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★4 | トッポ・ジージョのボタン戦争(1967/日=伊) | 何がどうしてこうなったのか。日伊合作市川崑監督パペット・ムーヴィ(しかし人間も出る)『トッポ・ジージョ』しかも『ボタン戦争』(Missile War)とは。映画においては「企画」と呼ばれる段階にこそ最も人智を超えた禍々しいサムシングが潜んでいるのやも知れぬ。 [review] | 寒山拾得, づん, ぽんしゅう | [投票(3)] |
★4 | 第3逃亡者(1937/英) | 真犯人に寄っていくクレーンはむろん必殺で、『鳥』的鳥アップのような奇矯なイメージも目を惹くが、小技の充実も同等に嬉しい。自動車が廃坑の穴に呑み込まれる唐突さ。その呑み込まれる速度の緩慢さが醸す官能性。ノヴァ・ピルビームはヒッチコック・ヒロインの中でも好感度番付上位。原題は無駄に感動的。 | 寒山拾得, ジェリー | [投票(2)] |
★3 | 三度目の殺人(2017/日) | 自らが象徴であることを隠しもしない象徴たちは、一義的な解釈への収束を強迫神経症的に恐れて予防線を張り巡らす営みに没頭している。だが「映画」は断じて象徴読解ゲームではない。そも十字(架)に逸早く「裁き」の徴を見る福山雅治が胡乱だ。彼がローマ帝国民かパリサイ派だというなら道理は通るが。 | IN4MATION, 寒山拾得, 袋のうさぎ | [投票(3)] |
★4 | 月に囚われた男(2009/英) | 小品の美徳に酔う。とても切ない映画だ。この材料でこの情感を目指してみせるところが頼もしい。もちろんそれは復古的でこそあれ、新しいものではないだろう。しかしガーティの性格造型でサスペンスを支え、感動的な帰結を導く仕掛けがある。その声以上にアームやボディの動きが豊かに彼を表現している。 | DSCH | [投票(1)] |
★4 | 脱出(1945/米) | ここでもホークスの演出は圧倒的でありながら、俄かには圧倒的であることをも感じさせないという最良の「アメリカ映画」を体現している。この傑作を前にした私たちにとって最も難しい行為とは『カサブランカ』を想起することではないか。 [review] | 寒山拾得, 動物園のクマ | [投票(2)] |
★3 | トロン LEGACY(2010/米) | 3D表現に関して『アバター』と対抗するもうひとつの極を形成しようという気概はある。(どちらも画面に占める実写素材の割合は極めて小さいとは云え)『アバター』がどこまでも自然の風物で構成された世界で飛翔運動を活劇の中心に据える一方、こちらは暗黒と人工光の無機質空間で疾走運動を展開する。 [review] | DSCH, Lostie, HW, disjunctiveほか5 名 | [投票(5)] |
★4 | どん底(1957/日) | 俳優部の充実度は黒澤でも屈指。三船敏郎と山田五十鈴のスーパースター対決はむろん見ものだが、脇役好きにもよだれが止まらない映画だ。田中春男! 三井弘次! 左卜全! 東野英治郎! 藤原釜足! 三好栄子! 上田吉二郎! 千秋実! そして映画俳優としてはまだ駆け出しながら既に面白すぎる中村鴈治郎!! [review] | 動物園のクマ, いくけん, 緑雨, 直人 | [投票(4)] |
★4 | 羅生門(1950/日) | 森における光の操作をはじめとしてこれほど冴えた撮影を誇る映画がしかし最大級の面白さを獲得するに至っていないことに、構成そのものを主題とした映画の限界を見る。ラストは恒例のお説教タイムでげんなり。お前は何様だ? とも思うが、黒澤様なのだから聞き入るしかない。もはや作家の署名である。 [review] | 寒山拾得, Lostie, 淑, 赤い戦車ほか9 名 | [投票(9)] |
★4 | 肉体の悪魔(1947/仏) | 悪くないじゃん。安定志向の画面設計は一見いかにも「良質」だが、ジェラール・フィリップ中心の芝居の組立てを邪魔しない程度の冒険も認められる。鐘の音と爆発音(?)を重ねるなど音響演出も幼稚なりに気は利いており、ディゾルヴの仕方にも工夫が見られる。水面・鏡・雨・ボート・列車などの細部の充実もなかなか。 | ゑぎ | [投票(1)] |
★4 | キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー(2014/米) | 謀略を暴くことが求められてもキャプテン・アメリカは知的な小細工を弄さない。窓も扉も壁も体当たりでぶち抜くクリス・エヴァンスの「激突」「突破」アクションの直線性がキャラクタを語る。加えて円盾とアンソニー・マッキーの「旋空」が曲線性を導入し、場はくまなくアクション空間として消費される。 | ロープブレーク, セント | [投票(2)] |
