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3819695さんの人気コメント: 更新順(7/72)

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★3ノウイング(2009/米)舐めきったお話でも大真面目な芝居のニコラス・ケイジが偉い。映画の説得力は多くケイジの顔芸に拠っている。「手話」も最低限は効かせており、勘所の演出で大失敗があった印象は薄い。終末風景をスローとベートーベンで処理してしまうセンスの悪さも嫌いでなかったりするが、もはやアニメなディザスタ描写に私は迫力を認めない。おーい粗茶[投票(1)]
★3鏡獅子(1935/日)なかなか思うように撮らせてもらえなかったらしいが、カラの舞台や客席を映した冒頭のショット群はまぎれもなく小津のもの。いつものことながらカッティングのタイミングの正確さに震える。ゑぎ[投票(1)]
★4崖の上のポニョ(2008/日)思わず『恋のエチュード』を想起した、などと堂々と云ってしまうには画面の質感から何から異なる点が多すぎるのだが、ともかく「崖の上の家」というのがよいのだ。このロケーションの特異性。斜面感覚。これが単なる「海辺の家」であったならば、この映画はここまで面白くはならなかったと断言できる。 [review]DSCH, 煽尼采, ドド[投票(3)]
★5フェイシズ(1968/米)各キャラクタの人格のなんと立体的であることか! それは現実以上に現実的ですらある。その意味で、これをリアリズムと呼ぶことはもはや適当ではない。どうすればこのような演技が、演出が生み出せるのか。カサヴェテスはぶっきらぼうに映画の魔法を連発する。 [review]週一本, 煽尼采, , セントほか5 名[投票(5)]
★4抜き射ち二挺拳銃(1952/米)乗馬チェイスの速度感に終盤の銃撃戦設計。やっぱりシーゲルのアクションは最高だ。留置所の爆破シーンなど低予算なりに派手な画面を拵えるサービス精神も嬉しい。スティーヴン・マクナリーが腕に怪我を追って引き金を引けなくなるという障害の仕組み方もシーゲルらしさか。その障害による追い詰めぶりは少々手温いが。 [review]ゑぎ, 袋のうさぎ[投票(2)]
★4ラベンダー・ヒル・モブ(1951/英)よくできた脚本だ。「よくできすぎた」脚本ではない、というのがよい。一般論として云えば、よくできすぎた脚本は撮影段階での演出の自由を狭めてしまう。プロットワークの面白さと演出の面白さが両立したこの映画もまた、スタッフの能力のみならず制作システムが生ましめた良作と云ってよさそうだ。 [review]ゑぎ[投票(1)]
★4白衣の男(1951/英)「究極の発明は産業の首を絞める」という命題を無条件に真とすることはできないので諷刺の精度を過度に評価することもできないが、そこで「労使の結託」をフィーチュアしてみせるシニカルなユーモアは英国映画らしい。と云ってもマッケンドリックは(イーリングには雇われていただけで)米国人なんだけど。 [review]ゑぎ[投票(1)]
★4ダーティ・グランパ(2016/米)一応親身を装った風情のつもりなのか、ロバート・デ・ニーロザック・エフロンに何やら助言をするが、それは目に入ったTシャツやステッカーの文言を口にしていただけ。といった吃驚に価する高精度のギャグがいくつか紛れ込んでいる。「フロリダではどこでも発砲してよい」などのお役立ち知識も満載だ。ALOHA[投票(1)]
★3レヴェナント:蘇えりし者(2015/米)エマニュエル・ルベツキだけでは飽き足らず、ジャック・フィスクジャクリーン・ウェストまで登用し、撮影の自然崇拝と「詩的な」回想に励む。テレンス・マリック化症候群が重篤だ。しかし「およしなさい」などと親身な忠言はすまい。私とこの演出家の間には一遍も一片も友情が通ったことはないからだ。 [review]おーい粗茶, ペペロンチーノ, DSCH, けにろんほか5 名[投票(5)]
★4大鹿村騒動記(2011/日)可愛い人たちの映画。ワイルドであること、タフであること、マッチョであること、それらを自らに課すかのような原田芳雄の振舞い、しかしその表面から透けて見えるのは繊細な優しさとピュアーな幼児性だ。この掛値なしの可愛げの源泉を演技技術ではなく人格に求めるのは、今や感傷的すぎる行いだろうか。 [review]おーい粗茶, tredair, ぽんしゅう[投票(3)]
