「四方田犬彦が選ぶ、「世界映画史の113本」」(バーボンボンバー)の映画ファンのコメント
赤い戦車のコメント |
裁かるるジャンヌ(1928/仏) | 見応えはあるが顔のアップばかりで相当に疲れる。ブレッソンのよりはこっちの方が好み。 | [投票] | |
赤ちゃん教育(1938/米) | ケイリー・グラントとキャサリン・ヘプバーンの驚異的な身体芸あっての映画だが、留まるところを知らないホークスの悪ノリっぷりもさすが。誤解を招いていくのも、その誤解が解けるのも視覚の力によっているから分かりやすい。 | [投票] | |
赤い靴(1948/英) | 劇中劇「赤い靴」に痺れた。素晴らしい色彩感覚。 | [投票] | |
剣(1964/日) | 市川雷蔵は「白」と「黒」の服しか着ない。学生服は白黒、剣道着は黒に名前の刻印部だけ白、剣道部の旗も白と黒。或いは机を挟んだ二者の構図や顔の半分を黒く隠す強い照明。藤由紀子と川津祐介の乗った車がUターンするショット(ここでの衣装はサングラスに白いスカーフ!)や合宿のランニングが埠頭から戻っていくショット、船を真ん中に挟んだ海のショット。視覚的に連鎖される「二項対立」「対称性」のイメージ。 [review] | [投票(2)] | |
砂漠の流れ者(1970/米) | ペキンパー作品にあるまじき「優しさ」に満ち溢れた映画。傑作。 | [投票] | |
東海道四谷怪談(1959/日) | 女の怨みは怖いですなあ。歌舞伎調の過剰な演出が逆に物語にハマってる。部屋に一瞬だけ沼が現れるカットに身震いした。 [review] | [投票] | |
ノスタルジア(1983/伊) | 前作と比べて大分明るくなった。映像も美しいことこの上なし。 | [投票] | |
ショック集団(1963/米) | 寝ている間は狂人と常人を判別できない。その台詞の通り黒人と主人公が並んで眠る俯瞰ショットがある。パートカラー、或いはオーバーラップ、音のモンタージュ、運動、光と影の強いコントラスト。あらゆる手を駆使して狂気を視覚的に表現する。近くに犯人がいるかもしれない、犯人に感づかれるかもしれない・・・そういったサスペンス演出も追及してほしかった。 | [投票] | |
博奕打ち 総長賭博(1968/日) | 確かにこの脚本は悲劇としてよく出来ている。ただ、この徹底して美化された世界にいささか抵抗を感じるのも事実で、自分としては泥臭くてダーティーな実録路線の方が好み。 | [投票] | |
書を捨てよ町へ出よう(1971/日) | 最初に観た時は屑だと思ったんだが、何度も観なおすうちに面白く思えてきた。洗脳されたか? | [投票] | |
東京流れ者(1966/日) | 鈴木清順の遊び心と色彩感覚が存分に楽しめる傑作。銃撃戦含め自由なカット繋ぎのカッコいいこと! | [投票] | |
いとこ同志(1959/仏) | いとことの違いを書き分けていく手腕が巧い。また、ジャン・クロード・ブリアリがワーグナーをかけながら大芝居をうったり、ジュリエット・メニエルと語らう夜道の場面など、巧いだけでなく面白い。弧を描くようなカメラワークはアンリ・ドカエかシャブロルどちらの個性だろう。 | [投票] | |
幕末太陽傳(1957/日) | これだけの人数が入り乱れる話を一気に語ってしまうのが見事。この猥雑さはクセになりそう。 | [投票] | |
秋津温泉(1962/日) | メロドラマとしては増村『清作の妻』や成瀬『浮雲』、溝口『近松物語』と並んで代表作だろう。奇抜な位置ながら照明をきちんと当て、下らない「作家性」などとは無縁の見事なショットの数々。鏡・窓・水・傘といった装置が印象的だ。オーヴァーラップでの時間の省略がまた美しい。岡田茉莉子のうなじが実にエロティック。 | [投票] | |
少女ムシェット(1967/仏) | ブレッソンらしい厳しい映画。自分には厳しすぎるくらい。 | [投票(1)] | |
ゲームの規則(1939/仏) | 本作を観るとルノワールが恐るべきアクション演出家でもあることがよく分かる。狩りの銃撃、廊下や部屋を右往左往する人物たちの見事なコントロール。それでいて終盤のダイナミックかつアナーキーなこと。お行儀がよくなくて(ということは映画的に行儀が良いということでもある)大変よろしい。 [review] | [投票(1)] | |
絞死刑(1968/日) | 序盤のスピーディーな展開には期待したのだが、その後演劇調になった途端にクサくなる。同じ議論を展開するにしても過剰な台詞ではなく映像で簡潔に示してほしいものだ。「百聞は一見に如かず」は映画の大原則。結局私の心に響いたのは中盤の野外パートとラストの検事とのやりとりだけであった。 | [投票] | |
勝手にしやがれ(1959/仏) | ヌーヴェルヴァーグというのはそもそも肩肘張って観るような映画ではない。「映画史を変えた!」などという触れ込みを念頭において観るから面倒くさいことになる。可愛らしい「すれ違い」の映画。 [review] | [投票(3)] | |
