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★4 | 監視者たち(2013/韓国) | 風采は上がらないが優秀な仕事人である班長ソル・ギョングと洞口依子を元気溌剌にした風の女性室長チン・ギョンは、ちょいと特車二課の後藤・南雲のようでもあり、私の好みからすれば部下との/部下同士の関係などはややフレンドリーに過ぎるけれども、このチーム感プロフェッショナル感は落第ではない。 [review] | けにろん | [投票(1)] |
★3 | トラッシュ! -この街が輝く日まで-(2014/英=ブラジル) | フィクションの快感が最大に至らない一因は、少年三人組の性格・能力を描き分ける趣向が凝らされていないことにある。三人の作劇上の役割は常に交換可能であり、那須正幹先生の偉大さが今更ながら身に沁みる。謎解きの結末がもたらす状況の演出には『続 夕陽のガンマン 地獄の決斗』の参照も求めたい。 | jollyjoker | [投票(1)] |
★5 | センチメンタル・アドベンチャー(1982/米) | これは「普通」の映画だ。なぜ「普通」である映画がこれほど心を打つのか、それがイーストウッド作品の最大の謎なのだ。 [review] | 緑雨, HW, ナム太郎 | [投票(3)] |
★4 | クロッシング(2009/米) | 死屍累々のブルックリン。奇抜な突出部を持たない代わりに重量級のドラマが統御されている。最先端のフォルムとは程遠い代わりにクラシックの風格を備えている。ビリングのトップにはリチャード・ギアの名が記されているが、最高殊勲俳優はやっぱりイーサン・ホークだろう。追い詰められた犬の顔である。 [review] | DSCH, jollyjoker, けにろん, ガリガリ博士 | [投票(4)] |
★3 | 殺されたミンジュ(2014/韓国) | あからさまな寓意が寓意を超えて輝く瞬間を持たない。キム・ギドクの拷問大好きアッピールは承るが、諸拷問は取り立ててファンタスティックでもなければ痛覚を窮めるでもなく、ギドクの傑作ならば描いただろう「拷問の果てに広がる未踏の風景」への期待も裏切られる。これは拷問博覧会と呼ぶに価しない。 | ぽんしゅう | [投票(1)] |
★3 | マイ・バック・ページ(2011/日) | 虚飾で塗り固められ、その自覚の有無すら怪しい松山ケンイチはいかにも山下敦弘が好みそうなキャラクタではあるものの、一見して初期の作風との隔たりはいっそう顕著だ。演出家としての山下の本質が「作風」などではなく「アクティング・ディレクション」にあることは、ここにおいてもはや明らかだろう。 [review] | 寒山拾得, 緑雨, けにろん, ロープブレーク | [投票(4)] |
★4 | ドノバン珊瑚礁(1962/米) | エリザベス・アレンの父娘/姉妹関係を巡る「葛藤」の仕組み方が適切でない。脚本がまずいのだろう。しかしフォードとウィリアム・クロージアはそれを馬鹿みたいに美しい作品に仕上げてしまう(なんともふざけたクリスマス劇シーンの荘厳な美しさ!)。またレラーニ役の少女ジャクリーン・マルーフが映画の情動をよく担っている。 | KEI | [投票(1)] |
★4 | トム・アット・ザ・ファーム(2013/カナダ=仏) | カメラの寄り引きの按配がユニックだったとして、それが積極的に好ましい効果を結んでいたとも思えない。画力には依然として疑問符がついて回るとは云え、しかしグザヴィエ・ドランが耳のよい演出家であることは確かなようだ。時宜と程度をよく弁えた劇伴音楽と音響が上首尾にスリラーを推し進めている。 [review] | 水那岐 | [投票(1)] |
★5 | 白熱(1949/米) | 一分の隙もない傑作。ものすごいスピード感だ。それは物語の展開という意味においても、個々のアクションという意味においても。刑務所の作業場・食堂やラストシーンにおける三次元性を強調した空間設計にも痺れる。 [review] | ぽんしゅう, ゑぎ, ジェリー, ジョー・チップ | [投票(4)] |
★4 | ランゴ(2011/米) | 『ファンタスティックMr.FOX』のような天才にのみ可能な業績と較べればさすがに分が悪いとは云え、これを一九二〇年代以来のアメリカ映画の一伝統「小動物アニメーション活劇」の最新形と呼ぶことにさほど躊躇は覚えない。ゴア・ヴァービンスキーのアクション設計にはやはり見るべきところがある。 [review] | disjunctive | [投票(1)] |