★3ライフ(2017/米)奴さんの生態を「わずかの間隙にも侵入できる」としたことで、作中人物の諸行動はもっぱら「空間の遮断」と成否を等しくする。その「規則」は映画的な動因たりうるが、規則の徹底は生存闘争の競技/遊戯化を促してしまう。されど飽かずに最終カットまで空間遮断ゲームに興じたのは虚仮の一心。無芸の芸。DSCH, 袋のうさぎ[投票(2)]
★3闇を横切れ(1959/日)初期増村らしい高速展開が当然のように面白いが、感情の粘度と圧力は速度の犠牲になっている。それはまた川口浩の資質のためかもしれない。「継承」の主題の扱い(ハンケチ)もあってアメリカンな味わいとも云える。山村聰杉田康守田学の絡み合う最期が格好いい。見明凡太朗の正義感にもグッとくる。寒山拾得[投票(1)]
★5イングロリアス・バスターズ(2009/米=独)デス・プルーフ』のような「奇跡」の映画ではない。だからこそ感動的だ。タランティーノは自前の演出力のみでこれを傑作たらしめた。この「バスターズ」という集団をして「ダーティ・ダズン」を目指さないことの聡明さ。ブラッド・ピットを除くバスターズの「顔面」のつまらなさときたら! [review]太陽と戦慄, DSCH, 若尾好き, mootほか15 名[投票(15)]
★4ベイビー・ドライバー(2017/米)イヤフォーンの映画。むろん定義次第ではあるが、確かにこれがミュージカルでもあるならば、この映画のミュージカル的特質とは「画面内に音源を持つ現実音だが、観客と主人公にのみ聴こえる」音楽の在り方だろう。私たちとアンセル・エルゴートは「私と彼だけの音楽」を介して共犯的に親密な関係を結ぶ。 [review]DSCH, てれぐのしす, MSRkb, ゑぎほか5 名[投票(5)]
★3祭りの準備(1975/日)南国だろうが海辺だろうが閉塞状況は生まれることを語って偉いが、江藤潤にはもっと圧力をかけてほしい。まだ余裕があるように見える。あるいは殺人/自殺/発狂に至ることすら許さない余裕を予め内蔵していることこそが閉塞共同体の地獄か。とりあえずの決着の身振りとしての「万歳」はたとえば『お引越し』も。寒山拾得, DSCH, 水那岐[投票(3)]
★3酔いどれ天使(1948/日)三面鏡・ペンキ・ベランダなど小道具や装置を使った視覚的なカットが冴えている。影絵・闇市シーンの網状の影など表現主義風味も。「沼」もテーマを語ってよい。三船敏郎の「病による衰弱」と「更生の可能性」が混同されているのは難。堅気になりかけていたのに…、というところをちゃんと演出しないと映画の感情が弱い。寒山拾得, けにろん, 緑雨[投票(3)]
★4ウィッチ(2015/米=カナダ)因果応報の脈絡下にない怪異は不条理と云えるが、唯物論的には男の甲斐性不足に終始する噺で、時代や国の別を問わない普遍的な侘しさがある。善き家長たらんと鼻息荒く頑張る凡夫が嫁のみならず娘にまで経済力と先見性の欠如をなじられる図の悲哀は、我が邦のサラリーマン川柳にうってつけの素材である。 [review]DSCH, ゑぎ[投票(2)]
★596時間(2008/仏)二十一世紀の『ドラブル』。アクション演出にドン・シーゲル級の(=史上最高水準の)明晰さを求めさえしなければ、これを傑作と呼ぶにも吝かではない。まずは一〇〇分にも満たぬ上映時間の短さがこの映画のすばらしさを示している。それなりの規模で撮られた/公開される現代映画としては稀有の簡潔さ・速さ。 [review]おーい粗茶, MSRkb, 緑雨, パピヨンほか14 名[投票(14)]
★3アマルフィ 女神の報酬(2009/日)面白い、と云ってあげたい。どう転んだって面白い映画など出来上がるはずのない製作態勢(種々のしがらみ)の下で最善に近い結果を出している。唐突にシーンを黒画面で断ち切るなどのぶっきらぼうな話法が驚きを生産し、高速度撮影や「写真」の使い方に顕著な通俗的な演出もなぜか許容範囲に踏みとどまってみせている。 [review]ダリア, tkcrows[投票(2)]
★4アリー/スター誕生(2018/米)リムジン運転手の詰所と化したレディー・ガガ宅で親父連がJRAを視聴しているなど、徒らな細部の面白さに対する感度が嬉しい(「ジャクソンメイン州」なる馬が出走している。馬名に漢字が用いられているのは調査不足か、虚構性の表明か)。楽曲は取り立てて好むところでもないが、音の鳴りは最高級だ。 [review]ALOHA, さず, jollyjoker, けにろんほか6 名[投票(6)]