人気コメント | 投票者 |
★3 | メビウス(2013/韓国) | 学生が撮った自主制作八ミリ映画のような「乱暴」の印象を受ける。粗雑なカメラワークとカッティングから演出意図を窺うことはできず、極端に音数が少ないのは録音とリップシンクの労を惜しんだために思える。一貫しない画調も現像(タイミング)がプロ仕様ラボの仕事でないためかしらと錯覚してしまう。 [review] | 水那岐 | [投票(1)] |
★3 | WOOD JOB!(ウッジョブ)〜神去なあなあ日常〜(2014/日) | 少年はいかにして物語の本題である林業研修に参加することになったか。その契機として、脚本は「入試の落第」「失恋」「パンフレットの発見」を書き込んでいる。抜け作の演出家であれば一〇分間以上を費やしかねないシーンだが、矢口史靖は巻頭のわずか数カット、驚くべき高速度でこれを処理してみせる。 [review] | disjunctive, ダリア, けにろん, ぱーこほか5 名 | [投票(5)] |
★3 | アヒルと鴨のコインロッカー(2006/日) | 「ボブ・ディラン」「ブータン人」「鳥葬」などのコケオドシとしか思えなかった突飛なキイワード群が次第に物語にとって代替不能な要素として働き始め、おもむろにテーマを浮かび上がらせる。感心する。だが説明的すぎて私には受け入れがたい映画だ。私は説明を受けたいがために映画を見る観客ではない。 [review] | disjunctive, ロープブレーク, おーい粗茶, のこのこほか7 名 | [投票(7)] |
★4 | SHADOW/影武者(2018/中国) | 血滴子にソニック・ザ・ヘッジホッグ的解釈を施したがごときメタル傘の集団滑走など、色彩・美術・プロップは高度にファンタジーを達成する一方、生々しい感情の劇としても面目を保って堅調の作だ。「女の戦闘力が当然に男より劣るとする道理はない」という中華電影の伝統的世界観にも正しく拠って立つ。 | ゑぎ, けにろん | [投票(2)] |
★4 | イップ・マン 葉問(2010/香港) | 奥さんリン・ホンの性格と役割が単純化され、サイモン・ヤムのキャラクタが激変し、そもそも一〇年以上も時が経過しているようには見受けられないなど、前作との連絡にはかなりいいかげんなところがあるが、引き続きドニー・イェンとイップ・マンは一心同体だ。むしろその静かなる凄みはいや増している。 [review] | 死ぬまでシネマ, Orpheus, まー, ハム | [投票(4)] |
★3 | 去り行く男(1956/米) | グレン・フォードが少し格好をつけすぎる一方、男の妬みの醜さをロッド・スタイガーが実に憎たらしい顔つきで演じて懲悪の段取りをつける。風景のパノラミックな構図取り、屋内の配光もいい。デルマー・デイヴィスも画面造型力に優れた演出家だが、ここはさすがチャールズ・ロートンJr.と云うべきか。 | ゑぎ | [投票(1)] |
★4 | ブラッドシンプル(1985/米) | 「血液」の映画。やっぱりコーエンの最高傑作はこれかもしれない。費用対効果とでも云うか、映画が獲得しえた面白さを制作環境の自由度で割った値がコーエン一であることは間違いない。M・エメット・ウォルシュの悪役としての造型も『ノーカントリー』のハビエル・バルデムのそれ以上に類を見ないものだ。 [review] | DSCH, 赤い戦車, ナム太郎 | [投票(3)] |
★3 | 張込み(1957/日) | 仮にも「窃視」と「尾行」の映画のつもりならば、これでは演出が不精確すぎる。サスペンス創出術は落第級。野村が大木実と高峰秀子の間にあるべき「距離感」をまるで掴めていないからだ。一方、無為の時間の描き方には魅力を感じぬでもない。最もよくフィルムに収まっているのは刑事の無為と徒労だ。 | たろ, 寒山拾得, シーチキン, けにろん | [投票(4)] |
★3 | キー・ラーゴ(1948/米) | 面白い。しかしこれはもっと面白くなってしかるべき映画だろう。カッティングはなんだかぎこちないし、電話演出も気が利いていない。ハンフリー・ボガートに対するエドワード・G・ロビンソンのビンタもぬるい。三倍くらい強烈でもいい。面白くなれるポイントをいくつも取りこぼしている。 [review] | 寒山拾得, ぽんしゅう | [投票(2)] |
★4 | コンテイジョン(2011/米) | スティーヴン・ソダバーグの試みにはほとんど常に冷笑的な視線を送ってきた私でも、さすがにこれには感心する。六大キャストに限らず、エリオット・グールド、ジェニファー・イーリー、ディミトリ・マーティン、ジョン・ホークス、チン・ハン、アンナ・ジャコビー=ヘロンあたりの芝居の主張具合もいい。 [review] | jollyjoker, 緑雨, がちお, おーい粗茶ほか8 名 | [投票(8)] |