★4 | ワンダーストラック(2017/米) | 『キャロル』監督の作としては何とも散漫な仕上がりだが、子役ひとつを見てもやっぱりアメリカ映画こそ世界一だと得心するには足る。アフロヘアっ子のジェイデン・マイケルがひたすら可愛く、ミリセント・シモンズの仏頂面と破顔の落差にも動揺する。オークス・フェグリーくん、あなたは髪を切りなさい。 [review] | けにろん | [投票(1)] |
★4 | オカルト(2008/日) | 単なる取材者=非当事者の限りで事件に関与するだけだったはずの白石晃士が、あれよあれよと物語の中心人物に昇進して怪異の核心に引き寄せられていく。実に都合よい展開だが、これを作劇の拙さとして軽んずるべきではない。この「都合のよさ」こそが神の御都合主義としてのオカルトにほかならないのだ。 [review] | クワドラAS | [投票(1)] |
★4 | 乱れ雲(1967/日) | 成瀬らしい視線の、雨の、歌の、そして乗り物の映画。 [review] | 寒山拾得, 動物園のクマ, 緑雨 | [投票(3)] |
★3 | 崖(1955/伊) | 現在日本で流通しているプリントがすべてそうなのかは知らないが、とにかく私が見たのは91分版で、やはり本来あるべき場面が多く省略されているという印象を覚えた。リチャード・ベースハート/ジュリエッタ・マシーナ夫妻の顛末描写が半端であり、反面ブロデリック・クロフォードに焦点を絞っていく仕方もぎこちない。 [review] | 寒山拾得 | [投票(1)] |
★3 | 八日目の蝉(2011/日) | 『お引越し』の奥寺佐渡子は地方の観光的でない生活感を映画に採り入れるあたりの筆に冴えが認められる。この映画も小豆島に腰を落ち着けてからが本番だ。全篇「面白さ」の創出にかけてはからっきし無頓着の演出が続くが、島での幸福な時間の重ね方までもつまらんの一言で片づけてしまおうとは思わない。 [review] | jollyjoker, tredair, 寒山拾得, disjunctiveほか11 名 | [投票(11)] |
★4 | 祖谷物語 おくのひと(2013/日) | これにしてもかつかつの予算を何とか遣り繰りして撮り上げられたに違いないが、この恰幅のよさは貧乏臭い日本映画と一線を画す。ウェブ上で閲覧できる監督のインタヴューを何件か瞥見した限りでは影響源としてその名が挙げられているのを確認できなかったが、黒沢清的不穏が至るところに渦巻いてもいる。 [review] | ぽんしゅう | [投票(1)] |
★4 | 劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス(2014/フィンランド=仏) | 真顔のままギャグをぶち込むことにかけて、さすがにこのキャラクタたちは年季の入りが違う。その泰然たるギャグ者の風情はムーミン谷の住民でない客演キャラクタにまで波及し、殊にモンガガ侯爵による「私は象しか彫りません」宣言には抱腹を強いられる。その理由不詳の当然ぶりが一級の喜劇の徴である。 | DSCH | [投票(1)] |
★4 | ミッドナイト・バス(2017/日) | 作中人物の過去に重きが置かれた物語でありながら、過去の象徴(山本未來の前姑、小西真奈美の前夫、七瀬公の前職、など)を周到に画面から排除することで、現在形の語りを貫いて長尺を乗り切っている。原田泰造には役者としての徳があり、「質問を許可しない」葵わかなが笑わせるなど小さな美点も多い。 | セント, 緑雨 | [投票(2)] |
★4 | グレイテスト・ショーマン(2017/米) | 物語は「サーカス」の語が喚起する一般的なイメージであるところの巡業をほとんど等閑視し、もっぱら常設劇場を興行の前提としている。いわゆる「サーカス列車」で知られるP・T・バーナムを主人公に戴いているにもかかわらずである(むろんサーカス列車の創始は彼の後半生に属する出来事ではあるが)。 [review] | ゑぎ, けにろん, Orpheus | [投票(3)] |
★4 | ソイレント・グリーン(1973/米) | 冒頭のスチル写真モンタージュから凄いテンション。雑踏・教会・暴動など幾つかのシーンで突出した空間造型を持つ。またルック自体の変化で各シーンを描き分ける仕方が近未来描写の現実性の度合いを調節している。細部のアイデアも冴えており、殊に「階段を埋め尽す貧民」「ショベルカー」が呼び起こす映画的興奮は極めて大きい。 | ゑぎ, HW, ジョー・チップ | [投票(3)] |