キートンの大列車追跡(1926/米) | 列車を使ったアクションの基本が全て含まれている。以降、本作に匹敵するチェイスシーンが現れるには70年後の『ペンギンに気を付けろ!』まで待たねばならなかった。 | [投票] | |
市民ケーン(1941/米) | パンフォーカスなど技法そのものより、パンフォーカスを駆使して前景後景に別々の運動を生起させ厚みを加える様、長回しにおけるクレーンの使い方、天井が映り込む仰角ショットの数々、巧みな省略、そういった諸々の使い方が多大な影響を及ぼしたのだろう。しかし本作は映画史上どころかウェルズの最高作ですらない、と私は思う。 | [投票] | |
メトロポリス(1927/独) | ムルナウ財団復元版鑑賞。もう、とんでもない映画だ。今観ても圧倒的なスペクタクル、ダイナミズム。フリッツ・ラングのとどまるところを知らない奔放なイマジネーションの洪水。ブリギッテ・ヘルム演ずるロボ・マリアの妖艶さ。80年前にこんなものが作られていたという事実に打ちのめされる。 | [投票] | |
羅生門(1950/日) | 蛇足過ぎるラストを差し引いても映画史に残る傑作。 | [投票] | |
陽炎座(1981/日) | 『ツィゴイネルワイゼン』の無惨な出来損ない。後半は退屈極まりない。陽炎座のシーンは長すぎて腹が立ってきた。 | [投票] | |
吸血鬼(1932/独=仏) | 映像イメージは良いがストーリーの出来が微妙。 | [投票] | |
ジャンヌ・ダルク裁判(1961/仏) | ものすごく淡々とした映画。ずっと裁判が展開されるだけで正直退屈なのだがあのラストには圧倒された。真の意味で劇的。見事。 | [投票] | |
ポンヌフの恋人(1991/仏) | 始まりの予感に満ちた春、激情の夏、寂寥の秋、和解の冬。ポンヌフ橋の四季を捉えた映像と共に、2人の感情も推移していく。1カットたりとも手を抜いていない画面の有無を言わさぬカッコよさ。 | [投票(1)] | |
ラストタンゴ・イン・パリ(1972/伊=仏) | 説明的な台詞が多すぎるし全体的に古臭い。ただ、タンゴ大会のシーンには瞠目。 | [投票] | |
裏窓(1954/米) | 見事な職人技。それにしてもグレース・ケリーは美しすぎる。 | [投票] | |
めまい(1958/米) | 心を震わす喪失と妄執のラブストーリー。恐ろしくぎくしゃくした物語(犯罪は途中でうっちゃられる!)の中、悲劇の一大メロドラマが展開される。形を変えて繰り返される「渦」。極端な位置からの俯瞰と仰角ショットによって遠近法を歪ませるロバート・バークスの神業。ヒッチコックのダークサイドが生み出した到達点。 | [投票(2)] | |
サイコ(1960/米) | 3度見直したが、やはりこれはヒッチコックの中では弱い。中盤証拠隠滅を図る下りまでは、行動が理屈を先行しているため良い。が、後半部は逆にまず理由があってそこから行動が起こる。そのため乗れない。また、本作は単純な切り返しが多く視点の豊かさに乏しい。本来なら画面上に「母親」が現れた瞬間『めまい』の一人二役のように目眩を引き起こさねばならんのだが、ここでは只のショックに留まっている。 | [投票(1)] | |
モダン・タイムス(1936/米) | チャップリンの映画にしてはあまり楽しめず・・・ | [投票] | |
ローズマリーの赤ちゃん(1968/米) | ちょっと期待はずれ。 | [投票] | |
赤い砂漠(1964/仏=伊) | モニカ・ヴィッティが官能的でした。 | [投票] | |
大人は判ってくれない(1959/仏) | 若書きの作品。トリュフォーにしては映像が固い。しかしところどころに冴えたシーンがあり才能を感じさせる。 | [投票] | |
チャップリンの 独裁者(1940/米) | 風船で遊ぶシーンを筆頭に素晴らしいシーンばかり。ラストの演説はそれまでの流れを無視していてバランスが悪すぎるけれども、それはチャップリン自身も重々承知だったはず。それでも言わずにはいられなかったのだろう。彼の勇気に拍手を贈りたい。 | [投票] | |
お熱いのがお好き(1959/米) | マリリン・モンローが最高。ただ、全体的に突き抜けた笑いというのはなかったかな。脚本の映画って感じ。 | [投票] | |
戦艦ポチョムキン(1925/露) | 改めて観ると非常に面白かった。『エイゼンシュテイン全集』の理論を読むと分かりやすい。 | [投票] | |
ライムライト(1952/米) | チャップリンの優しさが如実に出た映画。笑えないけど、素敵。 | [投票] | |
わが谷は緑なりき(1941/米) | どうも音楽が過剰すぎて邪魔。二度目は音を消して観たのだが、そうするともう1カット毎に泣ける。ドアや窓から長く伸びた影が印象的であり、「ドア」「エプロン」「空」「投げる動作」といったフォード的(と個人的に思う)モチーフ満載。あの煙の美しさはどうなっているのだろう。 | [投票(1)] | |
