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★3レイダース 失われた聖櫃〈アーク〉(1981/米)嫌いになれるわけがない映画だが、概してこのシリーズは秘境・遺跡の美術が酷い。子供騙しと馬鹿にされても仕方のない面はある。一方でロケーション撮影は好調。また、蜂の巣・串刺し・炎上・溶解、果てはプロペラによる切り刻みなど、ハードコア人体損壊描写をエンタメ化する豪腕に真骨頂を覗かせる。けにろん, DSCH[投票(2)]
★4キャット・ピープル(1942/米)ジェーン・ランドルフの夜道独り歩きシーンから、微妙にだが決定的に映画のテンションが変質する。揺れる木々。揺れる水の影。「揺れ」こそが映画だ。そしてプール・シーン以降も緊張感を維持したまま映画は「影」の劇として突っ走る。これは確かに恐怖映画だ。もう怖ろしいほどに美しい。寒山拾得[投票(1)]
★4お国と五平(1952/日)時代劇となるとなぜか仇討ちを語りだす成瀬(『三十三間堂通し矢物語』は仇討ちの物語ではありませんが、市川扇升の動機は多分に仇討ち的でした)。いささか多用の気味さえある寄りのカメラワークが登場人物の感情を力強く画面に刻み込む。驚きの創出と繊細さの高次の両立という成瀬の真骨頂を堪能できる傑作。 [review]寒山拾得[投票(1)]
★4借りぐらしのアリエッティ(2010/日)アニメーションの、映画の、あるいはもっと広く表現一般の核心が描写の「細密化」と省略や誇張による「単純化」の按配にあるのだとすれば、やはりこの映画はそれについてのひとつの理想的な形を示していると云わざるをえないし、またその按配の独特さこそがスタジオの血統にほかならないと思わされる。 [review]づん, [投票(2)]
★4スティング(1973/米)ヒルの演出は厳格さを欠くが、タイトルバックの人物紹介・絵を用いた章立て・ワイプやアイリスの多用なども含め、厳格さの欠如ぶりに関しては一貫している。この一貫した緩さこそが多くの観客に愛される所以かもしれない。有効に演出されてはいないものの、ポール・ニューマンの隠れ家に回転木馬があるといった細部も好印象。けにろん, 緑雨[投票(2)]
★4キートンの案山子(1920/米)犬映画としては史上でも高位にランクされるのではないか。犬との追いかけっこにもっと家のカラクリ仕掛けが絡んでくれたほうがうれしかったが。そしてシビル・シーリーがやっぱりいい。くるくる踊る姿が愛らしいし、何よりこれはとても美しいラヴストーリーだと思う。泣きそうになってしまった。寒山拾得[投票(1)]
★3最後の誘惑(1988/米)晴天の荒野ロケに挑んだ「夜の都会」の作家が題材への深すぎる想いゆえ逆に基督教を舐めてるように見えるのと同じくウィレム・デフォーは芝居が鬼気迫りすぎて苦悩の共感値を低め、ハーヴェイ・カイテルは普段の現代劇演技で違和感を導入し、蟻や獅子や炎が喋るという愚を平気顔でやりのける演出がパワフル。たろ, 寒山拾得[投票(2)]
★3カメラを止めるな!(2017/日)廃墟のロケーションに利がある。空間的な使い込みが手緩いという恨めしさは当然に残るが、逆光きらめく白昼の草叢であるところの屋外とはよく対照する。照明設計は暗部の創出を顧みずに平板のきらいがある他面で、怪異・惨劇を白日のもとで繰り広げようとする「晴れやかさ」の意志と志向を宣言している。 [review]DSCH, 死ぬまでシネマ, Orpheus, 寒山拾得ほか7 名[投票(7)]
★5動くな、死ね、甦れ!(1989/露)画面の熱。云うまでもなく、それは撮影地の気候などとはまったく関係のない何ものかである。痩せた土の「黒」と雪や吐息の「白」を基調としたこのモノクローム画面は、しかし狂的に熱を帯びて燃え上がっている。「撮影のテンション」「演出の切迫感」などと云い換えてもよいであろうその熱は、適度を遥かに超えて過剰である。 [review]寒山拾得, けにろん, ペペロンチーノ, mootほか5 名[投票(5)]
★5プレイタイム(1967/仏)空前絶後の傑作。これは「世界」についての映画だ。これほど「平等な」映画を私はほかに知らない。史上最も民主主義的な映画ではないだろうか。全ての映画は『プレイタイム』を目指すべきなのかもしれない。 [review]動物園のクマ, 赤い戦車, , ほか8 名[投票(8)]