★3 | 東京オアシス(2011/日) | 『マザーウォーター』に輪をかけて過激な無機質≒無菌室映画。こと中村佳代演出の加瀬亮篇に至っては、もはやこの恐怖演出が無自覚の産物だという云い訳は通用しない。不気味な夜闇が無人の東京を覆い尽し、虚実を宙吊りにされた言葉が会話の死骸と化して散乱する。続く二篇は日和ってむしろ剣先が鈍る。 | ナム太郎, セント | [投票(2)] |
★4 | 荒武者キートン(1923/米) | バスター・キートンのもうひとつの偉大な機関車映画。こんな馬鹿馬鹿しい機関車のモーションを他に誰が思いつけるだろうか。疾走感だけがキートンの武器ではない。トコトコ走りの犬にも追い抜かれる最徐行機関車が極上の脱力ギャグを次々に繰り出す。そして激流の決死スタントにさえいっさい力みがない。 | 寒山拾得, KEI | [投票(2)] |
★5 | 旅芸人の記録(1975/ギリシャ) | 前人未到のアクション映画。人がぞろぞろ歩いている、ただそれだけのことが、アンゲロプロスの手にかかればここまで面白くなる、人の心を打つ。 [review] | たろ, けにろん, ゑぎ | [投票(3)] |
★4 | ハイ・シェラ(1941/米) | ハンフリー・ボガートの人気を決定づけた作品だというのも頷ける。有無を云わさぬ理不尽な威圧感と心の底にある優しさが滲み出たような笑顔。ボガートの多面的な魅力がよく発揮されている。犬の使い方も面白い(ちょっとしつこいけど)。 [review] | ぽんしゅう, 寒山拾得, けにろん, ジェリーほか5 名 | [投票(5)] |
★4 | ヒーローショー(2010/日) | 二〇一〇年日本のシネスコ暴力映画その一。終わってる感・人生詰んでる感が凄まじい。青年のひとり暮らしの部屋も深夜の地方コンビニも大学の学生食堂もあらゆる風景が行き詰まって息詰まって。脳の線が切れた若者たちの自滅的な暴力連鎖もデッドエンドに吹き溜るばかりでまるで生命のきらめきを反映しない。 [review] | 寒山拾得, 緑雨, MSRkb, DSCHほか7 名 | [投票(7)] |
★4 | 義兄弟(2010/韓国) | 映画が観念的把握に自縛した『映画は映画だ』よりもずっとよい。むろん満点の活劇ではないが、ここまで頑張って市街チェイスや集合住宅アクションを見せてくれるとは嬉しいじゃないか。風景のヴァリエーションにも気を遣っているし、人探し業のディテールで挿話に厚みをもたらすシナリオワークも心憎い。 [review] | 寒山拾得, まー, 赤い戦車, ぽんしゅう | [投票(4)] |
★5 | 大列車作戦(1964/米) | もし「A級アクション映画」なるものが存在するとすれば、まさにこれがそう呼ぶにふさわしい。一見「高尚」とも思えるテーマが設けられているが、それがアクションの興奮を阻害することはなく、作中人物の決死的な行動=アクションはそのテーマに深さと多面性を与えている。 [review] | けにろん, 赤い戦車, Orpheus, disjunctive | [投票(4)] |
★5 | キートンのカメラマン(1928/米) | 涙なしには決して見ることのできぬ、あまりにも美しい愛の物語。「MGM移籍後で唯一の佳作」などと評されるこの映画でさえ、ギャグの爆発力と精度は目も当てられない減衰ぶりを示している。ゆえにこそ、私は今いちどこれを愛の物語として受け止めたい。キートンは愛の物語を語り続けた作家でもあった。 [review] | 寒山拾得, ナッシュ13 | [投票(2)] |
★4 | パーフェクト・ワールド(1993/米) | 傑作。これも過小評価されている作品だろう。「自動車」の映画としてなら『ブロンコ・ビリー』『センチメンタル・アドベンチャー』以上に感動的だ。これほど自動車のいろいろな表情を見せてくれる映画はなかなかない。 [review] | 緑雨, jollyjoker, ALOHA, 赤い戦車ほか8 名 | [投票(8)] |
★4 | ハートブレイク・リッジ/勝利の戦場(1986/米) | 面白いですよ、これは。イーストウッドが自分の役を本当に嬉しそうに演じているのが見ていて気持ちいい。俳優イーストウッドをこのように使えるというところが監督イーストウッドの懐の深さなのだろう。 [review] | 緑雨, ゑぎ | [投票(2)] |