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★3 | インセプション(2010/米) | レオの懊悩に「巻き込まれる」のは予定調和を避ける意味で良いとしても、最後まで引っ張って結局予定調和なのはある意味驚き。結局「何となく全てが巧くいった」その様子を呆けて眺める他なく、その過程にカタルシスを感じられず。映画に「ルール」を要求しすぎ。チーム・ディカプー、『パプリカ』に完敗。画の密度は買う。 | ロープブレーク, おーい粗茶, Bunge, けにろん | [投票(4)] |
★4 | 鉄男 TETSUO(1989/日) | 無機物のグロテスクな有機感(濡れた鋼)。呼応しあう鉄と肉の怒号と交歓。「都市への怒り」→「強くなりたい」→「鉄と肉の融合(媾合)」という 短絡性が確信に結びつくとき、馬鹿馬鹿しい程のエネルギーが生まれ、鉄は肉に、肉は鉄になる「新世界」へ。ある都市論の可視化が鉄肉愛憎表裏一体 のセックスと戦いに至ったという力業。ぐちゃぐちゃだが一貫してる。タイトルからしてエッチ。御苦労。 [review] | irodori, 寒山拾得, けにろん | [投票(3)] |
★3 | キングスマン(2015/英) | 素敵なおじ様のオンパレードで鼻の下が伸びるが、それだけだ。キレッキレなどと謳っているが、イメージギャップとグロで幻惑するだけの手管で飽きる。『キックアス』の遺産でしのいでいるだけだ。何より「見せ場」と思われる教会の大立ち回りが作劇上エモーションの高まりに何ら寄与しないといういい加減さは致命的な後退である。暴力を弄んでいるだけのようでその実そうではないタランティーノとの差が歴然。 [review] | おーい粗茶, kiona, ナム太郎, 袋のうさぎほか6 名 | [投票(6)] |
★2 | カサノバ(1976/伊) | 散々派手な口上を述べ、奇天烈BGMに乗せて披露した性技について大使よりいただくご講評が「お前の正常位には独創性がない」。この渾身の一発ギャグ以上のものがほとんどない。化粧、衣装、お追従、いかがわしい知識、下品で退屈な宴、あらゆる虚飾で隠される貧弱な肉体。何もなし得ず、ただただ醜く哀しいだけ。 [review] | けにろん | [投票(1)] |
★4 | 悪魔のいけにえ(1974/米) | 凶兆・・・顔を持たない「何か」に、世界は切り刻まれる。全てが喰らい尽くされるまで。 [review] | ゑぎ, 袋のうさぎ | [投票(2)] |
★4 | ヘイトフル・エイト(2015/米) | 実にヘイトフル。歴史に沈潜した憎悪に作用され、疑心と殺意が濃縮されゆく会話劇の「言葉の暴力」が、行くとこまで行った感があって凄まじい。白も黒も、嘘と赤い血に沈む上でしか和音を奏でることはしないという、ピアノの鍵盤と不協和音混じりの「聖しこの夜」が示唆する恐るべき「アメリカ的」帰結。文学的な前のめり感がかなり強いが、相応の旨みと凄みが出た。にしてもタラ先生の最近の荒ぶり方は一体何なのだろう。 [review] | おーい粗茶, ロープブレーク, ぽんしゅう, jollyjokerほか5 名 | [投票(5)] |
★3 | ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序(2007/日) | 時間的制約の中でフェティシズムへの偏向が生む「欠落」と奇妙な「充足」。得体が知れない不気味な作品。
[review] | けにろん, おーい粗茶, 鷂, disjunctiveほか5 名 | [投票(5)] |
★4 | 哀しき獣(2010/韓国) | 延吉(中国)の朝鮮族街と、密入国の窓口となる韓国の場末では、殆ど街の色に違いはない。その近接感に関わらず、濃い「遠くに来ちまった」感。それは後戻りできない物語を高速カット割で煽って運び去るスタイルが的確な上、朝鮮族による、「民族/国家」の近いようで遠い、憎悪と羨望の微妙な距離認識を正確に演出に投影しているからだ。その距離のゼロ化=越境・接近が喰らい合いに至るしかない悲劇。凍えて飢えた画面も◯。 [review] | irodori, 緑雨, 3819695, けにろんほか6 名 | [投票(6)] |
★4 | 新しき世界(2013/韓国) | 一見マグロに見えた主人公が牙を剥くまでのタメと人物配置が良く、「選択」の瞬間がスリリング。結局映画を動かすのは組織の理念でも損得でもなく「情念」であり、この「情念」を負う主演三名いずれもいいが、やはりミンシクが素晴らしく好み。既に彼岸の人の暴力的な投げやりさ。疲れた風貌に苛烈さを隠し、僅かな、しかし強い哀しみを疼かせる。記号的といえばそうかもしれないが、それがいい。 | セント, けにろん | [投票(2)] |