燃えよドラゴン(1973/米=香港) | 何も楽しめなかった。さっぱり良さが分からない。 | [投票] | |
エル・スール −南−(1983/スペイン=仏) | 痛切に美しい映画。 | [投票] | |
近松物語(1954/日) | ラストのセリフはあり得ないくらいの蛇足だが作品全体の価値はそれを遥かに凌駕している。香川京子は本当によく頑張った! | [投票] | |
気狂いピエロ(1965/仏) | 小細工ばかり弄して何も実のあることはしていない。それでも面白かったのでこの点数。 | [投票(1)] | |
旅芸人の記録(1975/ギリシャ) | 話はよく分からんが、どの画面にも力があり、長回しばかりとはいえその中で緩急を巧く付けているので、最後まで飽きずに観ることができた。4時間という長さは我々観客に近代ギリシャの哀しみ、苦しみを共有させたかったのではなかろうか。結婚式のダンスでさえ物悲しい。 | [投票(3)] | |
大地のうた(1955/インド) | 大学の講義にて鑑賞。テスト明けで睡魔との闘いだったが充分に面白かった。 | [投票] | |
駅馬車(1939/米) | 改めて再見してやっぱり感服。馬車内の細かくも的確な繋ぎ、ダイナミックなロングショットを交える馬の疾走シーン、到着した町の夜間の煌き。脚本から要請されるドラマを過不足なく視覚的に表すその手腕。ところで、産まれた赤ん坊をクレアが抱えて出てきたシーンにおいて、明らかにイマジナリーラインを越えてる切り返しが一つあった。ジョン・ウェインとヒロインとの。だからどうしたという話ではあるのだが。 | [投票] | |
M(1931/独) | 空回りしている部分もあるが、やはりフリッツ・ラングのパワーは凄い。ビル内の攻防など後半の方が好き。 | [投票] | |
童年往事・時の流れ(1986/台湾) | 竹を割ったように清新な撮影と照明で描かれる人間たちの営み。それらを見つめる視線は厳しくも慈しみに溢れている。幾度となく吹き抜ける風と雨。あらゆる感情がフィルムを流れては消えていく様の美しいこと。傑作。 | [投票] | |
昼顔(1966/仏) | 煙に巻かれる。映像は美しい。 | [投票] | |
七人の侍(1954/日) | セリフの聞き取りにくさなどどうでもよくなるくらい面白い。しかしラストの志村喬のセリフは蛇足の極み。そんなこと言わなくても見りゃ分かるって。 | [投票] | |
秋刀魚の味(1962/日) | 最後の作品は笠智衆で終わらせたか。 | [投票] | |
雨月物語(1953/日) | 宮川一夫が素晴らしい。 | [投票] | |
オーソン・ウェルズの フォルスタッフ(1966/スペイン=スイス=仏) | 3.5点。合戦シーンは映画史に残る出来だし、躍動感のあるカメラも良い。ウェルズらしいバロック的な空間演出も健在。にもかかわらず乗りにくいのは、シェイクスピアの台詞があまりに美しいからではないか。映画と文学との組み合わせが、『審判』ほど上手くいってないように思われる。 | [投票] | |
黄金の馬車(1953/仏=伊) | 直接的メタがあまり好みではない。扉や窓が開かれる度、その奥に何らかの人・物が配置されており、見える部分が増加することによってそのショットの空間的広がりが高まっていくのはさすが。 | [投票] | |
ストレンジャー・ザン・パラダイス(1984/独=米) | どのシーンもそれぞれの味わいがあり面白い。自分でも説明しがたいけど好き。 | [投票] | |
キートンのマイホーム(1920/米) | 名人芸ですな。 | [投票] | |
白人酋長(1922/米) | 映画史上最も長いキス(笑) | [投票] | |
瞼の母(1962/日) | 弟分の母親に字を書いてもらう序盤で既に涙腺が緩む。錦之助にもたれるように母親が被さり、字を書く。それをまず正面から、続いて横のバストへ。錦之助、老婆に目をやる。また正面へ戻り、次に、涙ぐむ弟分の妹と弟分のそれぞれのアップ。そして両脇に妹と弟分を置き、奥に綿之助と老婆という構図。錦之助の今だ見ぬ母親が明らかに投影されている、そのことをショットで語れてしまう加藤泰の力量はやはり素晴らしい。 [review] | [投票] | |
不知火檢校(1960/日) | こんなど悪党を魅力たっぷりに演じてしまえる勝新太郎の才能に舌を巻く。森一生は初めて観たが、職人的なオーソドックスさに時折それと相反するけれん味があって中々面白い。美術・撮影・照明含めこの頃の大映の確かな技術を堪能。 | [投票] | |
キートンの北極無宿(1922/米) | あれは「元々自分の家でも妻でもなかった」のに勘違いして殺っちゃった、ということでしょう。ブラックなキートンは新鮮だがギャグは低調でいまいち盛り上がらない。 | [投票] |