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DSCHさんの人気コメント: 投票数順(2/23)

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★3地獄でなぜ悪い(2013/日)奔放に見えるのはポーズで、タランティーノ的(深作的なのかは知らない)映画的倫理観に関する評を映画化したような、頭でっかち感がある。この点割と知ってる話で、いい加減で出来レースな展開も醒める。が、地獄を天国にすり替える『堕落論』好きが丸見えの監督のスタンスはやはり好き。血の海で歌って踊って啖呵を切る少女を、狂気や虚無として描いていない。あと主題歌。 [review]たろ, ロープブレーク, 水那岐, おーい粗茶ほか7 名[投票(7)]
★4リパルジョン・反撥(1965/英)性にとどまらない生への嫌悪と吐き気の映画だが、嫌悪は果たされない願望の裏返しとしてある。ドヌーヴの目は、閉じるわけではなく、何かを探すようにぎこちなく宙をさまよう。このオープニングからして、ポランスキーの観察と実践は嫌らしいほど精緻で説得力がある。ポランスキーの作家性の本質は五感のレイプ、「侵(犯)すこと」なのだと思う。この技巧のいけにえが、切実な「青春映画」を浮かび上がらせる。 [review]ジェリー, kiona, 袋のうさぎ, ゑぎほか7 名[投票(7)]
★4マルサの女(1987/日)憑き物が落ちたような安堵感、もしくは呆けたような虚脱感を漂わせる山崎努の背中に「呪い」としての「欲」の本質を見る。祓えぬままに膨らむ呪いと深化する手口のデフレスパイラル。憑かれていても苦しいが、「呪い」なしにも生きられない業を茶化しながらも突き放さない主題曲やブラックユーモアの温度感がいい。演出が多少安いのは気にならない。何よりこのにぎやかないかがわしさだ。 [review]jollyjoker, 週一本, pori, アブサンほか7 名[投票(7)]
★4ゴッドファーザー(1972/米)眼窩に影を落とすライティングが非常識と当時言われたそうですが、演出の必然性を考慮せずにそんなことを言い放った方に「あなたこそ非常識です」と言ってあげたい。オープニングの完成度だけでご飯何杯でもいける。「ファミリー」という言葉を前に、善悪・聖邪は境界線を失い、ついに一つに重なりあう。その描写が極めてフラットでドライであることの凄み。その分、単純な好みとして、ニーノ・ロータはやや過剰に思う。 [review]たろ, ALOHA, サイモン64, ナム太郎ほか7 名[投票(7)]
★5八日目の蝉(2011/日)男性女性父母血縁という言葉の意味の瓦解を経て、「親」を再構築する小豆島シークエンス以降の「景色」が圧巻。父でありながら父であることが出来なかった男達と、母でありながら母であることが出来なかった女達。彼らが一様になし得ず、希和子がなし得たのは「子」に「景色=幸福な記憶をあたえる」ということ。その「ふつう」の決意の中において、全ての傷ついた女性だけでなく、男性も赦される。「聖なる景色」の映画。泣いた。 [review]ジェリー, 3819695, にゃんこ, ありたかずひろほか7 名[投票(7)]
★5ウエスタン(1969/米=伊)全てが是「演出」の映画。含意などほとんどどうでもいい。一つの頂点であることは間違いないだろう。圧倒的没入感。一種の自己陶酔映画の極致。これぞ娯楽映画。モリコーネの「演歌」は必聴。 [review]でん, けにろん, ペンクロフ, ぽんしゅうほか7 名[投票(7)]
★3マチェーテ(2010/米)「メキシコ人を舐めるな!」の啖呵一点張りを、バンデラス的セレブでなく岩から削りだしたようなトレホのマイナーかつ絶対的な攻撃性をまとったラテン風貌とざらついた土臭い佇まいの迫力に代表させる的確。ちぎっては飛ばされる悪役陣のバタ臭い風体も確信犯で大いにハマってるし、ミシェルの格好よさにはグゥの音も出ない。こいつは逝けるかもしれないと思ったがそうは問屋がおろさないのがロドリゲス・・・嗚呼。 [review]プロキオン14, わっこ, IN4MATION, MSRkbほか7 名[投票(7)]
★2ゴジラ-1.0(2023/日)敗戦のルサンチマンを濯ぐためのゴジラという筋立てに特攻モチーフと山崎貴のポピュリズムが結合するという相性としては最凶の組み合わせ。時勢も踏まえて危なっかしい。いいように勘違いする層が一定以上存在するのが今の日本だ。国は批判しているが特攻自体の批判はしていないように見えるバランスの悪さに頓着しないVFX遊びの無邪気さがまた邪悪で、非常に居心地が悪い。佐々木蔵之介の芝居が激寒。 [review]ペンクロフ, , Myrath, おーい粗茶ほか6 名[投票(6)]
★4鳥(1963/米)「理由もなく人を襲うか?」いや、「人を襲うのに理由が要るのか?」理由がないものに心と秩序を掻き乱される人間たち。理由はないはず。しかしヘドレンは災厄の中に自らへの懲罰を見出してしまう。私は鳥の声が、顔のない、個のない「マス(大衆)」の暴力と嘲笑、或いは悲鳴のように聞こえた。 [review]緑雨, シーチキン, けにろん, ペンクロフほか6 名[投票(6)]
★4タクシードライバー(1976/米)「あなたは歩く矛盾ね」。きれいはきたない、きたないはきれい・・・矛盾を平然と同居させるトラヴィスのグロテスクな「正義」。ネオンの色のように、内実をよそに、その評価は移り変わる。昼と夜、陰と陽、聖と邪、善と悪、いずれもどちらが「裏」でも「表」でもなく、不眠症の熱で潤んだ瞳の中で、ぐちゃぐちゃに混濁していく。その混沌は「街そのもの」でもある。 [review]3819695, ぽんしゅう, さず, jollyjokerほか6 名[投票(6)]