★4 | 私の優しくない先輩(2010/日) | 逆光の映画。私の好みではない演出が散見されるし、役者も充実しているとは云えないが、しかしこれは感動的なフィルムだ。『マイ・フェア・レディ』と見せかけて『お引越し』であるというしたたかな作劇戦略もさることながら、さらにそれ以上のものをやってやろうという野心でもって撮られている。 [review] | ペンクロフ, 煽尼采, MSRkb | [投票(3)] |
★4 | 葛城事件(2016/日) | 作中人物の造型も、言動も、挿話も、あるいはたとえば「シーンの不幸を食卓風景の貧しさで表す」といった演出イディオムも、私たちはそれらをすでに映画なり週刊紙なり井戸端なりを通じてよく見/聞き知っている。類型的である。とは云え芸もなく類型に類型を重ね続けた類型の累計は確かにド迫力である。 | けにろん | [投票(1)] |
★4 | ファンタスティック・プラネット(1973/仏=チェコスロバキア) | 徹底してビザールなキャラクタ・デザインはそれだけで見る価値がある。図式的な寓話かと思わせておいて、その図式をするりと抜け出してしまうしたたかさも併せ持っている。音楽もよい。というか単純に私の好み。 [review] | DSCH | [投票(1)] |
★4 | トイ・ストーリー2(1999/米) | バズがスペース・レンジャーとしてあれほどこだわっていた「ヘルメットのシールド」をあっけらかんと外したまま登場することにまず感動する。ウッディの腕のもげも玩具的であると同時に「怪我」の映画的機能のさせ方としてユニックだ。空港シーンからのアクション連打も想定以上の出来。ベルト・コンベアの空間の複雑さ。 | DSCH | [投票(1)] |
★2 | 告白(2010/日) | 厭らしい演出の一貫ぶりは堂に入った中島哲也の人形劇。この画面が簡単に撮れるとはむろん思わない。プリ〜ポストプロダクションを通じて膨大な労働力が費やされている。でも、これは心底ダサいですよ。『アメリカン・ビューティー』『ウォッチメン』たちと同じ病に罹っている。紋切型描写の扱いが致命的に拙劣。 [review] | 犬, ルクレ, 太陽と戦慄, サイモン64ほか9 名 | [投票(9)] |
★4 | エンド・オブ・ホワイトハウス(2013/米) | 作品制作のたびに主要スタッフの総入替えを行うことが常となっているらしいアントワン・フークアは、良くも悪くも新作に過去作と同等の品質を約束しない。前作『クロッシング』で観客を魅了した撮影の深度とキャラクタ造型の機微は大幅に失われ、映画の知能指数はかなり低めに仕上がっている。面白いが。 [review] | jollyjoker, まー, カルヤ, 中世・日根野荘園ほか6 名 | [投票(6)] |
★4 | ズートピア(2016/米) | 作中動物の種的特徴は作劇とキャラクタ造型には念入りに織り込まれても、活劇には存分に反映しない(最良のアクションは「電車」がもたらすだろう)。真に種々雑多の動物からなる活劇を目指したならば、鳥類による飛行アクションを無視するはずがない。総じて、ここでは非哺乳類の排斥が行き過ぎている。 [review] | DSCH | [投票(1)] |
★5 | 映画ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム(2015/英=仏) | 無声映画的洗練を重ねた話法と、音楽だけが呼び起こせる類の感傷を併せ持ち、アードマン印の空惚けたユーモア「動物による人間的振舞い」の按配が絶妙を極めて毎秒毎フレームがギャグと化す。ギャグ=アクション=ストーリテリングの等式が全瞬間に妥当するのはバスター・キートンさえも凌ぐ偉業である。 | DSCH, ぽんしゅう, ナム太郎 | [投票(3)] |
★3 | カケラ(2009/日) | 性を巡る認識の牢獄を告発しつつ、自身も囚われの身であることには無自覚なさま。多方面によく目端・目配せがきいて批判にも容易に屈しない強かな作りだが、満島ひかりと中村映里子の間に真に幸福な時間が成立していないのは手落ちだ。楔を欠くから刻々と関係性が変化しても退屈が忍び寄る。台詞もよくない。 [review] | jollyjoker, けにろん | [投票(2)] |
★3 | ブルーノ(2009/米) | 各シーンのカメラ基本使用台数が三台(またはセットアップ数が三)とは多すぎる。もっと貧乏臭く撮らなくては。劇中の行為への批判者に対してはその狭量を逆批判できる、という狡猾な作りは良識に抗うコメディにあって常套の構え。頭のよさを隠しつつも、やはり認められたいという思いが見え隠れする。 | disjunctive | [投票(1)] |