよしとするならば、ズッコケ三人組の鬼感・妖怪感・魑魅魍魎感の増強を図り、彼らのデザインと行動により大きな「落差」を設けたい。私に幼子がいたとして、この映画は安心して見せることができてしまう。 | 煽尼采 | [投票(1)] |
★4 | 告発のとき(2007/米) | 社会派的なテーマ設定に目を曇らされがちだが、クリント・イーストウッド周辺から登場した演出家としてはハギスはマイケル・チミノに次ぐ才能だろう。『クラッシュ』に輪をかけて地味な映画であり、吃驚させるほどの画面こそ多く持たないものの、確かな演出力がオーソドックスな語りを支えている。 [review] | jollyjoker, Orpheus, MM, 緑雨ほか10 名 | [投票(10)] |
★4 | 結婚哲学(1924/米) | 何を以って人はこれを「ソフィスティケイテッド・コメディ」などと呼ぶのか。確かに人間の滑稽が描き出されてはいるが、「笑えるか否か」のみを基準とすればこれは断じてコメディではない。またソフィスティケイテッドも形式面に対する形容でしかないだろう。しかし、むろん、それらがこの映画の瑕疵となることはない。 [review] | ゑぎ | [投票(1)] |
★4 | ディア・ドクター(2009/日) | 怠惰な観客の私は笑福亭鶴瓶の出演作を追うことをまるでしてこなかったわけだが、いつの間にこれほどの俳優になっていたのか。たとえば『東京上空いらっしゃいませ』と比べても格段に巧くなっているのは確かだが、その顔面が醸す多義的に複雑な滋味ときたら! そう、ここでも問題はあくまでも「顔面」である。 [review] | ナム太郎, セント | [投票(2)] |
★4 | サマーウォーズ(2009/日) | 各キャラクタへの見せ場の割り振り方(特にカズマがいい)にしてもタイムリミット演出にしても堂に入ったもので感心する。しかし全方位に好感を求める八方美人ぶりが若干気色悪いか。つまり、物語は必ずしも健全とは云えない世界観を持っていながら、出来上がった映画は健全すぎるということ。 [review] | DSCH, 煽尼采, kazya-f, ホッチkissほか9 名 | [投票(9)] |
★4 | ホウ・シャオシェンの レッド・バルーン(2007/仏) | 自然光の扱いにかけては現在リー・ピンビンの右に出る者はいないと思わせる。ホウ・シャオシェンにしてもアルベール・ラモリスとは才能の桁が違う。もちろん『赤い風船』もすばらしい映画で大好きだが、これはそれとはまるで別次元の傑作だ。奇跡的な「光」の映画。「反射」の映画。 [review] | 赤い戦車, ぽんしゅう | [投票(2)] |
★3 | 千年の愉楽(2012/日) | 「生きている人と死者が対話をする場面があります。どのように撮ればよいですか?」「遺影が喋り出せばよい」この透徹した演出観こそが若松孝二だ。中上健次に対しても一向臆するところなく、「路地」のロケハンにすら頓着の形跡を見せない。中上に、そして「映画」に臆しているのは私たち観客ばかりだ。 | けにろん | [投票(1)] |
★3 | 華麗なるギャツビー(2013/米) | 手持ちの筆が軒並み太すぎるバズ・ラーマンにフィツジェラルドの書写など望むべくもないが、豪奢であることの貧しさ、華やかさの裏の切なさ、祭りのあとの侘しさは曲がりなりにも描けている。「自動車」に不吉の影を見たモータリゼーション時代の原作の意を汲み、超高速運転など自動車演出の無茶も冒す。 [review] | けにろん | [投票(1)] |
★4 | ペーパーボーイ 真夏の引力(2012/米) | 二ヶ月で三作の出演作品を封切る日活はジョン・キューザックと心中するつもりかしら。ぶったまげるシーンには事欠かないが、まず刑務所でキューザックとニコール・キッドマンが初めて対面する件り、人はまったく肌を触れ合わすことなしに男女の性を営むことができる! 私はまたひとつ大人の階段を上った。 [review] | けにろん, ざいあす, ぽんしゅう, jollyjoker | [投票(4)] |