★4スリー・ビルボード(2017/米=英)世界には不条理と怒りが溢れている。その己の中の「怒り」を、ないことにするでもなく、捻じ曲げるでもなく、忘却するでもなく、あるがままに、飲み込み、「付き合っていく」。どんなに苦しく滑稽なあがきでも、望んだ結果を得られなくとも、そう生きていくほかない、ということか。 真摯な達観に至るロックウェルの表情が絶妙。 [review]ぽんしゅう, jollyjoker, ゑぎ, 週一本ほか6 名[投票(6)]
★4スペース カウボーイ(2000/米)映画にとって、「本当らしいことは少しも重要ではない」ということを教えてくれる(けしからぬ宇宙空間の音の扱い。だがそれがいい)。もちろん別の映画の使命があることも承知だが、これは純粋に愉しい映画。死に伍するにあたりユーモアを持ち出す映画に弱い私は、晴れやかな表情で憎まれ口を叩き合うクソジジイどもに憧憬を禁じ得ない。信頼の裏返しであり、年輪の証であり、悟りである。 [review]3819695, pori, jollyjoker, ぽんしゅうほか6 名[投票(6)]
★3アウトレイジ 最終章(2017/日)ああ、海だなあと思ったら、初めこそ青いものの、以降これがあまり青くなく、罵声を添えて銃弾まで撃ち込んでしまう。血飛沫も多くて赤い。自分のキャンバスを敢えて汚そうとしているかのよう。ヤケクソな遺言めいている。 [review]disjunctive, 3819695, ぽんしゅう, けにろんほか6 名[投票(6)]
★4ゾンビ(1978/米=伊)「生きている死者」なのか、「死んだように生きる生者」なのか。曖昧になった境界からの目覚め(dawn)。zombieという邦題ではこの主題が見失われてしまうだろう。これはliving dead「生ける屍」の物語である。印象に残ったのは痛々しく冷え切った男女関係。生ける屍になりたくない女と、生ける屍になった男。 [review]けにろん, , ゑぎ, Myrathほか6 名[投票(6)]
★3キングスマン(2015/英)素敵なおじ様のオンパレードで鼻の下が伸びるが、それだけだ。キレッキレなどと謳っているが、イメージギャップとグロで幻惑するだけの手管で飽きる。『キックアス』の遺産でしのいでいるだけだ。何より「見せ場」と思われる教会の大立ち回りが作劇上エモーションの高まりに何ら寄与しないといういい加減さは致命的な後退である。暴力を弄んでいるだけのようでその実そうではないタランティーノとの差が歴然。 [review]おーい粗茶, kiona, ナム太郎, 袋のうさぎほか6 名[投票(6)]
★3マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015/豪)「今、ここを楽園にしろ!考えるな!走れ!戦え!死ね!生きろ!」というアジが臆面もなく炸裂する山場30分には流石に鼻血が出て、「何か」を呼び覚まされる。この原始的単純さは崇高であり、作り手の熱量には敬意を払うべき。面白いのは間違いないのだが、 [review]おーい粗茶, ゑぎ, KEI, ロープブレークほか6 名[投票(6)]
★3エリジウム(2013/米)デイモンコプリーのド突き合いへの収斂は「革命」の活劇を矮小化した一方、政治+福祉+技術配分の偏りが生んだ「歪んだ結晶」の衝突としてグロテスクな見応えあり。強化骨格を着用型でなく生身に埋め込む「半人」感、無菌的CGに対峙する血と錆と埃、混沌を強引にヒューマンで締める手塚的センスも嬉しい。が、フェイクドキュメンタリを採用出来なかったことで状況説明の甘さが露呈。テーマ群が未消化で勿体ない。 [review]3819695, HAL9000, 死ぬまでシネマ, Orpheusほか6 名[投票(6)]
★4哀しき獣(2010/韓国)延吉(中国)の朝鮮族街と、密入国の窓口となる韓国の場末では、殆ど街の色に違いはない。その近接感に関わらず、濃い「遠くに来ちまった」感。それは後戻りできない物語を高速カット割で煽って運び去るスタイルが的確な上、朝鮮族による、「民族/国家」の近いようで遠い、憎悪と羨望の微妙な距離認識を正確に演出に投影しているからだ。その距離のゼロ化=越境・接近が喰らい合いに至るしかない悲劇。凍えて飢えた画面も◯。 [review]irodori, 緑雨, 3819695, けにろんほか6 名[投票(6)]
★4ゴッドファーザーPARTII(1974/米)劇中に描かれるマイケルはほとんど食事を口にしない。逆説的に、これは食卓の映画だと言っていい。また、これは第一義的に「影」の映画である。深度を増して黒々と沈んだシルエットで語るコッポラウィリス)の画は、全ての人間が亡きヴィト像を通して投げかけられる影であることを示す。ヴィトの幻影(時代の名残)を懐かしみ、そのことによって苦しめられる、「影」として在ることしかできない「こどもたち」。 [review]りかちゅ, けにろん, 煽尼采, ナム太郎ほか6 名[投票(6)]
★4英国王のスピーチ(2010/英=豪)風土的歴史的素地の相違は脇に置いて、単純に、ちょっと特殊なだけの小さな物語として観た私は完全にやられた。主演3人の鉄壁布陣の滋味深い応酬だけでも鼻血が出る。劇伴の反則技にも目を瞑る。「セラピー」を意識したカメラなどの小技も奏功。何より嬉し恥ずかしなヘレナファースの交歓に理性が崩壊。 [review]死ぬまでシネマ, ゑぎ, サイモン64, 煽尼采ほか6 名[投票(6)]