★4海炭市叙景(2010/日)すべての画像が喪失感を指し示している。“何か”が失われてしまった。だが本当に“何か”などというものがかつてあったのか。「確かにあったはずだ」と、映画は古い八ミリフィルムを回しながら静かにタイトル・インする。あまりにも私たちに似すぎた彼らを見守るにつけては、劇の作為性にこそ救われる。 [review]たろ, 緑雨, まー, DSCHほか7 名[投票(7)]
★3イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密(2014/英=米)シックなおしゃれ小箱風「エニグマ」と、多数のシリンダーがぐりぐり回転する容貌魁偉の「クリストファー」の外観的対照は称賛に足る美術・小道具班の仕事だが、欲を云えばクリストファーはもっと面妖に巨大で、部屋を埋め尽くすほどの体積を誇ってほしい。各時代の最先端電子計算機がそうである以上に。 [review]ゑぎ, YO--CHAN, 寒山拾得, けにろんほか5 名[投票(5)]
★3ジョン・ウィック(2014/米=カナダ=中国)キアヌ・リーヴスは飼い犬を殺されて復讐に走るらしい。とは云え、それはあくまで犬が亡妻の忘れ形見ゆえであれば、ここで犬は任意の変数でしかない。犬映画ぶりを讃えるには及ばないだろう。裏社会をファンタジーと割り切って治外法権と独自の掟を導入したのは物語に都合よいが、いささか漫画に過ぎる。死ぬまでシネマ, jollyjoker, けにろん[投票(3)]
★4タクシードライバー(1976/米)ニューヨークの「夜」の提示の仕方にスコセッシの凄さがある。ネオンサイン、雨、蒸気、或いはドラム男。それは殆どアンチ-リアリズムに接近している。また違和感を覚えさせるショットの配列・カッティングのタイミングが映画の狂気を拡大する。素直に見れば不細工な銃撃演出も敢えてか。バーナード・ハーマンの功績も忘れてはならない。DSCH, モノリス砥石, おーい粗茶, けにろんほか5 名[投票(5)]
★4昼顔(1966/仏)繰り広げられる出来事はともかく、画作り自体は決して変態的ではない。光の扱いと美術・衣裳のためにむしろノーブルでさえある。しかし演出家の視線にある種のグロテスクが宿っていることも確かだ。ともにピエール・クレマンティが絡む強盗シーン・銃撃シーンはアクション映画としても高水準の空間把握。「林」や「砂浜」もよい。けにろん[投票(1)]
★4ザ・シークレット・サービス(1993/米)実にイーストウッドにふさわしい物語だ。取り返しのつかない過去。自身と犯人の相似性。不相応に若い女性とのロマンス。「高所」演出も頑張っている。特に終盤のそれはヒッチコックだ。そしてやっぱりジョン・マルコヴィッチの突き抜けぶりが決定打。銀行員(とそのルームメイト)殺害の容赦のなさが凄い。緑雨[投票(1)]
★3虎の尾を踏む男達(1945/日)俳優間の演技設計の不調和を積極的に楽しむ。大河内傳次郎の大芝居。榎本健一の独創的な身体芸。藤田進の三四郎スマイルも炸裂。にしても変な映画だなあ。ややもすると安宅の関以上に路上酒宴が重大に語られ、挙句ラストは夢落ちのような余韻を残す。林の撮影(草葉への照明の当て方)の点では『羅生門』の叩き台。けにろん, ぽんしゅう[投票(2)]
★4雪国(1957/日)豊田四郎安本淳の見事な仕事。ロングテイクの多用と正確なカッティング・イン・アクションがシーン内の連続性を担保し、緩やかに情感を育む。それにより岸恵子のキャラクタの突飛さも可愛らしさとして十分に正当化されている。川渡りなど幾つかのシーンの美しさはもはや壮絶の域。芸者市原悦子の異様さも忘れがたい。ゑぎ, 寒山拾得[投票(2)]
★4女王陛下のお気に入り(2018/アイルランド=英=米)宮廷コスチューム・プレイとしてはおそらく申し分のない質に達しているのだろう。当時の人工光源状況に倣って積極的に屋内に暗所を配しつつ、美術と衣裳に贅を尽くしている。かつてのバリー・アクロイドと同様に、このロビー・ライアンケン・ローチ組を離れた途端むやみに凝った画作りを頑張り始める。 [review]カルヤ, ゑぎ, ぽんしゅう, けにろんほか6 名[投票(6)]
★4ムーラン・ルージュ(2001/豪=米)二十一世紀のミュージカルには品も趣味のよさも積極的に不要なのだとするならば、こういう映画もまあよろしかろう。なーんてしかつめらしいことは云いません。私たちが愛してやまない往年のMGMミュージカルとはまるで質を異にしているが、確かな幸福感がここにはある。 [review]けにろん[投票(1)]