★4 | 猿の惑星 創世記(ジェネシス)(2011/米) | 実に明快な映画である。清々しい。それは脚本の執筆からCGIの操作に至るまで、映画が「アクションの思想」とでも呼ぶべきものによって貫かれているためだ。各カットの強度では劣るものの莫大なアイデアの投入量が挽回し、橋梁アクションの総合得点ではあの歴史的傑作『M:i:III』にさえ肩を並べる。 [review] | MSRkb, 鷂, 緑雨, おーい粗茶ほか6 名 | [投票(6)] |
★4 | 妻として女として(1961/日) | 素直に見ればやはり高峰秀子と淡島千景の映画ということになるだろうが、高峰と飯田蝶子の絡みも実に面白いし、十朱久雄などもいい味を出している。唄の使い方も興味深い。高峰・飯田のそれはもちろん、序盤の大沢健三郎の唄が終盤で反復されること。その痛ましさ。 [review] | 寒山拾得, 直人 | [投票(2)] |
★4 | サッド ヴァケイション(2007/日) | 非常にアクロバティックな映画。それはこの映画の『EUREKA』なんかよりも数段複雑で多層的な構造を特に指して云っているのだけれども、それを軽みさえ感じさせる作品として成立させてしまう青山真治の手際には心底驚かされた。 [review] | 赤い戦車, TOMIMORI, 煽尼采, 芋虫ほか6 名 | [投票(6)] |
★3 | 未来を生きる君たちへ(2010/デンマーク=スウェーデン) | 作り手の良心は疑わないにしても、『ミスティック・リバー』や『ヒストリー・オブ・バイオレンス』を産み落とした現代アメリカ映画と比べれば甘々だ。この種の題材を扱うキリスト教圏の映画において、「神」についての議論が見当たらない(少なくとも前面には躍り出ない)というのは珍しいかもしれない。 [review] | jollyjoker | [投票(1)] |
★4 | バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3(1990/米) | シリーズを通して見たときに云えることは「結局これらはクリストファー・ロイドの映画であった」ということだ。 [review] | jollyjoker, Osuone.B.Gloss | [投票(2)] |
★5 | さすらいの女神(ディーバ)たち(2010/仏) | すべてのシーンを抱きしめたい。私が偏愛する映画の多くは巻頭の早い段階で理由不詳のまま私を打ちのめしてしまうのだが、この映画もまたそうだ。ソニックスの“Have Love Will Travel”とともにネオンサインで描かれたキャスト・クレジットがくるくる回るオープニング・タイトルからもう泣けて仕方ない。 [review] | moot | [投票(1)] |
★3 | 海と大陸(2011/伊=仏) | 確かに『君を想って海をゆく』や『ル・アーヴルの靴みがき』を経た上で云えば、不法移民問題を映画として扱う仕方には芸が乏しげだ。一方で、本筋の補助線たる主人公青年の性格造型(バイクもらってはしゃぐとか、金髪の嬢にええかっこ見せたくてめかしこむとか)は丹念に施されており、愉快の情を誘う。 | 水那岐 | [投票(1)] |
★3 | フラッシュバックメモリーズ 3D(2012/日) | ディジュリドゥはトロンボーンに次いで3D的な楽器だ。不出来な3D映画の奥行きが「連続」ではなく「複数の層の重なり」でしかないことを逆手にとって、前景と後景を「分断しつつ反響する」関係に演出したのは従来の分割画面の三次元的応用で、画面の情報量を上映時間で割った値が評価基準ならば傑作。 | ぽんしゅう | [投票(1)] |
★4 | MAD探偵 7人の容疑者(2007/香港) | 金田一耕助にしてもシャーロック・ホームズにしても名探偵というのは変人の素質があるものだ。その傾向を推進すればこのラウ・チンワンが生まれるのも必然かもしれない。作中で最も信用できないキャラクタこそが探偵というストーリテリングの冒険。語り手と観客が拠って立つ足場は始めから崩壊している。 [review] | MSRkb | [投票(1)] |
★4 | THE GREY 凍える太陽(2011/米) | リーアム・ニーソンの体躯・相貌が「生存」「アイリッシュ」「父」の主題を収斂して同時的に体現する。また極寒世界は彼の心象風景、あるいは自殺願望が召喚したかに見え、即物的極限状況と記憶/精神の二重写しの構図が虚構らしい必然性を持って提示されている。そしてラストシーンが無茶苦茶格好いい。 | m | [投票(1)] |