★4 | フレンチ・コネクション(1971/米) | フリードキンは「正義」という仮面を被った暴力衝動や焦燥を、街の耳障りな轟音に託して描くのが巧い(特に高架下、地下鉄)。これに不協和音混じりの鼓膜を引き裂くような劇伴、正義が享楽と暴力の言い訳に変質しているドイルの脂汗を映すシャープな撮影が重なる。その歪で下品な「和音」感。ハックマンは下品で適切なお仕事。廃屋は黒沢清もびっくりのクオリティ。 [review] | ペンクロフ, けにろん | [投票(2)] |
★3 | アイアンマン(2008/米) | いかがわしくも愛嬌がありそれを凌駕して男臭くまた翻っていかがわしくも愛嬌があり・・・というロバート・ダウニーの奇跡的複雑に恵まれた風貌と演技を純粋に愉しむ。コイツは確かにスタアだと思います。グウィネスもこんなにキレイだったっけか、という驚愕の映りの良さですが、だからこそ、このキャスティングを外したらどうなったかと考えると夜も眠れません。 [review] | おーい粗茶, さず, Lostie, けにろんほか5 名 | [投票(5)] |
★2 | リトル・ミス・サンシャイン(2006/米) | ポンコツの乗り物を押す、もしくは乗り物に飛び乗るといった描写は、まず例外なく感動的で、この画にテーマを託すことが出来なければ、その映画はまず平均点以下だ。本作では修理屋のご丁寧な解説から導かれるそのシーンは、少なくとも平均水準ではある。しかし、基本的な演出は善意の名のもとで弛緩しており、冒頭の群像の切り取りからして退屈過ぎる。スタートラインの価値観が石器時代の産物。 [review] | irodori, 緑雨 | [投票(2)] |
★4 | モンティ・パイソン 人生狂想曲(1983/英) | エロ・グロ・クレイジー・バイオレントなバカ騒ぎを無作為に散りばめながらも、根底に冷たく透徹した視線をひしひし感じる「人生惨歌」。 [review] | ゑぎ | [投票(1)] |
★2 | 殺人狂時代(1967/日) | 正攻法で撮ったら悲惨になる話だし、既存概念の逆へ逆へ作る試みは分からなくはないが、ブラックコメディというか諧謔の心情は監督には向いていない気がする。アクが強いだけで旨味がない。賑やかしの砂塚が苦手で、ジャー=ジャー=ビンクスを想起した。病棟や拷問フィルムの描写も居心地が悪い。 | けにろん | [投票(1)] |
★4 | ゴジラ(1954/日) | 「よく見えないシーンがよい」という嫌味にしか聞こえない褒め言葉。(嫌味二割くらいの配分です) [review] | 水那岐, けにろん | [投票(2)] |
★4 | 親切なクムジャさん(2005/韓国) | 悪魔であるからこその「優しさ(親切)」と、天使であるが故の「残酷(愛からの憎悪)」という両極を具有する復讐者が体現する世界観。人のためならぬ「情け」で作り上げたその「ケーキ」は、甘いのか、苦いのか。 [review] | おーい粗茶 | [投票(1)] |
★3 | ドクター・スリープ(2019/米) | あの禍々しい妖気が、邪気が視えないのだ。私の「輝き」が足りないからか?それとも、足りないのは・・・まさか、フォース? [review] | ロープブレーク, じゃくりーぬ, サイモン64, 月魚ほか5 名 | [投票(5)] |
★3 | ダイナマイトどんどん(1978/日) | 「かつての野球少年達は、戦争という青春と時間の断絶を経て、ヤクザに成り果てた。彼等は、体が大きいだけの子供に過ぎない」というさりげないウェットさが隠されていて、はしゃげばはしゃぐほど笑えて切ない・・・はずなのに、どうにも眠い。一本調子で笑いの彫琢が浅く、エモーションを掻き立てる楔がない。たいへん惜しい。『ジャズ大名』の達成とは雲泥の差。キャラは愛せる。 | irodori, disjunctive, けにろん, 寒山拾得 | [投票(4)] |
★2 | 来る(2018/日) | 映画の神的なぼぎわんがいるなら、監督が食われるのが相応しい。「だって、あんた、嘘つきやから。」 [review] | おーい粗茶, ロープブレーク, ゑぎ | [投票(3)] |
★3 | バトルシップ(2012/米) | 侵略者側の行動規範や目的がいまいち不明瞭で、もしかして宇宙人さん可哀想なのではとすら思ってしまうのだが、SF的示唆もろとも四の五の言わずにぶっ潰すという脳筋ぶりがいっそ清々しい。とにかく昨今珍しいレベルで威勢がよく、このテのにありがちな国粋的きな臭さもなくてカラッとしており、ベタの崇高さを教えてくれる。浅野も冗談を楽しんでいる空気が愉快。爺連の素晴らしさは言うに及ばず。 [review] | クワドラAS, disjunctive, けにろん | [投票(3)] |